モンスーンNo.8 97・11・1発行



新ガイドライン・有事立法に反対していこう!
沖縄名護市の海上ヘリポート基地建設反対!

米軍海上基地建設を問う名護市住民投票
12月11日告示・21日投開票に決定

 さる9月23日、日米両政府は、戦争(有事)の発動の際に行われる民間への軍事協力がもりこまれた新ガイドラインを民衆無視はもちろんのこと、なんら国会の審議をしないで決定しました。新ガイドラインの主な内容は、「日本周辺事態」が地理的なものではなく、米軍のさじかげん一つで戦争発動が行えることや「平素から行う協力」として自治体・民間企業まで含めて戦争動員の対象を明記しています。私たちは民間も含めた日米軍事協力体制への協力をうたった新ガイドラインに反対し、有事法制の制定を阻止していくことを訴えたいと思います。
 9月27日に晴海港に米第七艦隊ブルーリッジが入港し、見学者が7千人もあり、インデペンデンスの小樽港入港に際しても多数の見学者がありました。見学者は、「機関砲もさわって満足」「水兵が笑顔で話しかけてくれ、ディズニーランドのよう」(朝日9・29)などと感想を述べていました。
 このような本土民衆の感想を聞いて、沖縄やアジア、中東の民衆はどのように考えるでしょうか。民衆の立場からすれば米軍は、機関砲で子供や家族が犠牲となり、米軍兵によって「猪と間違えた」として射殺され、女性をレイプする「あらくれども」なのです。米軍から常に標的にされているのです。
 さらに沖縄・名護市に対しても米軍を優先し、民衆無視の事態が進行しています。名護市は、今、米軍海上ヘリポート基地建設の是非をめぐって市民が分断されています。政府は、この間、基地建設のためのボーリング調査を強行し、なんとしてでも海上ヘリポート基地を建設しようとしています。しかし、海上ヘリポート基地に反対する市民の闘いによって九月の名護市市議会で基地建設の是非を問う住民投票条令を可決しました。そして、名護市議会は市民投票を12月11日に告示、21日に投票を行うことを決定しました。「ヘリ基地反対協」の宮城康博代表は「怒りをもって市民の良識を示す」と決意表明しています。
 ところで名護市民は、基地建設と同時に地域振興を突然持ち出され、困惑しています。地域振興は沖縄の民衆にとって無視できない問題だからです。沖縄の失業率が本土の約二倍という厳しい現実に対して政府は、カネをちらつかせて地元ボスを抱え込み基地建設を強行しようとしているのです。それは基地建設をめぐって沖縄人同士を闘わせようとするものです。こういう政府のやり方に怒りを覚えます。
 すでに反対運動は、久志以北10区では地区人口の4分の1にあたる500人が集会を行い「ヘリ基地いらない、二見以北10区の会」を結成し、監視事務所を作りました。他方、首都圏各地では、一坪反戦地主会・関東ブロックによる名護ヘリポート反対キャンペーンの取り組みが行われ、11月8日には「できるところからやろうよ」と名護に心を寄せる市民が集って「名護ヘリポート基地に反対する会」が結成されます。海上ヘリポート基地に反対する名護市民の闘いに連帯していこう。
 昨年12月にSACO(沖縄に関する特別行動委員会)の最終報告が出され、普天間基地の返還の変りに代替ヘリポート基地と岩国基地や嘉手納基地への基地機能の移転が民衆の頭越しに日米間で決定しました。さらに、政府は新ガイドラインにもとづく有事(戦時)法制を制定しようとしています。
 一昨年「平和な島を返してください」という沖縄民衆の訴えは、基地の整理縮小を求める県民投票では60%近い投票率を勝ち取り、90%が基地にNOを示しました。沖縄県も基地返還アクションプログラムを明かにしています。政府は、沖縄の反基地の声を普天間基地返還などと称して、実は基地機能の老朽化に合わせた最新基地を再配置しようとしているのです。そして、民衆を戦争に動員するために有事法を制定しようとしているのです。
 私たちは、沖縄、アジア民衆に連帯する闘いの中から、本土での沖縄名護・海上ヘリポート基地に反対する運動と反ガイドライン―有事法制阻止の闘いの陣形を作っていきます。新ガイドラインにもとづく有事法制の制定をすすめる橋本政府打倒!名護海上ヘリポート基地建設阻止!日米共同軍事演習反対!アジア民衆とともに、グローバル安保を解体しよう!             (S)




6・8パネルディスカッション 
沖縄闘争の教訓と課題は何か
パネラー 太田武二さん(沖縄研究会) 国富建治さん(新時代社)

 6月8日、東京・港勤労福祉会館でアジア連帯講座主催による「パネルディスカッション 沖縄闘争の教訓と課題は何か」が行われた。
 95年9月、沖縄の米兵による少女性暴力事件を契機とする米軍基地縮小・撤去を求める闘いの高揚から96年9月の県民の過半数が基地に反対を示した県民投票へと登りつめていった。だが橋本政府は、沖縄民衆の声を無視し、この4月17日に特措法改悪を強行した。このパネルディスカッションは、これら一連の沖縄闘争に対して「中間総括」的な討論を行おうとして設定された。パネラーは、太田武二さん(命どぅ宝ネットワーク)と国富建治さん(新時代社)。

