Hobby science(趣味の科学?)に基づいたオオカミ殺し
Anchorage Daily News Opinion December 19, 2003

 アラスカ狩猟協会とアラスカ漁業狩猟省は、マクグラスと狩猟管理ユニット3地区で、減少傾向のムースの数を増やし、たくさん捕獲できるようにする ために、捕食動物のコントロールプログラムが必要であると考えている。 この目的やそれに伴う手段には、科学的、倫理的な無理があるが、この主張自体に説得力がない。
マクグラスのムース調査(ムースの計数)地区では、年較差はほとんど考慮されていないようである。このことは、前年のムース個体群の推定数と傾向から、分布の一時的な変化を読み取っていることを意味している。
2000−2001年のマクグラスのムースの推定数が倍増していることから(EMMA 管理地区の中心では3倍増という話もある)、この推定数はほとんど当てに ならない。実際には出産と死亡が生じるので、わずか12ヵ月ではこれほど 急に増加しないものである。たとえ、この推定数が信頼できるとしても、マクグラスのムース数は、すでに協会がこのコントロールプログラムのために設定した目標数以上になっていることを示していると考えられる。
年間の捕獲に関しても同じである。年間捕獲合計数のうち、マクグラスのムースの捕獲数だけが把握されていないということを、生物学者とハンターは了解している。
報告されていない合法および違法な捕獲数を推測して、報告された捕獲数を修正すると、その合計数は協会が発表した捕獲の目標に近づく。さらに、 最近の約10年間で、狩猟を行なった捕獲合計数のうち、狩猟に成功したハンターの割合は30−40%で、比較的安定している。
 GMU20A 、フェアバンクスの南などといったムースハンティングの絶好の場所においてもほぼ同じである。 2300平方マイルのGMUのうち、唯一1500平方マイルに関する調査情報がある。 この中で、1994−2001年にムースは減少しているものの、まだ比較的たくさ んのムースが生存している。 これらの調査結果では、GMU13のあらゆる場所のムース個体数が、この多様な生物が生息する地域全体で、個体数を独自に変化させる可能性もあると考えられている。もし独自に個体数を増やしたり減らしたりするのであれば、 捕食動物のコントロールプログラムなど必要ないと思われる。というのは、 23000平方マイル全域に対する最新の推定数は、目標数の17600〜21900頭を 大幅に超えると思われるからである。
 州やマクグラスの住民の話では、ムースの数は2000〜1000頭に減少していたが、州の生物学者が最終的にbona fide調査を行なったときには、実際には Nowitnaに3500-8000頭のムースがいたことを明らかにした。
毎年報告されるGMU13のムースの捕獲数は、1990年代半ばから急激に落ち込んでいる。しかし、毎年狩猟を行うハンターの数もハンターの成功率も依然としてほぼ同じである。
 主張されているようにムースが本当に減少しているのなら、今日までにこれらの比率が急激に減少していることになる。 最近の捕食動物コントロールプログラムは、科学的に見ていい加減なものが多い。趣味の科学(hobby science)同然のものに基づいており、最初から クレームがついている。  By GORDON HABER(野生生物科学者)

WolfNetworkJapanより
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