オオカミを家畜嫌いにするために電気ショックが使われている

The Japan Times (2000/10/1)
Washington (AP) モンタナ州で捕らわれているオオカミたちが、野外に放されても家畜に近寄ることを避け、本来の獲物であるバッファローを選ぶようにするために、彼らが家畜に近寄ると電撃ショックが与えられる実験がされている。
 この実験に携わっている連邦政府担当者と民間グループのものたちは、この訓練はオオカミたちを殺さないですむようにするためだという。オオカミは絶滅危惧種に属しているが、モンタナのオオカミたちはカナダからアメリカに再導入されて野外に放されたものたちである。実験に批判的なひとびとは、これは残酷な試みであり、このような習性コントロールを受けるべきものは、オオカミではなく西部の牧場経営者たちであるという。
 「野生動物が本来もっている習性を変えようとすることは、まったくとんでもないことです。それも、公有地を使用する私的事業者の利益のためなのですから、」と生物基金のアンドレア・ロココはいう。
 政府による資金援助を受けてなされた家畜保護計画によって、1960年代には、アラスカとハワイを除く全米48州のすべてから、灰色オオカミはほとんど根絶された。彼らが絶滅危惧種に指定されてから、米国魚類及び野生生物局はオオカミの育成にとりかかり、1995年には彼らを野生世界に再導入することを始めた。
 いまでは、そのようにして放されたオオカミたちと彼らから生まれたものたちの頭数はロッキー山脈北部では250頭以上になり、南西部では20頭を超えるようになった。魚類及び野生生物局は、彼らを絶滅危惧種からはずすべきだと提案している。
 再導入計画では、繰り返して家畜を襲うオオカミは殺してもよいことになっている。
 モンタナでの実験の対象とされている3頭のオオカミたちのなかの1頭はほぼ1歳、ほかの2頭は2歳だが、春から夏にかけてなんかいも家畜を襲った群に属していた。その群の8頭は撃ち殺され、リーダーの牝は実験のための首輪をつけられることに抵抗しながら死んだ。
 3頭の若いオオカミたちはモンタナ州南西部にある、メディアの億万長者テッド・ターナー所有のフライイングD牧場のなかの0.2ヘクタールの囲いのなかにいる。彼らの首輪には仕掛けがあり、必要に応じて不快な音をだし、それほど強くない電気ショックが与えられるようになっている。
 この計画の指導的立場にある農業局所属の研究者ジョン・シヴィックによれば、囲いのなかに電波発信装置をつけた子牛を放し、オオカミたちが「噛みつけるほどの距離」まで近づくと彼らに電気ショックが与えられるようにするのだという。子牛はオオカミの囲いのなかに1晩じゅう入れられても噛まれたりしなかった。
 モンタナ州でのオオカミ再生計画の責任者である魚類および野生生物局のエド・バングスによれば、3頭のオオカミたちは10月中旬には野生に戻される予定だという。
あくまでも、野生であることを許されないようですね、導入されたオオカミたちは。