原子力資料情報室の声明

より危険な不正を招き寄せる「維持基準」の導入に反対する

原子力資料情報室
2002年9月26日

 原子力安全・保安院が設置した原子力安全規制法制検討小委員会は9月24日、共用中の原発における機器の損傷をいま以上に容認する、いわゆる「維持基準」の導入を決めた。電力会社がいう「基準が現実に合っていないから」との言いわけをそのままに、不正に基準を合わせる「維持基準」の導入は、決して許されない。維持基準が本来必要なものであるならば、原発の運転開始に先立って整備されていなければならなかったはずである。しかし国は、明確な基準をつくらず、電力会社との馴れ合いのもとに供用中の原発の規制を行なってきた。今回の不正発覚は、そのなれ合いができなくなったことを意味する。そこで、急いで導入されようとしている「維持基準」なるものは、コスト抑制を目的とした規制緩和以外のなにものでもなく、本来必要とされていた基準の明確化とはまったく別なものだ。東京・東北・中部の各電力会社の原発で見つかっている機器の損傷の原因も明らかになっておらず、宣伝されたよりはるかに早い老朽化(高経年化)の進行が懸念されている。原子力安全・保安院の規制思想にも規制能力にも疑念が持たれている。それらに目をつむって「維持基準」の導入が強行されれば、不正をなくすどころか、よりいっそう危険な不正行為を生むだけだろう。
 原子力資料情報室は「維持基準」の導入に強く反対する。

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