メインタイトル SACO合意に異議あり…中間報告4 

                   琉球新報99年11月27日

サブタイトル  隠された狙いはオスプレイパッド

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 「北部訓練場」は沖縄県の基地返還アクションプログラムでは、第二期に位
置づけられている。あえて今度のSACO合意で、一部とはいえ返還を早めた
のは何故だろう。

ヤンバルにオスプレイが

 北部訓練場については、ヘリパッドと呼ばれる直径八五メートルほどの広場
を、近くの訓練場に新たに七カ所つくり、そこへの連絡通路も新設することが
返す条件だ。

 現在あるヘリパッドを訓練場として使い続け、ヘリパッドがない部分を返せ
ばよいのに…これまでのヘリパッドでは不都合があるのだろうか。

 前回、明らかにしたように海兵隊は、新兵器としてオスプレイを二〇〇六年
から沖縄に配備する。

 オスプレイはヘリコプターのように、垂直に離着陸できるし、一五二メート
ルという短い滑走でも離陸できる新型機だ。

 短距離滑走の方が三、五トンも積み荷が増えるので、その訓練場も必要にな
るのは当然である。

 草が生えた従来のヘリパッドではなく、コンクリート舗装された二〇〇メー
トルほどの飛行場…「オスプレイパッド」とよぶべき訓練場の建設が狙いかも
知れない。そう推理しているところに、ヘリパッドの配置計画図が手に入った。

 国頭村美作の南、宇嘉川の中流域に四カ所。東村高江の西、福地ダムの水源
地に三カ所。いずれも高台の平坦地である。

        

 不思議なことに、二個ずつ眼鏡形に並んでいる場所がそれぞれに含まれてい
る。この眼鏡の鼻のところをつないでひとつにすると、端から端まで二〇〇メ
ートル以上になるではないか。「オスプレイパッド」を作れる長さが確保され
ている。

 それを二セット作るのが海兵隊の真の目的で、「返還にともなう代替ヘリパ
ッドだ」と県民をだますために、使わなくてもよい北部訓練場の一部を返すの
であろう。

 一方で北部訓練場を返す代わりとして、米軍は新たに宇嘉川流域と河口部を
手に入れた。断崖が続いているこの地域で、水陸両用戦車の上陸訓練ができる
唯一の地形だ。  

 川口から上陸して、海兵隊員は沢をかけのぼり、上流のオスプレイパッドか
ら飛び立つ。あるいは逆のコースの訓練などが可能になる。まことに具合の良
い訓練場になる計画ではないか。
            

SACO合意の真相を確かめて正しい判断を

 具体的にみてきたとおり、SACO合意とは、
          老朽化した施設の更新、
         那覇軍港の移転促進、
         オスプレイ配備にそなえた関連基地の新設
という、基地の三つの強化計画でしかない。

 SACO合意の中身のすべてが疑わしくなってきた今、振興策の議論は棚上
げしておこう。

 沖縄の歴史を振り返ると、キャンプシュワブ、キャンプハンセンの建設完了
から四〇年あまり、沖縄で新たな基地はつくらせていない。「振興策」と引き
替えに基地を容認したこともない。こういう沖縄の歴史を、冷静にふりかえっ
てみるのが今ではないか。

 辺野古へのヘリ基地建設の反対は、名護市民投票で、すでに民意が明らかに
されている。 

 SACO合意の真相を知らないままに、付け焼き刃の「振興策」をふりかざ
して、沖縄の私たちが世論を二分し、身内がふたたび争う。それはとても愚か
なことだと思う。

 稲嶺知事はじめ、県議会も市長たちも、今やるべきことは、SACO合意の
真相について情報公開を日米両政府に求め、それを県民に、広く深く知らせる
ことではないだろうか。

 正しい情報を持って、正しい判断をくだす。それが今をより良くし、子や孫
に、二一世紀の若者たちに、沖縄の未来を託す私たち世代の務めを果たすこと
になると思う。

 稲嶺知事に、このような願いが届くことを切に望んでいる。

           真喜志好一(SACO合意を究明する県民会議会員)

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