モンスーンNO.5/ 97年5月24日発行


「6・4」天安門事件八周年
中国民主化闘争連帯!共産党官僚による民主派弾圧を許さない!
89年天安門虐殺事件から8年。この間、多くの人々が、中国共産党の弾圧に屈することなく、89年民主化運動の名誉回復と民主化を叫びつづけてきました。私たちは天安門の人民英雄記念碑の下で倒れた人々に哀悼を表し、現在もなお、中国国内をはじめ全世界で中国の民主化を求め闘いつづけている人々、そして暗く冷たい監獄につながれながらもなおその志を貫こうとしている闘士に敬意を表します。
今年は、これまでの7年間とは大いに異なる2つの出来事があります。一つは、89年民主化運動を武力で弾圧したケ小平が死去したことです。彼は「偉大な総設計士」として、「先に富めるものは先に富め」の大号令を発し、「改革・解放」政策を推し進め、「中国の特色ある社会主義」を確立したとされています。その結果、確かに中国のGNPなどが成長し、民衆の消費文化も飛躍的に向上しました。しかし、農村の一部の者と都市の一部の者、特に官僚的特権を持った者が「改革・解放」政策や市場経済化を利用して、富を蓄え、現在もなおそれは続いています。
その一方で、農村ではさまざまな名目で押し付けられる財政負担に苦しむ農民がいます。都市の国有企業労働者は、医療保障や老後保障が剥奪され(農村には当初からなかった)、何ヶ月も賃金が支払われず、民営化によりリストラされる労働者がいます。失業者、半失業者を合わせると優に億を超す労働者が「改革・解放」「社会主義市場経済」という名の資本主義化政策の犠牲になろうとしているのです。
これまで「指令経済」の指令者として現在の状況を作り出した官僚は、何の責任もとることなく、これまでのポストにしがみつき、あるいは資本家へと転身しています。全国で起こっている農民・労働者の局部的な抗争に、彼ら官僚は一歩も譲ることはできず、ただただ「厳打」(厳しく取り締まる)という、これまでと何ら変わることのない方法でしか対処できないのです。しかしここに来て、官僚の代表者であり、カリスマ的存在であったケ小平の命が尽きてしまいました。
もう一つの出来事とは、7月1日控えた香港返還です。香港では89年民主化運動弾圧以来、追悼集会が大規模に行われてきました。また、返還に際して中国共産党が画策してきたさまざまな非民主的なやり方(臨時立法評議会の設立、初代行政長官の選出、人権法と弾圧法の改悪などなど)に対しても、多くの民衆が異議を唱え、抗議集会やデモを組織しています。89年民主化運動の巨大な遺産の一部は、現在でも香港で生き続けているのです。私たちは、香港の民衆が返還後も、この遺産を防衛しぬき、新たな生命を吹き込むことができると信じています。新たに生命を吹き込まれた運動こそが、中国の民主化を推し進めていくでしょう。
中国で進む資本主義化と、香港で進む官僚と資産階級の非民主的同盟がもたらすものは、民主主義とはるかにかけ離れたものであることは明らかです。そして、中国の抱える矛盾はますます拡大していくでしょう。遠くない将来、中国民衆は現在の動揺する官僚支配をそのこぶしで打ち砕いていくでしょう。
私たちは中国民衆の民主化闘争を支持し、支援する国境を越えたスクラムを作り出さなければならないと考えています。中国の民主化を求める世界中の人々とともに、真の平等、真の自由、そして搾取のない社会の模索を進めていきましょう。

中国共産党官僚は、民主派弾圧、チベット、ウイグルなどの民族抑圧をやめろ!
香港民主派弾圧を許さない!
日本政府は、釣魚台に対する領有権を撤回せよ!
日本政府は戦争被害者に対する謝罪と保障を行え!

1997年5月24日
アジア連帯講座事務局


(この号は、6月8日に東京で行われた民主中国陣線日本支部が主催した「6・4天安門事件8周年追悼集会」でも配りました。)




