まえがき

 南アフリカのアパルトヘイトが撤廃されて15年が経過した。みさと屋の若いスタッフたちと話してみると、学校で習った記憶がかすかにあるという程度の知識しか持っていない人が多いようだ。もちろんしかたがないことだが、かつての反アパルトヘイトの運動の世界的な盛り上がりの中に身を置いたことがある者としては、少し淋しい気持ちにもなる。アフガニスタンで、イラクで戦争が行われ、反対の声をあげた若い世代もたくさんいたが、多くの人は戦争を止められなかったという空しさを感じていると思う。そんな人たちにはぜひアパルトヘイトに関する歴史に触れて欲しいと思う。過去の運動を誇ったり自慢したりするつもりはない。世界中にそれなりの「思い」が充満すれば、歴史を大きく転換することがあるということを実感して欲しいだけだ。次回のサッカーのワールドカップが南アフリカでの開催に決まっていることもあるから、この国が話題になる機会は増えていくことだろう。

この南アフリカの旅行記はみさと屋の藤川が初めての海外旅行をした珍道中を記録したものだが、機会があるごとに年下の世代に読んでもらってきた。何回もコピーを繰り返して写真がつぶれてしまった。アパルトヘイト否!国際美術展にともに関わった仲間たちにとっては懐かしい写真が多数あるので、写真をデータ化して、ここで見てもらえるようにすることにした。そして、これからもこの国の行く末に注目していきたい。

ケープタウン郊外

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