ハイチ:アリスティド・インタビュー
我々の民主主義を破壊したのは彼らだ

CounterPunch原文
2004年3月8日


もともと当ページの目的だったコロンビア情報が溜まっているのですが、ハイチについて、間違って3月9日の朝、BBCニュースを見てしまったので、腹がたって、アリスティド・インタビューを紹介致します。内部紛争にCARICOMはなすすべがなく、米国が善意で介入、といった図式を前提としてCARICOM書記長とのインタビューをしていたものでした。アリスティドとのインタビューはありませんでした。

さらに、「Aristide says he's still the president ......」というキャプションが流れていました。武装ギャングが民主選挙で選ばれた大統領を暴力的に追放したときには、各国政府が、追放された大統領の正当性を認め続けるかどうかはとても重要になります。BBCが「Aristide says」としつこく付けたことは、自分たちはその判断をしない、すなわち武装ギャングの不法政権奪取はなすがままにする、という無言の宣言になります。

イラク侵略のときも、多くのメディアが、イラク人のきちんとした声など何も伝えずに、せいぜいが子飼いの傀儡にしゃべらせるだけで、一方的に「イラク人はこう考える」と(しかも暗黙に)決めつけてきました。そんなわけで、アリスティド大統領の発言を、とりあえず直接紹介します。

紹介するインタビューは、著名な進歩系ラジオ番組「デモクラシー・ナウ」のエイミー・グッドマンが電話で行なったもの。エイミー・グッドマンは1991年東ティモールサンタクルス虐殺の目撃者でもあり、その姿勢から、ラジオ局の社長が変わった際、肉体的な脅しに近い圧力を受け、左遷されかけた人です。アリスティドは、もともと神父で、大統領になる前は、独裁政権から様々な圧力や嫌がらせ・妨害・脅しを受けながら、孤児院を運営していた人物[アリスティドが孤児院を経営していたというだけの理由で、1990年から1994年の軍事政権下で、孤児たちが殺されたりしました]。

ハイチの歴史年表については、ハイチ年表(力作です)を、ラテンアメリカに対する米国の介入について多少整理し分析したものとしては、ラテンアメリカにおける帝国の歴史をご覧下さい。ハイチの背景についてはここここを、今回のクーデターについての簡単な整理とアリスティドの声明はここをご覧下さい。

イラク派兵について、色々な情報(へのリンク)がwww.creative.co.jpにアップされます。また、3月20日ピースパレードが予定されています(ぜひ参加しましょう)。日本国内では、反戦のビラを自衛隊宿舎に配った人たちが逮捕されるなど、憲法を無視して踏みにじって侵略戦争への荷担に自衛隊を派遣したことから当然予測されたような、市民的自由への弾圧が進行しています。さらに、大学入試センターに出題された「強制連行」問題をめぐって、自民党議員等が不当な振舞いに出ています(簡潔なまとめとしてはpublicityを参照して下さい)。

北米東部標準時で7時20分頃、デモクラシー・ナウ!は、中央アフリカ共和国に亡命中のハイチ大統領ジャン=ベルトラン・アリスティドと、携帯電話でインタビューを行うことができた。そのインタビューは、アリスティドが職務と国から追放されて以来、最も包括的な英語のインタビューとなっている。

デモクラシー・ナウ!のインタビューの直前に、アリスティドはハイチをむりやり追放されて以来はじめて公に姿を現した。アリスティドの追放に至った出来事を、彼は、米国が後押しするクーデターと読んでいる。中央アフリカ共和国当局は、米国人アクティビストの使節団が訪問し、ハイチ大統領アリスティドはまるで囚人のように閉じ込められていると批判した後、アリスティドに記者会見開催を認めた。米国人使節団にはアリスティドの弁護士の一人ブライアン・コンカノンの他、ハイチ支援ネットワークや国際行動センターの活動家、元米国司法長官ラムゼー・クラークの使節などがいた。中央アフリカ共和国の首都バングイに日曜日(7日)に到着した後、すぐに、使節団はアリスティドをルネサンスの宮殿に訪問し面会しようとした。中央アフリカ共和国政府はそれを拒絶していた。

その直後、中央アフリカ共和国の外相がバンギで記者会見を行なった。武装した男たちが会見室のジャーナリストを脅かし、外相の発言を記録しないよう警告した。大統領夫人ミルドレド・アリスティドも部屋に連れてこられたが、話すことは許されなかった。中央アフリカ共和国外相は、記者達に、アリスティドは72時間以内に記者会見を開くだろうと述べた。数時間後、アリスティドは記者たちに話すことを許された。

