Vol.2(96年11月23日)


日本政府はすみやかに釣魚台の領有権を放棄せよ!

去る10月14日、小雨が降る中、私たちは釣魚台問題で外務省に申し入れを行った。香港の民主化活動家が溺死したのをきっかけとして香港をはじめ各国の民衆による抗議が湧き起こっている。日本政府・外務省は、右翼が立てたとされる灯台を撤去し、歴史的にも領土といえない(侵略戦争の産物)釣魚台を解放せよ!これらの抗議に答えるべきである。申し入れ後、私たちは日本政府・外務省への抗議のシュプレヒコールをあげた。
私たちは、日本政府が釣魚台に対する領有権を主張し、右翼団体による灯台の建設を事実上黙認していることに対して強く抗議します。日本は1896年3月、天皇の命令する法律「勅令第12号」で一方的に釣魚台を沖縄県石垣島に編入しました。当時日本は日清戦争に勝利し、台湾、遼東半島を当時の清国から略奪し、中国・アジアに対する侵略を開始しました。その侵略戦争を遂行する過程で行われた一方的な釣魚台の日本への編入は、1945年8月15日の無条件降伏まで続く日本帝国主義のアジア・太平洋・中国への全面的な侵略戦争の時代の始まりを告げるものでもあります。現在日本政府の主張している釣魚台の領有権は、このようなアジア・太平洋の人々の血に染められた根拠に基づくものであり、絶対に認めることはできません。
現在中国、香港、マカオ、台湾では、歴史認識を疑うような日本政府の主張と対応に、抗議の行動が起っています。8月の末に香港を訪れた池田外相は、日本が香港を占領していたときに発行され戦後は紙クズ同然となった軍票問題などの戦後補償を求める人々の抗議に対し背を向けるよう不誠実な態度を取り、また香港の日本総領事館は釣魚台問題を「些細なこと」としたため香港の人々の憤激を買いました。満州事変から65年目の9月18日には、約6千人の香港の人々が日本政府による釣魚台の領有権主張に抗議し釣魚台を守り抜く集会に参加しました。9月29日には、26日に釣魚台領海で溺死した、香港の活動家の追悼集会が開かれ3万人の香港の人々が参加しました。台湾でも抗議活動や署名活動、日本製品不買運動が広がっています。中国でも民間組織による抗議団体が結成されたり学生による抗議活動が準備されています。日本政府の一連の言動に対して「侵略の歴史を認識して真剣に反省し、平和発展の道を歩むよう」に求めています。
しかし、与党自民党は、今回の総選挙にともなう選挙公約として、靖国神社への公式参拝、韓国との間で問題になっている独島(竹島)と釣魚台の領有権の主張を盛り込み、中国、香港、マカオ、台湾、韓国の人々の抗議の炎にさらに油を注ぎました。現在各国で起っている戦後補償要求の声に耳を傾けない日本政府の態度と、釣魚台や独島に対する日本政府の領土拡張的態度は、侵略戦争に対する反省が全く見られないばかりか、ふたたび過去の道を歩もうとしていると思われても仕方がありません。そしてこのような対応を見せる日本政府が4月に行った日米安全保障条約の強化と広域化はアジアの人々の不信感をさらに倍増させています。釣魚台問題に関する日本政府の一連の対応は香港、台湾、中国における抗議行動に対しての回答であると考えることができます。それゆえ日本政府に対する抗議の声はさらに拡大するでしょう。私たちは香港、台湾、中国の人々とともに日本政府のこのような国際的に見ても理解しがたい言動に強く抗議していきます。
私たちは以下のことを要求します。

  1. 日本政府は速やかに釣魚台に対する領有権の主張を撤回すること。日本政府は右翼団体により建設された灯台を撤去すること。
  2. 日本政府は海上保安庁に対して香港、台湾、中国人の釣魚台上陸の妨害をやめさせ、すみやかに撤退するように命令すること。
  3. 日本政府は戦争被害者の個人補償要求に対し被害者当人が満足する対応をすること。
  4. 日本政府は靖国神社への政府関係者の参拝をやめさせること。

1996年10月14日
アジア連帯講座




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