台湾のメーデー

●今年の台湾メーデーは、台北市、台北県、桃園県、新竹県、苗栗県、南投県、彰化県、台中市、台南県、高雄県、高雄市の1万5千人の労働者によって闘われた。呼びかけは全国産業総工会準備促進委員会。メインスローガンは失業反対、失業保険の実施、民営化反対、全国産業総工会の合法化など。メーデーの直前に台湾労工陣線が発表した「民間組織版失業率」では、失業率は公式統計の2.8%を大きく超える7.28%にのぼった。
この間、台湾各地に産業総工会が結成されてきた。これまでは国民党直系のナショナルセンターしか認められていなかったが、民進党系首長が誕生した地域では、産業総工会は事実上地域ナショナルセンターとしての合法的地位を確立していた。労働運動側は、これら各地の産業総工会を基礎とした全国的ナショナルセンターの建設を目指したが、中央政府はこれまでそれを認めてこなかった。今年のメーデーのスローガンの一つに全国産業総工会の結成がある。
また、台湾では公営事業の民営化が加速されており、それに危機感を持つ公営事業労組の闘いも繰り広げられている。これまでは国民党系ナショナルセンターにあった、これら公営事業労組の多くがそこを脱退して、各地域の産業総工会に加盟している。


台北市
台北市では台北市産業総工会の呼びかけで中華テレコム労組などの公営事業組合や新党の政治家など約千五百人がデモに参加した。
また、台湾労工陣線は先住民労働者を組織して雇用の防衛などを訴えるデモと集会を行い500人が参加した。






▲先住民労働者の隊列(台北99.5.1)




▲高雄市庁舎で失業NO!全国産業総工会結成
を訴えるデモ隊の隊列(高雄99.5.1)



高雄市
公営事業の本社が数多く存在する高雄市では、30組合2000人がメーデーに参加した。集会には民進党の謝長廷高雄市長が挨拶を行い、同市労働局長の方来進はデモにも参加した。謝市長は、一万人の雇用を創出する計画を発表し、公営事業の民営化のスピードを落とすことを約束した。工業地域の高雄市の失業率はここ1、2年上昇しており、この半年の間は3.69%から4%を上下しており、台湾全土でも失業率はトップに位置する。失業者は二万四千人を超す。




中華テレコムの民営化が決定


96年の国家発展会議で「5年以内に民営化を完成させる」という決定が発表された時から台湾の民営化は本格的に始まった。今年の三月までに16の事業が民営化された。
5月28日、台湾の公営事業でも最大規模の中華テレコムの民営化を定めた予算案が台湾の国会を通過した。民進党と新党は中華レテコムの民営化に伴う予算項目の削除を要求したが、過半数を占める国民党によって採決に持ち込まれた。本会議での審議が行われている間、国会前で抗議の座り込みをしていた中華テレコム労組の張緒中理事はストライキ闘争もありうるという考えをしめし、今後全国産業総工会運動と密接に連携し、民営化政策への批判を強めると同時に、全国の公営事業労組に呼びかけて、8月に行われる国民党15回大会を包囲する陣形を作ると語った。

参考 4.26 台湾の中華テレコム組合員5000人が民営化に反対して立法院前で抗議行動



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