デモクラシー・ナウ!とのインタビューで、アリスティドは自分がハイチの正当な大統領であり、できるだけ早くハイチに帰還したいと語った。また、彼を「誘拐」し彼に対するクーデターが起きたハイチでの最後の瞬間についても詳しく語った。ハイチでのアリスティド「歓迎は既に尽きた」というディック・チェイニー副大統領のコメントに対しても応えている。


エイミー・グッドマン(AG):米国で放送されているラジオ/TV番組デモクラシー・ナウ!のエイミー・グッドマンです。まず、どうしてハイチを去ったのか教えて下さい。

アリスティド大統領:ありがとう。まず、私はハイチを立ち去りたくて立ち去ったわけではありません。ハイチをむりやり立ち去らされたのです。それは誘拐でした。クーデターとか[聞き取れず]強制辞任と言われていますが。辞任ではありません。誘拐です。クーデターにかこつけた誘拐です。

AG:クーデターにかこつけた誘拐だったのですか?

アリスティド大統領:そうです。

AG:誰があなたをむりやり国外に連れだしたのですか?

アリスティド大統領:米国政府関係者がフォーリー米国大使とともにいるのを見ました。

ハイチの米国大使館の[聞き取れず・・・・・・]モレノ氏、私は米軍兵士を見ました。ギ・フィリップのような麻薬商人や既に有罪判決を受けた殺人者シャンブレンなどと関係している元兵士たちも見ました。彼らが、ギ・フィリップ[聞き取れず]や有罪判決を受けたシャンブラレンのような傀儡を使って誘拐を行なったのです。基本的に、その夜、私はハイチの人々を目にしませんでした。目にしたのはアメリカ合州国人です。

AG:では、そのアメリカ合州国人たちが、あなたをハイチから誘拐したというのですね。パウエル米国務長官はそれは馬鹿げていると言っています。ドナルド・ラムズフェルドはそれはナンセンスだと言っています。あなたのお応えは?

アリスティド大統領:私には、彼らが、正当化できないことを正当化しようと試みているように思えます。彼ら自身の大使、フォーリー大使は、我々はメディア、報道に向けて話をするのだと言いました。そして私は、その一日前の夜にやったように、ハイチの人々に平和を求める話をすることができたはずです。けれども、残念ながら、彼らはいったん私の私宅から私を車に乗せると、それから、私を米軍で一杯の飛行機に押し込んだのです。米軍は既にポルトープランスにあるハイチ空港を全面的に統制していたのですから。その夜、彼らは私の自宅と大統領宮を取り囲み、また、路上にもいました。どれだけ沢山いたかはわかりません。ですから、明らかに彼らが計画し、実行したことだったのです。正当化不可能と私には思えるこのことを正当化したいというなら、一方私は、真実を伝えることを目指します。まさに今私が言っているのはまさにその---真実---です。

AG:アリスティド大統領、あなたは大統領を辞任しましたか?

アリスティド大統領:いえ、辞任していません。会話で言葉を交わし、メモを買わしました。そのときメディアの前に出る前に書面でメモを渡しました。けれども、彼らは私を、人々の前で事態を説明し平和を呼びかけるためにハイチの記者、外国の記者のところに連れていくと言ったにもかかわらず、彼らはそうするかわりに、私のメモを辞任の手紙として使ったのです。彼らは嘘をついているとはっきり言いましょう。

AG:自宅から車に乗ったとき、空港に行って飛行機で飛び去ることになると知っていたのですか?

アリスティド大統領:まったく知りませんでした。彼らは私にそうは言わなかったのです。虐殺を避けるための最上の手段でした。私たちは、虐殺を避けるために彼らといささか丁寧な外交的な話を氏、できるだけ敬意を込めて、法的・外交的に振舞いました。彼らが、虐殺が起きるだろうと私に言ったからです。私を含めて何千人もが殺されるだろうと。私自身、私の命、安全のことは、気にしていませんから、私のためではなかったのです。何よりも私が気に掛けていたのは人々の安全と命でした。一人一人、全員のハイチ人の命を守るために私は選ばれたのです。ですから、その夜、私は虐殺を避けるために全力を尽くし、彼らが私を連れ去って飛行機に乗せたわけです。それは彼らの飛行機でした。私が考えていたのは、虐殺を避けるためにできるだけのことをするということです。

AG:あなたは自分の意志に反して中央アフリカ共和国に拘束されているのですか?

