アジア連帯講座 2000年沖縄連帯・反サミット連続講座

21世紀を戦争と性暴力の歴史に終止符を打つ時代にするために!
軍隊と性暴力について考える

野口 裕子さん 名護へリポート基地に反対する会




 5月13日、文京区民センターにて、沖縄連帯・反サミット連続講座第二回〜「軍隊と性暴力について考える」を名護ヘリポート基地に反対する会の野口裕子さんを講師に迎えて開催した。
 まず、95年の米兵三人による少女レイプ事件の直後に製作された「沖縄もうひとつの戦後史〜米軍基地と性暴力」というビデオを上映した。
 映像は、少女レイプ事件への怒りから沖縄8万5千人が結集した県民大会からはじまり、戦後直後の収容キャンプで続発した性暴力と、その恐怖におびえた体験を老婆たちが語り、レイプを防ぐにはガスボンベを叩いて警戒を呼びかけるしか手立てがなかったこと、何らの法的な対抗手段もなかったことを証言する。老婆たちが「本土の人には分からないだろうけど・・・」と何度も繰り返し語っていたことが印象的だ。
 野口さんは講演で「沖縄戦の終わりは沖縄の女性にとって、新たな受難のはじまりだった」と指摘した。
 「米軍が上陸した10ヶ月後には、米兵の子が大量に生まれた。それは当然レイプの結果であり、生後3ヶ月の赤ちゃんから70歳の老婆まで、性暴力にさらされた。この4月26日の沖縄タイムスに沖縄人に殺害された米兵三人の遺骨の返還を伝えた記事が出たが、それは米兵の暴力に憤慨した住民による報復によるものだ。敗北した側の報復だから想像にあまりある」
 「95年の事件の後も沖縄だけでなく、岩国、横須賀、三沢などでも、同様の事件は起こっている。それは殺人のための教育、母親の権威の失墜させ、レイプを平気でジョークにする教育がまかり通っている結果だ。そして、アメリカから遠く離れた沖縄で孤独で、かつ狭い沖縄を『自由』に米兵が闊歩できる状況で、沖縄の女性は容易に標的になりやすい。ようするに、米軍による性暴力は、日米地位協定の問題も含めて、きわめて構造的なものだ」
 「米兵の犯罪が問題になるたびに、米軍当局は『綱紀粛正』を約束するが殺人のための教育が、レイプなどをとどめるための教育を上回ざるをえないのだから、米兵犯罪を撲滅するなんて、不可能だ。やはり、基地は撤去するしかなく、『私を最後の被害者にしてほしい』と告発した95年の被害者の少女のいる沖縄北部にヘリ基地を建設しようとすることに、あらためて怒りをかんじる。この少女やさまざまな被害者の告発の闘いがあったからこそ、私たちは問題を知ることができ、権利のための闘いをすすめることができた。その意味で本土の側は、被害者の存在・告発を忘れてはならないし、男性こそともに考えつづけてほしい」と訴えた。
 質疑応答では、反戦・反安保の闘いのなかで、常に女性や子どもなどの『弱者』の視点を失わないこと。
日常から性暴力の危険にさらされる女性にとって、この社会も「戦争」そのものであり、基地撤去・侵略戦争反対の闘いは、性暴力を生み出す社会の変革と一つのものと考えて運動していくべき、などの意見が交わされ、5・15沖縄連帯・対防衛庁行動などへの参加を確認した。
 21世紀中に、戦争と性暴力を地上から根絶しよう!(F)




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