中国・四川省で労働者に対する弾圧!

改革開放の最終段階といわれる、国有企業の改革が進められています。9月に開かれた中国共産党第15回大会の江沢民総書記の政治報告では、「(国有企業の)大型に力を入れ、小型を自由化」するとされました。また国有企業の整理統合に伴って増加するレイオフ労働者に対しては、「(彼らの)生活に関心を寄せ、面倒を見て、職業訓練を行い、就業の途方を広げ、再就職事業を促進すべき」と提起されました。しかし今回の弾圧事件は、レイオフ労働者が生活の糧を得るために使用していた三輪自転車タクシーの市街乗り入れを禁止しようとした当局に対して、労働者が抗議し、それに対して当局は弾圧をもって対応したのです。今回の事件は、江沢民の政治報告が口先だけのものということを明らかにしました。政府は、改革開放最後のしっくい、国有企業「改革」を進めるにあたって、国際資本の協力と、暴力装置を用いています。以下に掲載するのは、89年の民主化運動の弾圧を逃れ、香港で活動している労働活動家の韓東方氏が発行している『中国労工通訊』から訳出したものです。(H)



『中国労工通訊』より
自貢市当局による労働者のデモに対する弾圧およびデモ参加労働者逮捕に関する声明

十二月四日に四川省自貢市で政府が生存の権利を剥奪していることに抗議するレイオフ、失業労働者によるデモ行進が発生した後、デモに参加した大衆とそれを取り巻く支持する観衆によると、五日午前一時頃、公安は十数名のデモ関係者を逮捕した。彼らは皆ふとしたあいだにデモの集団から離れたのち、すぐにそばにいた公安に逮捕された。五日の昼ごろ、四日に解散させられたデモ参加労働者の一部は、逮捕者が出たことを聞き、続々と前日のデモ地点に帰ってきたが、その中の二十数名がすぐに捕まり警察の車に押し込められ殴られた。その後午後二時にはまた五十名余りのデモ参加労働者が帰ってきたが、捕まり暴行を受けた。

その中の傍観者のひとりによると、五日の昼に自貢市のデパート前にいた四十数歳の市民は警察がデモ参加者を捕まえ殴るのを見て、「このご時世は何と汚れているのか」と独り言をつぶやいただけで、近くにいた私服警官がそれを聞き、すぐに警官に殴られ連れ去られた。

この傍観していた自貢市民によると、今回のデモ行進の原因は、自貢市の常務副市長が十二月四日の交通管制動員大会(なんだそれは?:訳注)で、レイオフ労働者が生計の拠り所としている三輪バイクでの市街地侵入を禁じると発表し、法によって市を治め、法によって国を治め、法律を自貢市に流通させると宣言したからである。それと同時に、自貢市のテレビ局は十二月一日から、数日間にわたり「たとえ数千人が犠牲になり、数万人の既得権益を対価としても、美しい自貢市を建設し、来年初めに自貢恐竜提灯祭りを実施しなければならない」という行政側の立場を放送しつづけた。
さらに、今年の十月初めから現在までに、自貢市ではすでに四人が生活苦と屈辱から自殺した。自貢機械第一工場、自貢糖果工場労働者も少し前にデモ行進をして生活の保障を要求した。、また全国紙『文摘週報』の十一月二十四日の報道によると、合わせて六万人の四川省江釉市「長城特殊鉄鋼工場」では、三万人が十ヶ月間も賃金が支払われておらず、すでに労働者の強い不満を引き起こしている。

以上のような事件と事実から、われわれ中国労工通訊は、厳粛に声明する。
1)われわれは、自貢市当局が暴力的に平和的なデモ労働者を弾圧した違法行為を厳しく非難する。これは公民の集会・デモ行為の権利に対する明らかな侵犯と粗暴な踏み付けである。
2)われわれは、自貢市政府および自貢市常務副市長本人に、法による国の統治、法による市の統治、法律を阻害なく運用させる意味を分からせ、決して政府が自由に公民の基本的権利を剥奪できるものではないということを提唱する。法による国の統治は、政府が自由に暴力を行使することではない。
3)いわゆる数千人ひいては数万人の権利を犠牲にして美しい自貢市を建設するという言い方は、われわれ労働者は絶対に受け入れることはできない。あなたがた官僚はなぜ美しい自貢市を建設するために少し犠牲にならないのですか?もし他人から無条件の犠牲を強制されるのであれば、それが不公平なものであれば実施することはできない。

われわれは自貢市に強く要求する。
1)デモ逮捕者を即刻釈放せよ。
2)労働者の生活は非常に困難であるゆえ、同じような労働者のデモは今後も起るだろうが、今後同じような事態が発生した場合、自貢市当局は宜賓、成都などの都市の積極的な経験を汲み取り、平和的手段を以って平和的デモに対処すること。
3)友好的な社会保障制度を一刻も早く設立すること。これは現在の労働者の生活を保証し、社会的安定を維持する唯一の方法である。

われわれは自貢市の全てのレイオフ、失業労働者に呼びかける。
1)一切の可能性を模索して、自分達で選出した代表と政府部門との話し合いをおこなおう。これは問題を解決するもっとも有効的な道であり、また唯一の道である。
2)デモは話し合い以外の圧力手段でなければならず、それは社会的同情と支持を獲得するために、全社会に対して行われる宣伝である。デモを用いて交通を遮断して政府に圧力を加えることは、当然われわれの正当な権利であるが、交通を遮断する時間は二時間未満が最も好ましい。これは市民生活に影響せず、また同時に宣伝と圧力の成果を獲得することができる。
以上
自貢市人民政府および各メディア機構へ
韓東方
一九九七年十二月六日





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