アリスティド大統領:そう、私自身の意志に反して。まさにそのとおりです。実際、米国の飛行機に乗っていた20時間、飛行機には19名のアメリカ合州国人エージェントがいました。彼らは、我々に治安を提供するためにハイチ政府と契約し合意していた人々です。その彼らもまた飛行機の中にいたのです。真実を飛行機の中だけに閉じ込めるためかもしれません。その中の誰かが外の世界で真実を伝えないようにするための。その一人には赤ん坊がいました。1歳半です。父親はアメリカ合州国人でしたが、赤ん坊と一緒に飛行機の外にでることさえ認めなかったのです。大統領夫人である私の妻は米国で生まれましたが、父も母もハイチ人です。彼女は、シェードを動かして外を見る権利さえ与えられませんでした。彼らは自分たちの法律さえ破っていたということです。ここに到着する20分前まで、私はどこに着陸するか知りませんでした。明らかに、はっきりとした国際法違反です。不幸にして彼らはそうした違反をおかしましたが、幸運にも、私は中央アフリカ政府が我々を歓迎してくれたので彼らに敬意を捧げることができました。親切で人間的で、良好で、良い関係を育むよい時間です。中央アフリカ政府には改めて感謝します。

AG:これから何が起きて欲しいですか?

アリスティド大統領:私はいつも平和をよびかけていました。誘拐を行う者たちは、私の国に暴力にかわって平和をもたらすことなどできません。CARICOMは---したがってカリブ海諸国の全ての国家元首は---平和と立憲秩序の回復を呼びかけています。また、一部、アメリカ合州国人の声も耳にします---米国上院議員、米国議会の議員です。これらの人々は皆米国市民で、一方ハイチ人は実際に立憲秩序回復のための平和を求めています。簡単な例を挙げたいと思います。我々にとって、いまこの時期に、平和とは、教育と保健サービスへの投資を意味します。私の国では、独立から200年たった今---ハイチは世界最初の黒人独立国です---ハイチ人口1万1000人あたりたった1.5人の医者しかいないのです。私たちは大学をつくりました。医学部のある大学で、247人の学生がいました。私を誘拐したあと米軍兵士たちが乗り込んできて、何をしたでしょうか?米軍兵士たちは医学部を閉鎖して、教室に居座っているのです。米軍兵士たちが言う平和とはこのようなものです。これは平和とは反対のものです。平和とは、人間に投資し、保健に投資し、人権を尊重し、人権を侵害せず、選挙で選ばれた大統領に投票した人々の権利を侵害しないこと、平和とはそういうことを意味します。世界中の人間にとって、今日は、そうした人々の日です。世界の人々が、皆一緒に、ハイチで平和と立憲秩序を回復するために行動しなくてはなりません。

AG:今お話ししているのは、中央アフリカから、ハイチのジャン=ベルトラン・アリスティド大統領です。ハイチに大統領として帰還したいですか?

アリスティド大統領:もし今すぐそうできるのでしたらもちろん、今すぐにでも。できること全てについて、やる準備はあります。そのために人々は私に投票したのですから。

AG:今、拘束されているのですか?あなたは、囚人として中央アフリカ共和国に拘束されているように自分を見なしていますか?

アリスティド大統領:繰り返しますが、ここの人々と政府と大統領ボジゼは、親切です。我々を丁重に迎えています。公に感謝します。もし中央アフリカ共和国市民が聞いているとしたら、[聞き取れず]と彼らに言いたいです。つまり、本当にありがとうと。というのも、中央アフリカ共和国はゾ・クォ・ズと呼ばれる、ここの言葉で全ての人間は人間だという意味ですが、そういう国だからです。私は、彼らには感謝しています。けれども、彼らの宮殿であるところに住んでいることは、宮殿ですから我々を尊重していることを示すものですが、彼らの環境で住んでいると言うことです。それでも私たちを歓迎してくれるのは良いことですが、でも、私たちは、教育や保健に投資し法治国家を建設するために、ハイチの人々とハイチにいて全力を尽くしたいのです。ゆっくりとでも、確実に、法治国家を育みたいのです。

AG:アリスティド大統領、日曜日に少なくとも5人がハイチで殺されました。反対派指導者たちは、発砲したのは親アリスティド派だと言っています。さらに記者---ニューヨークに住むスペイン人記者が射殺されました。もう一人も撃たれました。それについてはどうお考えですか?

