号外 97・10・11発行


董建華香港行政長官の訪日にあたって

イギリス植民地Hong Kongが中国・香港になってからすでに100日以上がたちました。返還後の香港の元首である董建華が10月15日から三日間の日程で日本を訪問します。これに際して、私たち「アジア連帯講座」は香港の民主主義の発展に憂慮するという立場から、また現在も香港で民主化のためにたたかっている友人たちに連帯するという立場から、董建華香港行政長官の訪日に抗議します。
9月28日に、香港の国会にあたる立法評議会の選出方法に関する法律が可決され、そこでは返還前に拡大された有権者の数を、大きく削減するということが決まりました。
返還前の香港の選挙制度は、有権者が地区ごとの議員を選ぶ直接選挙枠と、各種職業別の代表が業種別の議員を選ぶ職能別選挙枠の二種類が併用されていました。しかし、95年の立法評議会選挙に際して、当時香港総督だったパッテンは、職能別議員選出の有権者を「代表」からその業種で働く労働者全員に拡大しました。また直接選挙枠では小選挙区制が導入され、それにより95年立法評議会選挙では「民主派」が大勝利を収め、親中国派は大きく後退してしまいました。
しかし、これに不満を表していた中国政府は、97年7月1日午前0:00をもって「民主派」が過半数を占める議会を解散させ、98年の立法評議会選挙までのあいだは親中派で固められた議会である「臨時立法評議会」をその代わりとして運営させています。今回、この臨時立法評議会が、95年に拡大された職能別団体選挙有権者をもとの「代表」のみに戻すことを決定し、それにより選挙票が270万票から20万票に激減することになります。また直接選挙枠の小選挙区制度が比例代表制に改められることも決定され、民主派に不利な状況になっています。植民地から脱した香港が、わずか100日足らずで植民地時代の選挙制度に逆戻りしてしまいました。
また、それ以外にも返還直前に立法評議会で可決された労働組合の団体交渉権を定めた法律が、返還後間もなく臨時立法評議会で「凍結」されてしまいました。
それ以外にも、片親が香港市民であれば香港の居住権を認められている大陸生まれの子供たちが、香港に「越境」してきています。それに対し香港政庁は不十分な対応しかしておらず、また香港の裁判所は「越境」を理由に香港の居住権を認めませんでした。
日本の一般紙では、あたかも香港は返還後も「安定」しているかのようにいわれていますが、現実はそうではないのです。
香港では80年代初めから増加した産業の中国本土移転により、労働者・民衆の生活レベルが悪化しています。そして女性や青年、高齢者がそのしわ寄せにあっています。また中国でも、これまで民衆の就業、福祉、社会保障を担ってきた国有企業が、「民営化」推進の大号令のもとで解体されようとしています。それにより中国民衆の生活はこれまで以上に悪化することは確実です。香港の民主化を防衛・促進するたたかいは、民衆の生活を守るたたかいと一体です。香港民主派は、この生活難に苦しむ民衆と共に今後の民主化運動を進めていくでしょう。
私たち「アジア連帯講座」は、この1年のあいだ香港、中国問題に取り組んできました。7月1日には、香港に代表団を派遣して現地の民主派や労働者支援組織の行動に参加しました。約150年にわたる植民地時代の最後の時期に、香港民衆が長いたたかいのすえに勝ち取った民主的権利を防衛し、それを一層拡大するために活動している民主派は、今後中国を含めた民主化運動に進むことになるでしょう。私たちはアジアにおける大きな変革の契機となる香港・中国民主化運動連帯を日本の変革と共に進めていきます。今後も香港、中国を注視し、可能な限りの支援・連帯を進めていきます。


98年選挙は一人一票の直接選挙で!
資産階級に有利な職能団体別選挙枠廃止!
大陸からの子供に香港居住権を!
女性・高齢者に仕事の保障を!
「凍結」された労働法を解除せよ!

アジア連帯講座



97年10月11日に恵比寿駅頭で、このモンスーンをまきながら情宣活動を行いました。 ACTION!




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