「六・四」天安門事件10周忌
89年中国民主化運動を戦車で押し潰した第二次天安門事件から10年にあたる今年は、世界各地で関連集会が開催されました。日本でもアムネスティや在日中国人グループによる追悼集会やデモが行われました。以下はその報告です。



6.3 「六・四天安門事件」10周年追悼集会&デモ

 六月三日、東京・渋谷で一九八九年の天安門事件から十年にあたって、事件から十年後のいまも獄中にある数百人の政治犯の釈放と人権弾圧の中止を求める集会とデモが行われた。
 この集会とデモはアムネスティ・インターナショナル日本支部が呼びかけ、民主中国陣線日本分部や、アジア連帯講座など中国民主化闘争を支援するグループと個人約百人が参加した。
 犠牲者を追悼する白い花飾りとペンライトを手に、プラカードや獄中者の写真、横断幕、のぼりを持って渋谷一周デモ。デモ終了後、宮下公園で簡単な集会を行った。
 集会では、アムネスティ・インターナショナル日本支部中国調整グループから現状報告。天安門事件をめぐって、当時十五歳で不当逮捕され、懲役十五年の刑を受けていまも獄中にある劉新さんや、同様に八九年六月に四川省で「反革命宣伝扇動罪」で逮捕され、懲役二十年の刑を受けた雷風雲さんなどの例が紹介され、一刻も早い全政治犯の釈放が呼びかけられた。
 中国民主化のために活動する民主中国陣戦日本分部が、十年後のいまも改善されていない人権状況や政治状況について報告。続いて在日中国大使館に天安門弾圧への抗議行動を行った際に不当逮捕され、警察で暴行を受けた林国輝さんと、林国輝さんを守る会が、国家賠償請求訴訟の現状について報告した。
 アジア連帯講座の仲間が連帯あいさつを行った。「天安門では、武力で民衆の民主化要求が押しつぶされた。武力で物事は解決しない。NATOはユーゴ空爆を行っており、日本でも武力で国際紛争を解決しようとする法律が作られた。私たちはこうしたやり方を認めない。中国民主化が実現される日のために、世界中で闘っている人たちとともにがんばろう」。
 アムネスティ・インターナショナル日本支部中国問題調整グループが最後にまとめの発言。江沢民にあてた「天安門事件十周年を迎えるにあたって」と題する共同声明を全体で確認した。(I)



6.4 「六・四天安門事件」10周年追悼集会


中国共産党が民主化運動を戦車で圧殺した天安門事件から十年目の六月四日、東京の豊島区民センターで「六.四天安門事件十周年追悼集会が開かれた。主催は民主中国陣線日本分部。
八九年の民主化運動とそれを銃と戦車で弾圧したいわゆる天安門事件を扱った当時のニュースや、最近台湾で放映された天安門事件十周年の特集番組がビデオで流されたあと、天安門事件で犠牲になった学生・労働者に一分間の黙とうが捧げられた。
最初にスピーチに立ったのは、主催者の民主中国陣線日本分部主席の趙南さん。趙南さんは民主中国陣線日本分部による「六・四 十周年声明文」を読み上げた。声明は「天安門事件から十年という月日が経つが、六月四日は人々にとってますます重要な日になっている」「民主的メカニズムは、社会的免疫のメカニズムであり、それを欠いた全ての政治体制と社会は崩壊へ向かうことを免れない」「中国共産党指導部が二十世紀の終わる前に国民に対して正式に謝罪し、中国が新しい姿で二十一世紀を迎えさせるよう」要求している。また、現在の中国国内の民主化運動を「困難な状況のなか弾圧を恐れない多くの活動家が立ち上がっている」と紹介した。
次に、ダライラマ法王事務所のギャルミーワンダさんが、ダライ・ラマが天安門事件十年に寄せて各国の民主化運動に当てたメッセージを読み上げた。メッセージは「チベット問題を解決することは単にチベット人だけのためではなく、同じように中国人にとっても大切なことなのです」と最後を締めくくっている。
次に趙南さんの難民認定申請裁判の弁護を担当している池田弁護士があいさつをした。池田さんは「趙南さんはこの裁判の中で、日本が法治国家であることを信じたい、と訴えていますが、法治のもっとも大切な民主主義や人権が十分ではなく、そのことに多くの日本人が気がついていない、あるいは気がついていても見ない振りをする」と語った。また、戦後補償や公害被害者への補償が不十分で、基本的人権を犯す盗聴法や住民基本台帳法の改悪がもくろまれ、戦争のための法律であるガイドライン関連法案の国会可決を取り上げ、「日本が人権を抑圧する国になろうとしている。天安門事件によって中国の人々の経験した苦しみを日本人も経験しないように注意しなければならない」と訴えた。
次に、アムネスティ・インターナショナル日本支部の大見川さん。「十年という月日は決して短い時間ではありません。しかしこの十年をずっと獄中で過ごしている人が、少なくとも二百四十一人もいます」と、八九年の民主化運動に参加したことでいまなお投獄されている人々への関心を呼びかけた。また、NATOによる中国大使館爆撃に抗議した中国人学生と日本人留学生との間で起こった摩擦について、「非常に残念でならないが、お互いによく理解できていないことが問題なのではないか」と語り、「しかし私はアムネスティの活動を通じて尊敬できる中国人や日本人を知ることができた。これからもともに活動を続けましょう」と締めくくった。
この集会は二部構成になっており、続いて第二部では、大阪在住のパーフォーマンスアーティスト黄鋭さんの演出による天安門事件をテーマにしたパフォーマンス・アート演劇「JUNE 君之死」が上演された。(H)





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