アリスティド大統領:第一に、私はそこにいませんでしたし、コメントするために多くの情報をもっていません。私は真実を尊重しますが、いくつかコメントします。ただ、もう一度強調しますが、私はそこにはいませんでした。まったく情報を持っていないので、私なりに状況を分析することはほとんどできないのですが、それでも、信じられる解釈はあります。というのも、過去10年間、ギ・フィリップのような麻薬商人や有罪判決を受けたシャンブレンのような輩が人々を殺したとき、まさにちょうど今私が耳にしたようなことを彼らは言ってきたのです。彼らは非暴力の人々を非難し、貧しい人々を非難するのです。彼らの目には、貧しい者たちは既に人権侵害を犯しているのであり、一方、有罪判決を受けていても人権は侵害していないというわけです。ですから、反政府指導者たちは、そんな風に、私の支持者を非難するときには、嘘をついていると思います。そうではないかと疑います。

AG:米国は、あなたに対する自分たちの行為について、ハイチの人々や世界の他の人々にどんなメッセージを伝えていると思いますか?

アリスティド大統領:ハイチの民主主義を支持する米国の人々、ハイチの人々、ワシントンやブルックリンやミラノやボストンや他の場所にいる配置の人々は、私のハイチ帰還と立憲秩序の回復を求めていると思います。また、米国の全ての市民は[聞き取れず]民主主義のために平和的に活動する意志を、世界中の全ての人々にとても強く大切なメッセージとして送っていると思います。けれども私を[聞き取れず]した人々は、とても間違ったシグナルを送っていると思います。というのも、民主選挙の結果に到達できず、選挙を行えないとして、それをあちこちで繰り返すならば、そこで送っているシグナルは、口先で民主主義を語っていたとしても、「民主主義反対」というものだからです。ですから、私は彼らが、自分たちが間違っていると気づき、世界中の人権を擁護するような新たなアプローチを採用することを期待します。世界では、平和と民主主義と人間への投資が大切だからです。ですから、元に戻ると、彼らのように誤ったシグナルを送るべきではありません。彼らはイラクに行きました。イラクがどういう状況か、私たちは目にしています。ハイチに行きました。ハイチの状況を私たちは目にしています。人を殺すことで民主主義を与えていると言っているのです。どうして民主主義に対する態度を変え、ゆっくりとでも確実に立憲秩序が育つようにしないのでしょうか。文化的にも歴史的にもとても豊かだけれど経済的には西半球で最も貧しいとても貧しい私たちに犯罪的な経済封鎖を適用し、人々が一人一票つまり人々の平等を要求したことで経済封鎖を適用したのです。その後で、彼らは麻薬商人を使い、既に有罪判決を受けた犯罪者を利用して、反乱を率いる装いをさせ、これらの輩はハイチに入り込んでゴナイーヴで人々を殺し、カプ・ハイティアンで人々を殺し、ポルトープランスや他の場所で人々を殺すのです。さらに今や、これらの輩は世界の目の前でそれを続けています。殺人者を支援することで不処罰を祝福しながら。世界に向けて彼らが発したイメージは、本当に醜いものです。彼らは変わるべきときです。彼らを尊重しますが、同時に私たちは真実を尊重します。それが、敬意をこめて、私たちが真実を語っている理由です。誰かが悪いとき、悪いままでいることは誤った振舞い方です。良い振舞い方は、悪から善に移行することです。今や、彼らの側が悪から善に転身すべきときです。立憲秩序を支持することによって。

AG:アリスティド大統領、ディック・チェイニー米国副大統領は、あなたの「ハイチでの歓迎は既に尽き果てた」と言っています。さらには、あなたが立ち去るべきときだとも。それについてお応えいただけますか?

アリスティド大統領:自分たちが米国で行なったような選挙をやっておきながら、公正で民主的な選挙で大統領を選出したハイチについて、いったいどうしたら、そんなことが言えるのでしょうか。誰かが権力を握ることはできるでしょうか、だからといって、私たちが真実を見て語ることができないわけではありません。私は世界のあらゆる市民一人一人が発言する権利を尊重し、忍耐強くあらねばなりません。それも民主主義だからです。ですから私は彼に敬意をはらい、彼の話し方に敬意を払いますが、同時に、私はハイチの人々と真実に敬意を払います。既に言いましたが、もう一度繰り返します。ハイチの人々は非暴力的な人々です。人々は民主主義に投票したのです。民主主義のために平和的に闘い続けるでしょう。そして、私は彼ら/彼女らがそうすることを信頼し続けるでしょう。平和的な手段、立憲秩序を回復するために平和的に戦うことを。

AG:まだご自身をハイチ大統領であるとお考えですか?

