クリントン米大統領の債務帳消し発表に関する声明

 先日、アメリカのクリントン大統領が二国間債務の帳消しを発表したが、それに対してジュビリー2000南アフリカが声明発表した。
 この発表は歓迎すべきものだが、HIPCsイニシアティブや、ケルン・イニシアティブの経験からして、動きを注意深くみておく必要がある。ところで、債務帳消しに最も強硬姿勢をとっている日本だが、他ならぬアメリカのこの「勇断」にどう対応するのだろうか。(F)

なお、原文は Jubilee 2000 South Africa のウェブサイト。


クリントン米大統領の債務帳消し発表に関する声明
ジュビリー2000南アフリカ

1999年10月3日


 1980年代以降、われわれは幾度となく、債務「帳消し」に関するすばらしい発表を聞いてきた。しかし、第三世界の債務危機は、これまで以上に大きくなっている。それ故に、われわれは警戒心を持ちつつも、アメリカ合州国の二国間債務を100%帳消しにするというクリントン大統領の発表を歓迎する。さらに、包括的債務帳消しは「道義的、経済的に避けられないもの」という認識を、クリントンが示したことを歓迎する。未だ二国間債務を帳消ししていない富裕国の指導者たちは、これと同じことを行い、貧困国のすべての債務を破棄すべきである。今こそ、その時である。

 クリントンの発表によって、ジュビリー2000が要求するすべての債務の帳消しは、経済的無責任であり不可能だと批判してきた人々は、その説得力を弱めることとなった。ジュビリー2000南アフリカは、IMF・世界銀行による第三世界諸国の多国間債務の、構造調整条件なしの100%の帳消しを要求する。

 ジュビリー2000はギアをシフトし、クリントンの発表に続いて、アパルトヘイト債務の即時破棄を求め、アパルトヘイトに対する資金援助者にいっそう圧力をかける。今こそ、アパルトヘイトから利益を得たドイツ、スイス、イギリス、アメリカの銀行は、不快なほどに暴利をむさぼるのを止め、作り出した苦しみに対する賠償を行う時である。なぜアパルトヘイトの犠牲者は、二度もアパルトヘイトに苦しまなければならないのか? われわれは彼らに対し、違法なアパルトヘイト債務の帳消しを求める。

 クリントンは「うまくやる」こともできる。約束した二国間債務の100%の帳消しに構造調整の条件を付け、それを強制するならば、貧困を撲滅することにはならない。真の債務帳消しは妨害され、失業は増え、社会サービスは制限され、貧困と不平等はさらに深まるだろう。クリントンは同時に、アフリカ成長機会法案を破棄しなければならない。もしこれが成立すれば、さらに過酷な条件をアフリカ諸国に強制することになる。ジュビリー2000は、債務の帳消しを利用して、貧しい人々に有害な経済政策を一方的に押し付けることには反対である。

 未だ、ほんのわずかな国だけが、厳しい制限を付けて選択された債務を帳消することが約束されているに過ぎない。債務のない新しい世紀に向けて、ジュビリー2000は、すべての第三世界の債務の完全な帳消しを呼び掛ける。クリントンの提案はわずか36カ国の二国間債務の帳消しであり、それはわれわれの要求に全く及ぶものではない。

 クリントンの発表は、開発援助と共に行われるべきものであり、それに取って代わるものであってはならない。貧困国に対する開発援助はここ最近、急激に減少している。もしすばらしい債務帳消しの意思表示が意義あるもので、見せ掛けではないとしたら、真の”特赦”の債務帳消しによって、貧しい人々は真の利益をさらに得るだろう。

 ジュビリー2000は、民衆の連帯のグローバル・ネットワークを強化し、うち固めてきた。それは「南−南サミット」において発揮されるだろう。アフリカ、ラテン・アメリカ、アジアの至る所で力強い社会運動を行っている、ジュビリーのキャンペーン推進者と活動家は、11月18日から21日にかけてジョハネスバーグに集まり、第三世界の債務の即時・完全な帳消しを要求するための会議を行う。

照会、質問は以下まで。
Jubilee 2000 SA
Publicity Officer, George Dor, george@sn.apc.org
at tel.011 648 7000
または
National Secretary, Neville Gabriel
at tel.083 449 3934




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