右翼の集会破壊・暴力にやり返し、靖国・天皇制を解体しよう!
戦争責任をあいまいにし「戦争のできる国家」へ
むけて画策する小泉政権を打倒しよう!
--8・15反靖国1日行動を終えて--


 8月15日は紛れもなくアジア各国への侵略をほしいままにしてきた日本帝国主義が一敗地にまみれた特別な日であるが、少なくない日本人が「お国のために」死んだ人を慰霊する日だとしか考えていない。今年も、日本武道館で開かれた「全国戦没者追悼式」では、天皇が「お言葉」を発し、靖国神社における20代の若者の参拝者が激増したという事だ。このように依然として天皇家を頂点とする日本の、アジア民衆に対する戦争責任をあいまいにしたまま、新たな戦争国家化をもくろむ小泉首相は、13日に日程を前倒ししながらも公式参拝を行ない、この日の午前中には千鳥ヶ淵墓苑にも訪れた。また石原都知事や幾人かの閣僚も公言どおり、靖国神社に参拝した。

「右翼銀座」と化した靖国神社前で敢然と抗議行動


靖国神社に向けて抗議を行なう参加者たち
 小泉たちの靖国参拝を弾劾する抗議行動はまさに一日がかりのものとなった。アジア連帯講座は午前中、キリスト者をはじめとする宗教者の呼びかけによって行われた抗議行動に参加した。この行動は特にデモという形をとらず、三々五々、靖国神社の前におもむき、抗議の意思表示をしようというものだった。予想された、警察による旗、横断幕への規制が行われることもなく、約200人の参加者は靖国通りを渡り終えて、二の鳥居の前から本殿へ近づこうとしていた。そしてこの時、通りを街宣車のオンパレードさながらに埋め尽くしていた右翼団体の構成員による妨害活動が始まった。最初は「畏れ多くも英霊の御霊に対して失礼だろう」、[今日が何の日だか分かっているのか]などと因縁をつけてきては、抗議行動の参加者に「アジアで侵略によって殺された人達にこそ失礼だ」、「今日はアジア解放記念日に決まってるだろう」という具合にことごとく言い返されて、次の言葉に詰まる右翼たちであった。だが抗議行動の参加者にばかり「旗をおろせ」「挑発するんじゃない」と規制を加える一方で、右翼の妨害をほとんど制止しない警察当局の姿勢に勢いづいたか、木刀を手にした者も含めて右翼がわらわらと登場。周囲を取り囲むと、横断幕を持った参加者などを特定しては集団で殴るけるの暴行を加えてきたが、こちらもひるむことなく撃退するという光景が随所で見られた。結局、神社脇の狭い沿道の混乱を見て、これ以上の抗議行動は困難だと判断した主催者の判断のもと、参加者は整然と撤退した。ちなみに右翼の暴行によってアジア連帯講座のメンバーだけでも足の爪がはがれる、歯を損傷するなどのケガ人を出し、旗竿を折られるなどの被害に遭ったが、「右翼銀座」と化した8・15の靖国神社前で抗議の意思を敢然と表明できたことは大きな成果ではないかと思う。

右翼による集会破壊・参加者への暴力糾弾!
 

「靖国参拝糾弾!全国戦没者追悼式反対!」とシュプレヒルコール
午後は「小泉の靖国参拝・『全国戦没者追悼式』に反対する8・15集会」に参加する。正午すぎ、西神田公園から出発したデモ行進は猛暑の中、「天皇制による戦争責任を追及するぞ」「男でも女でも天皇はいらない」などのシュプレヒコールを繰り返しながら、こちらは右翼の襲撃を寄せつけることなく貫徹した。文京区民センターで行われた集会の冒頭に午前中の行動と13日の小泉の参拝決行の時の抗議行動の様子が報告された。われわれが参加した行動と別に、午前9時と正午の2回にわたって靖国で抗議行動を行った首都圏の学生たち約50人も右翼の容赦ない襲撃を受けて、右翼が投げ込んだ報道用の脚立が頭に直撃したために失神した人まで出たという。そのとき、この重傷者に対して警察が「走れ、立ち去れ」と言って追い立てたという事だが、まったく許しがたい行為だ。
 続いて韓国から帰国したばかりの松井やよりさんから報告があった。当然の事ながら小泉の参拝に対して、韓国各地で抗議デモが沸騰している様子を報告した後、自身が右翼の執拗な妨害の矢面に立って行なった「女性国際戦犯法廷」の経験を交えつつ、靖国神社という「装置」を使って国が生み出す戦争犠牲者の問題について多彩な切り口から分析が試みられた。アジア各国に対する政治的配慮などという事は、犠牲者への補償と天皇への断罪によって果たされるべきだと訴えた上で、本来自分達を戦禍の中へ叩き込んだ憎い敵であるはずの天皇制を、タブーのかなたに押しやって顧みない多くの日本人の情況と、それを打開するにはどうしたらよいかという事に焦点をあてていて示唆にとむ講演だった。
 この集会中にも右翼やくざが、はさみで参加者に切りつける、などの行為を働いて、集会後まで参加者への接近を図ろうとする徹底したストーカーぶりを見せつけたが、参加者が一体となって怒りの声をあげたため、一切の集会破壊を許さなかった。

跋扈する右翼勢力の背後にうごめく国家権力を撃て!

 一昨年の「国旗・国家法」制定以来、エスカレートしつづける右翼の襲撃を目にしてきたが、この日経験した暴力のすさまじさは、自分が経験したことのないものだ。そして、鬱憤のはけ口を求めて嬉々とした表情で飛びかかってくる、「右翼」という名の若者を最も後押ししているのが、他ならぬ小泉の公式参拝実施であったことを忘れてはならない。そんな小泉が教育のことや、平和のことをしたり顔で発言する欺瞞を引き続き暴いていかなければ、と思う。
 当分、一連の右翼の襲撃行為はやむことはないだろうが、これは「ならず者右翼」が個々の意思においてなせる業ではない。警察当局のお墨付きがあっての、白昼堂々のテロ行為なのだ。そしてジェノヴァのサミットでも見られたように、例えば「天皇制解体」というような明確な主張を掲げて実力行使をも辞さない人々と、そうでない人々を分断しようという国家権力の姑息な意図をこの1日ではっきりと感じ取った。
 肉体に刻印された痛みは絶対に忘れない。激しく傷つけられたアジアの民衆と連帯して日本天皇制は絶対解体する。靖国神社の存在も絶対に抹殺する。決意を新たにした1日だった。(U・N)




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