4・5香港民主派に連帯する集い
香港・先駆社の劉宇凡さんを迎えて

7月1日にイギリスから中国に返還される香港では、現在多くの問題が起こっている。アジア連帯講座は、4月5日に「香港はどこへ 民主派に連帯する集い」を開催した。
香港からのゲストとして、これまで半植民地・反資本主義・反中国官僚社会主義・中国民主化運動支持を掲げてきた雑誌『先駆』の編集者で、現在も香港の民主的返還と中国の民主化のために闘っている劉宇凡さんを招いて、ケ小平死後の中国と返還を間近に控えた香港について語ってもらった。テーマは「中国資本主義の復活を民衆運動の展望」。
劉さんは、「社会主義中国は、ケ小平の『改革・解放』政策以後、経済成長の一方で、ますます資本主義へと傾倒し、現在そのひずみが、地域の経済格差の拡大、国有企業労働者を中心とした失業者の急増、とどまることを知らない官僚腐敗などとなって現れている」と述べた。また、香港返還の問題については、強まる中国共産党と香港資産階級の支配体制や、香港労働者が直面する失業の状況などを報告。
さらに返還後、予想される民主派弾圧には決して屈服しないと強調し、返還に向けた取り組みとして、6月30日に民主派による集会とデモを行うことを明らかにした。そして、「国境を越えた人々の支援や激励や連帯こそが、香港と中国の民主化を促すことになる」と訴えた。
このほかに、海外で中国の民主化を訴えつづけている民主中国陣線日本支部の代表からのアピールを受けた。
返還後も香港では民主化をかちとる闘いが継続される。また中国国内でも民主化の要求は不断に掲げられている。アジア連帯講座は、香港民主化と中国民主化に連帯するために、香港返還にさいし代表団を派遣し、7月下旬に報告会を予定している。官僚支配と資産階級支配を許さないインターナショナルな団結をすすめよう!(H)




ディスカッション


地に花を、軍事基地に死を、北朝鮮にコメを……

5月15日、沖縄の米軍用地土地使用期限切れに際しての土地明け渡し要求行動に参加した。
嘉手納基地のゲート前に千人以上の人々が座りこんでの闘いも、基地内への立ち入りは実現しなかった。反戦地主は、「私の土地はここから1.5キロのところにある。今はその距離の何十倍の距離に感じる」と語った。
この2年間は沖縄も、いまの時代にしてはそれなりに本土も頑張ったと思うが、なんだかんだと言っても国家とか、権力って強いなぁ、と実感した。
政府が沖縄県を訴えた「代理署名裁判」、そして特措法改悪。安保のためなら法律まで変えて、三千人の土地所有権を踏みにじることができるなんてのは、いま考えてもすごいことだ。国会でろくに審議もせずに、地主が「土地泥棒!」と叫んだだけで逮捕できる。権力者ってのがいかに横暴な連中か、沖縄の闘いはあらためて浮き彫りにしたと思う。
そうは言っても、残念ながら「沖縄は大変そうだけど、安保は必要だと思う」という意識を大きく変えることはできなかったように思う。この意識を変えなければ、基地を無くせるはずもない。
「安保必要論」の人々は、「北朝鮮が攻めてきたらどうするんだ」とかならず問うてくる。ひどい人になると「朝鮮半島は戦争になるんだから、サッカーW杯は日本単独開催になる」などとまるで他人事だ。
わたしはきまって「でもね…」と反論する。食べ物も本も電気もシンドイ状況な国が戦争するのかね。北朝鮮の権力者だって、ヤケクソで戦争して滅びるよりは、特権階級の地位を手放したくないんじゃないの。
「ソウルを火の海にしてやる」なんてすさまじいことを言っているけど、あれだって「チーム・スピリット」ナントカって、アメリカ・韓国両軍が自分の国のすぐ側でしょっちゅう軍事演習やられちゃ、はったりの一つも言いたくなると思うけどね。それにアジアに行けば北朝鮮なんて問題にならない。本当に恐いのは日本の軍事大国化だ、とかならず言われるよ……なんて言うと、たいていの人は納得してくれたようだが、頑迷な人もいる。「コメの援助なんかしても横流しされる」「国家に軍隊は必要だ」等など。
隠しきれないぐらい援助すればいい。減反なんかやめてどんどんコメを作って日韓共同であふれるくらい援助すればいい。そうしたら援助してくれる国を攻めたりしないだろうし、そのコメで体力がついた民衆は南の闘う労働者・学生と結びついて、専制政治を打倒するだろう(実はこれが日米間支配者の最も恐れるシナリオだ)。
平和外交ってそういうものだ。在日・在韓の米軍が平和の役に立ったことがあるのかな。レイプ、殺人、ひき逃げ、力を誇示するための演習、そして戦争という大量殺人だ。あるいは、沖縄は地理的に戦争に最も巻き込まれかねない場所にあるけど、その沖縄の人々が基地をいらないと意思表示しているのはどう思うのか……。
これに反論してきた人はいまのところいない。議論でやっつける気はないのだから、相互理解に行きつければいいのだけれど……。
沖縄は叫ぶ、国家も軍隊も民衆を守らないと。国家とか、政治家とか、軍隊とかへのすべての幻想を捨てたとき、私たちは一つの結論に行き着かざるを得ないだろう。それは……。(江東)





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