アリスティド大統領:はい。人々が私に投票したのですから。選挙で選ばれた大統領を求めて人々は平和的に闘い続けているのです。私が裏切るわけには行きません。彼ら/彼女らの意志を尊重するために全力を尽くします。

AG:ハイチの現状についてどう表現しますか?米軍・仏軍とカナダ軍がハイチにいます。ハイチを立ち去る前にあなたが求めたこと、あなたを支援しハイチであなたを守ることだったのでしょうか?

アリスティド大統領:そうです。私は彼らに、私を強制国外退去させる前に、それを求めました。不幸にして、今彼らはハイチにいます。立憲秩序を進めるために選挙で選ばれた大統領は不在のままで。それにもかかわらず、私は、ハイチで国連が平和維持部隊を使ってハイチの平和を維持し、全てのハイチ人、ハイチ人一人一人を守ることを望みます。というのも、一人一人の男女の命は神聖なものだからです。それを尊重しなくてはなりません。ですから、私たちがハイチで平和的に民主主義を回復するよう努めるまで、彼らが市民全員一人一人の命と権利を守ることを望みます。

AG:チェイニー副大統領は次のように言っています。「私は国防長官だったときにアリスティドに対処したことがある。ハイチをめぐって危機があったのだ。彼は自らの自由意志で立ち去った。彼は引退するにあたり辞任状を書いた。彼は治安要員とともに我々が提供した文民チャーター機で立ち去ったのであり軍機ではない。彼は、今、歴史を書き換えようとしていると思う。けれども、本当のところは、彼のハイチの人々による歓迎は、尽き果てたのだ。彼は民主的に選出されたが、民主主義者として統治をしなかった。彼は腐敗し、ポルトープランスで犯罪を犯している多くのギャングたちに関係していた。米国が何らかのかたちで彼を拘束したとかむりやり彼を飛行機に乗せて立ち去らせたとほのめかすことは、まったく真実ではない。彼がいなくなって私は嬉しい。ハイチの人々はそれで状態がよくなるだろう。ハイチの人々は、新たな政府を選び出す機会を手にするだろう。そうであるべきように」[実際には、米国はデュバリエ独裁とその治安部隊ギャングであるトントン・マクートを支持し続け、その後はその後裔たちを支援し続けたが、肩入れする勢力が公正な選挙では決して勝てないことを知っていたため、選挙への不参加を促し、不参加勢力が出たからということで選挙を不正と非難して経済制裁やらを加え、元死の部隊のギャングたちを組織してハイチで反乱を起こさせたのです。ベトナムでも、協定で予定されていた総選挙を行えばホーチミン勢力が圧勝するとの情報を諜報組織からきちんと得ていた米国政府は、南ベトナムに傀儡政権を打ち立て、選挙を妨害して侵略・爆撃を行ない、ニカラグアでもサンディニスタ政権に対してまったく同様の戦略を用いてきました。自分たち同様、選挙を盗み取ることが「民主主義」であり、人々の声に従った政府は米国の意に沿わない限り暴力的に潰すべきだという立場はかつてないほど明確です。そういえばイラク侵略の際、人々の多数の声を繁栄した行動を取った仏・独などの政府を、米国政府は、非民主的と呼んだことは記憶に新しい出来事です]

アリスティド大統領:前にも言いましたが、彼にだって話す権利はありますし、その権利を尊重します。私が真実を言う権利を持っているのと同様。そして私は真実を話します。私は彼に同意しません。そして、ハイチの人々が、平和的なやりかたで民主主義を復活させるために闘い続けると信じ続けます。そして選挙の日が来たときには、むろん人々は選挙することができるでしょう。残念ながら、人々はクーデターを望んではいません。米国はハイチが民主選挙を続けることを決して望んできませんでした。クーデターからクーデターへと進むことを好んだのです。私たちは独立200年を祝福しました。私たちは[聞き取れず]クーデターがありました。通常、誰がそのクーデターの背後で糸を引いていたか知っています。今、大統領が誘拐され、それを彼らは辞任と呼び、他の人々はクーデターと呼ぶわけですが、一部の人がそれを正当化しようとするのははっきりしています。けれども、正当化できないかもしれません。そして私は真実の側、人権の側、何が起きたか知っている人々の側、ハイチの人々の側に立ち続けます。カリブ諸国の国家元首たちも、断固として、立憲秩序の回復と平和を求めています。そして米国の中でも、上院議員や下院議員、市民が、きっぱりと平和と民主主義と立憲秩序の側に立っています。私もその一人です。

