WOLF-PALS通信 No.8 1998年7月


灰色オオカミが、絶滅危惧種リストから外される?

アメリカ内務省ブルース・バビットは、1998.6.29.米国中西部及び東部の灰色オオカミを絶滅危惧に瀕する動物のリスト(ESL)から外すことを提案する予定であると発表した。灰色オオカミは、ヨーロッパからの移植者が現れる前には、US、カナダ、メキシコの全域にわたって分布していたが、ハンターたちだけでなく、政府による管理によっても殺され、1920年代後期には東部からはほぼ姿を消していた。
連邦政府の絶滅に瀕する種に関する法律(ESL)が1967年にできたとき、灰色オオカミは最初に法による保護の対象とされた。現在、ミネソタを除く48州すべてで、灰色オオカミは絶滅に瀕する種とされているが(ミネソタでは絶滅のおそれがあるある種と指定されている)、五大湖周辺(特にミネソタ、ミシガン、ウィスコンシン)では、約2500頭が生息しており、これは頭数復原目標を超える。
ロッキー山脈周辺では、再導入されたオオカミが毎年倍増し、今は約150頭となっている。この地域には、その他に約85頭の元からいたオオカミもいる。導入されたオオカミは「実験的集団」であると認定されていて、より柔軟な管理ができるものとされる。ロッキー山脈のオオカミたちも、絶滅に瀕している種から、絶滅のおそれのある種へと指定変えしてはどうかと提案されている。
メキシコのオオカミは、まだ「回復」のゴールに達していないので、指定変えの話はでていない。
オオカミが、絶滅に瀕している種の指定から外されれば、各州およびインディアン・トライブの管理下に移されることになる。その場合も、指定解除から5年間は連邦政府によるモニターが続けられる。
U.S.Fish and Wildlife Service 所長のクラークによれば、オオカミ導入の成功は、先住民族、各州、NGO、諸個人の努力のたまものである。たとえば、Defenders Wildlife は、オオカミによって殺されたことが証明された家畜について保障したが。これも有効であった。

訳者注:広い範囲の人々の意見交換と協力を得てすすめられたオオカミ導入には、評価できる点もあるが、人為的な操作が本当に成功したかどうかは、まだわからないと思う。絶滅に瀕したものだけでなく、生態系全体の保全が大切であろう。