四月二十六日、衆院防衛指針特別委員会で、自民、自由、公明の三党修正合意にもとづき新ガイドライン関連法案が可決され、翌二十七日の本会議で衆院を通過した。われわれはこの暴挙を怒りを込めて糾弾する。五月十日から始まる参院での攻防で廃案をかちとるために、様々な力を結集させて闘おう! 現在ユーゴで繰り広げられている帝国主義の軍事同盟NATOによる空爆を見ても分かるように、アメリカをはじめとする帝国主義諸国の「秩序」に従わない政権は軍事的介入によって屈服させるという「国際ルール」がまかり通っている。ヨーロッパにおいてはユーロ市場の安定を脅かすミロシェビッチ、アラブにおいては多国籍石油資本の利権を脅かすフセインなどが、「秩序」を乱す独裁者として攻撃の対象になっている。 アメリカは、かつてのように単独で軍事行動を実行することはできなくなっており、二国間の、あるいは地域的な軍事同盟においてイニチシアチブを発揮しながら軍事行動を展開するという戦略をもっている。極東アジアにおいては、日本や韓国との軍事同盟を強化し、同盟国が海外で軍事行動を展開するアメリカ軍を効率よくスムースに支援できるよう望んでいる。 今回の戦争法案は、このようなアメリカの世界戦略を日本の支配者層が無条件に支持し、また自らもその世界戦略において一定の利益を引き出そうとするものである。 しかし、それは全国の民間港に米軍艦が入港するということであり、「返還」を約束した普天間基地が沖縄県内に移設されることであり、浦添軍港を建設するということであり、米軍が使いたい土地は、地主が拒否しても強制的に使用することができるという駐留軍用地特別措置法を再改悪するということであり、民衆管理の国民総背番号制や盗聴法を導入するということであり、「日本国」というアイデンティティーにとらわれない人々への管理を強化する外国人登録法や出入国管理及び難民認定法を改悪するということであり、「治安を維持する」という名で野宿労働者を排除する雰囲気を作り出していくということである。 人権や民主主義の大後退を準備する戦争法案の参院通過を阻止するため闘いを強化していこう。(H) |
四月十四日、NATOの空爆に抗議する大使館前行動がアジア連帯講座、ピースチェーンリアクション、NOHC、ピースベリージャム(国連・憲法問題研究会)などの呼びかけによって行われた。抗議行動はアメリカ大使館とドイツ大使館前で行われた。各団体は、NATOによるもう一つの「ジェノサイド」である空爆がアルバニア系住民に対するミロシェビッチ政権の弾圧を加速させていることを指摘し、空爆の即時停止を訴えた。帝国主義の軍事同盟NATOの空爆に反対する闘いを、新ガイドライン関連法案反対の闘いと結んで闘おう。空爆やめろ!コソボに自治を!(Y) |
空爆を継続するNATO軍 三月二十四日から行われているNATOによる空爆によって、軍事施設、政府機関だけでなく、民間施設やライフラインが破壊され、「誤爆」という名の民衆への爆撃で千二百人を越す死者を出し、いまなお続けられている。五月六日、ドイツのボンで開かれたG8の緊急外相会議では、コソボに治安・文民監視団を展開すること、国連安保理の決議に基づくコソボ暫定統治機構の設置などの七項目が合意された。だが、この「治安・文民監視団」なるものは、「何らかの武装した部隊は必要との認識で一致している」という高村外務大臣の発言でも明らかなように、武装した勢力をコソボに展開することを意味する。同会議後のドイツ外相の「空爆停止の前にはまだやるべきことがたくさんある」という発言や、五月八日の中国大使館への誤爆後に開かれた国連安保理の緊急会議でアメリカの代表は「ユーゴがNATOの条件に従わなければ空爆は停止しない」とあくまで空爆を継続する姿勢を改めて明らかにした。 国際法に違反する侵略行為を擁護する「朝日」 五月四日付の「朝日」では、論説委員の大阿久尤児がNATOによるユーゴ空爆の「論理」を、「人道上の破局」を避けるための軍事行動であり、これまでの国際法では包括できないような新たな国際問題に対する対応の方法であるとして、ほぼ全面的にNATOの侵略を擁護する文章を書いている。空爆に対して否定的なロシアや中国を「拒否権という特権を持つ大国のお家の事情が優先され、弱者の立場にある人びとの『破局』には目をつむる」と批判する。 「人道」「人権」を利用した侵略行為 また、今回の侵略的空爆を「今回のNATOの介入は自国民のためではない。これまでの軍事行動と、そこが大きく異なる」とし、ヨーロッパが「従来の国家中心主義を改めつつある。コソボの問題を、そういう文脈のなかで見る必要がある」として、「人道」「人権」をキーワードとした今後の国際的軍事干渉の正当性をNATOや日本政府に代わって主張している。今回の侵略が大きく国際法を逸脱するものであることを認めた上で、自国民に対して「人道上の破局」的行為を行なっている政権に対しては「主権が制限されるのも、やむを得まい」という現在の侵略的空爆を追認し、これからの「国際ルール」を先取りした文章である。 「人道」を重視することの「コスト」? 大阿久は、ほんの申し訳程度に、「問題は、人道を重視することのコストである」と空爆によって拡大したアルバニア系住民の災難とユーゴ側市民の被害を付け加えている。独裁者ミロシェビッチに反対し、帝国主義の軍事力に頼るのではない民主的な方法で「人道」を守るために闘ってきたユーゴ国内のNGOや労働組合は、今回の空爆によって活動を大きく制限されている。大阿久にとっては、「人道」や「人権」は軍事力によって守られるべきものであり、それには「コスト」が付き物であるようだが(そのコストはあまりにも大きい!!)、NATOの空爆に反対し、帝国主義の軍事力ではなく、民衆の団結という力を信じる全世界の人々は、本当の人道と人権を自らの手でかちとるために今後も闘い続けるだろう。 今日のNATO軍は明日の日米安保 また、大阿久は最後に「地域紛争は、どこにでも起こり得る。われわれと無縁の悩みではない」という一文を付け加えている。これはこの文章全体から見て、明らかにアジアで同じようなことが起これば、日本も「人道」「人権」的観点から軍事的に介入してもよい、いやすべきであるということを表している。われわれは、民衆自らの団結と闘いによって民主主義や人権を守り拡大させていくという立場から、このような国際関係のあり方に徹底して反対していく。戦争法案が衆院を通過し、参院でも苦しい戦いが予想されるが、同じ時刻、同じ惑星で行われている帝国主義の侵略戦争に反対する全世界の闘いと結合し、新ガイドライン関連法案を参院で廃案にするために闘おう。(I) ●NATOは即時空爆を停止し、 ●被害者に謝罪と補償を行なえ! ●ミロシェビッチ政権はアルバニア系住民に対する ●弾圧を止め、自治権を認めろ! ●G8による武装された治安・文民監視団 ●派遣案反対! ●小渕政権はNATO軍の侵略を支持するな! ●アジアにおける帝国主義戦争の道具 ●新ガイドライン関連法案と日米安保を破棄しよう! |