安保幻想は崩せる

 太田さんは、沖縄闘争の総括視点として、「特措法の改悪が成立したことをめぐって、敗北したという総括もある。だが、この闘いは、政府が進める沖縄・安保政策と民衆レベルでの落差を明らかにさせた。この成果は、次の反安保・沖縄闘争の土壌を豊かにするのではないか」と提起した。そして、民意とかけ離れた国会の姿を浮き彫りにすることに成功し、沖縄とヤマトの闘う連帯をより強める方向を作り出すことができたことに注意を促した。
 また、「破防法適用は憲法との照し合わせにおいてつぶすことができた。だが、日米安保に照し合わせると人権抑圧の特措法がさらに改悪されてしまう」という構造を分析しながら、戦後史の原点である安保に対する本質的批判を全面化しなければ、実質改憲の流れに引きずられてしまうことを強調した。
 さらに、「沖縄では、『沖縄独立宣言』(本紙前号に書評)のベストセラー化にみられるように独立志向が大衆的に公然化していることや、沖縄と各地域での民衆レベルでのつながりがより強まっている。ヤマトでは、安保は平和と安全と安定化、繁栄のために有効であるという『日米安保共同幻想』がまだ生き続けているが、かならず運動によって崩すことができる」と述べ、一つの試みとしての文化運動の重要性を提起した。

中間総括の視点

 国富さんは、冒頭において、今年の5・15を区切りとして、沖縄闘争をめぐる論議の後退についての危険性を指摘した。そのうえで95年9月以降の「第三次島ぐるみ闘争」の過程を概括しながら、@政府にとっては、いかに沖縄の問題を地域的なレベルに押し込めていくかがねらいだったが、その思惑通りにはいかなかったA特措法改悪を契機にした「保保連合」の台頭が、議会政治への不信を増幅させ、沖縄においては「自治・自立」論の気運が高まったB特措法は「有事立法」や改憲と連動した重大な攻撃だが、それ自体「安保・沖縄」をめぐる対立の構造を鮮明にした―などの特徴点を明らかにしていった。
 また、「沖縄自治・自立論」をどうとらえるのかというテーマから、かつての沖縄返還闘争時における「本土復帰・労農自治政府論」や新左翼諸党派の主張の限界について展開。その上で、今日の「沖縄の自治・独立論」に対しては、新崎盛暉さんの「沖縄独立論の虚実」(沖縄タイムス5・30)―「地道に社会的運動と結びついていない現状があり、今のままだと居酒屋談議の域を出ていない」という批判を紹介しながら、次のように提起した。
 「これは一つの弱点を指摘している。だがこの間の自治・独立の拡大は、国民国家の絶対性のゆらぎ、アジアとの結合、ネオリベラリズム的『発展』の展望などの現実的根拠が存在している。この問題に対して本土と沖縄の共同の努力として、反安保・基地撤去の闘いと結びついた沖縄の自治・自立の可能性をたぐりよせるための長期にわたる闘いと論議をしていかなければならない」。
 討論では、95年9月以降の沖縄連帯闘争に参加してきた仲間からの発言、人権と軍隊という暴力装置の問題、自衛隊兵士獲得と大衆運動の関係、この間の沖縄現地における諸運動の評価などが出され、最後に持続的な討論と共に6・15沖縄闘争への参加を確認した。(Y)




7・27 香港返還現地訪問報告会 

7月1日を越えて

中国・香港民主派とのスクラムを!

 「7月1日を越えて」実行委員会
 7月27日、「7月1日を越えて」と題して、香港返還現地訪問報告会が開かれた。会場の東京・文京区民センターには43人が集まり、ビデオやスライドをまじえた現地報告を開いた。
 最初に報告したHong Kong Calling 実行委の桜井さんは、ブラックバードのレニーさんたちと行動している時、白人の観光客たちに中国人と間違えられて感じたという「違和感」について語った。
 「ビラを渡すと、ウンウン、分かっているよっていう感じで、『がんばりなさい』と言ったりする。でも香港の民主派の運動は、中国の人権弾圧を批判しても、イギリスの植民地支配を承認しているわけではない。しかし、民主派イコール英国支配肯定派と誤解する白人の観光客が多い。香港の仲間は『私たちの民主化はイギリスに教えられたんじゃなくて、イギリスの植民地支配と闘う中で手にしてきた。イギリスと別れることに何の未練もない』と語ってくれた」。
 ビデオが上映され、6月30日から7月1日の、熱気にあふれた民主派の行動が映し出された。続いてアジア連帯講座の仲間が、現地報告(詳しくは本紙前号と今号の報告記を参照)を行った。先駆社をはじめとする革命的民主派の仲間たちの闘いは、いまのところ中国官僚の公然たる弾圧は許していないが、これから半年後、一年後は何の保障もない。それは香港民主派の闘いにかかっているのはもちろんだが、何よりも中国全土における反官僚闘争の前進と、日本をはじめとする国際連帯運動の圧力にかかっている。
 民主中国陣線日本分部からは、6月4日の中国大使館への申し入れ行動で不当逮捕された李松さんの救援についてのアピールがされた。6月25日には、李松さんは不当起訴された。取り調べでは、顔面をなぐるなどの暴力が振るわれ、「自白」が強要されたという。
 民主活動家として難民申請中の李松さんは、この起訴によって、入管当局に収容され強制退去される恐れが出てきた。中国へ強制送還されれば、過酷な人権弾圧が待っている。支援の活動を強化しなければならない。
 最後に、若干の質疑応答を行って、今後も香港の民主派とのつながりを強化していくことを確認した。(R)





ホームに戻る