AG:アメリカ合州国政府が、あなたがハイチ大統領であることを望まない理由は何だと思いますか?

アリスティド大統領:一つの例を示すだけで、世界に向けて多くのことを語ることができるかも知れません。既に言ったことは承知していますが、もう一度言います。独立して世界最初の黒人共和国ハイチが出来てから200年たった今、ハイチには1万1000人に対して1.5人のハイチ人医師しかいないのです。そこで今、237人の医学部学生のいる大学を作りましたが、[聞き取れず]彼らは今医学部に陣取ってそれを閉鎖しました。学生たちは追い出されたのですが、学生が出ていくと決めたわけではありません。保健医療に投資したがる政府や大統領がいると、米国はどうやらそれを好ましく思わないのです。教育に投資しようとする大統領や政府があると、恐らくアメリカ合州国はそれを嫌がるでしょう。私は、人間に投資すべきだとの信念を持ち続けます。教育や保健医療に投資すべきなのです。それが平和をもたらすものです。平和というのは空っぽの世界のことではありません。満ちていなくてはならないのです。教育と保健医療への投資、ハイチに本当の平和をもたらすことが大切で、彼らが平和と呼ぶものは本当の平和ではありません。暴力です。誘拐です。私たちが教育による平和と呼ぶものは、世界に私たちの正しさを告げるものです。

AG:アリスティド大統領、記者会見で、あなたは、あなたの国が今受け入れがたい占領下に置かれているといいましたか?

アリスティド大統領:はい。占領です。ついさっき述べた例が、それが占領であることを語っています。あなたが私のところに来て、病院もなく十分な医者もいないところで大学を閉鎖して医学部学生247人を追放しておきながら、平和を望むなどと言えるでしょうか? むろん、これは占領です。殺人者を保護し、ギ・フィリップやシャンブレンのような麻薬商人を保護し、米国の法律にイアンして米国市民を保護し---アンディ・アペドは米国市民で中立法に違反しています---、それが私たちの民主主義を破壊したとき、そんなことをしたとき、それは占領です。

AG:あなたのまわりの治安部隊---ハイチであなたを敬語していたスティール財団の要員たちが、米国政府に、補強要員を送ることはできないと言われたというのは本当ですか?

アリスティド大統領:はい。実際に補強要員派遣を阻害したのです。治安の提供を阻止するために。25人が[聞き取れず]その翌日に来ましたが、足止めを食らっていたのです。ですから、計画通りに事を進めるはっきりした戦略だったのです。既に時間が経ってしまいました。残念ながら、ここで終わりにしなくてはなりません。やめるよう言われました。

AG:大統領として再びハイチを目にすることがあると思いますか?

アリスティド大統領:そうします。ハイチの人々と国際社会が一生懸命活動し続ければ。不可能ではありません。

AG:米国で人々には何ができると思いますか?

アリスティド大統領:ハイチに平和を---ハイチに民主主義を---もたらすために人的資源を動員し続けることができると思います。ハイチの人々はそれを望んでいるのです。平和と民主主義を。

AG:中央アフリカ共和国から別のところに行きますか?どこかに行きたいですか?

アリスティド大統領:いえいえ、彼らは私に国を出るよう求めたのではなくて、止めるよう・・・・・・

AG:わかります。わかります。けれども、どこか別のところに行きたいですか?すぐにハイチに戻りたいですか?

アリスティド大統領:今日行けるなら、今日行きます。明日行けるなら、明日。いつでも、そのときがきたら、ハイチに戻ります。ハイチの人々が、私を選んだのです。

AG:何が今すぐの帰還を阻んでいるのでしょうか?

アリスティド大統領:色々はっきりさせなくては、それを今しているのです。

AG:本当にありがとうございました。アリスティド大統領。

アリスティド大統領:こちらこそありがとう。ハイチで再会できますように。


2004年3月10日

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