コロンビア:追放された女性たちが語る

国連難民高等弁務官事務所
2005年3月8日
Alert Net 原文


ボゴタ・コロンビア・3月8日(UNHCR):「私の名前はマルタ[本名ではない]です。私は大きな川の近くにある村から来ました。そこでは準軍組織とゲリラが数年にわたって戦闘を続けてきました。ある日、準軍組織で一杯となった5艇のカヌーが川を下ってきて、私たちの村で止まりました。彼らは家から家を回って、村人全員を一箇所に集めました。何人かを連れていきました。後になって、連れて行かれた人々のバラバラにされた遺体が川を流れていくのを目にしました。その直後、ゲリラが来ました。準軍組織への協力者を捜し出そうとしていたのです。準軍組織を手助けしていると私の夫を非難しました。ゲリラたちは私の兄をリクルートし、兄に私の夫を殺すよう命じたのです。兄はそれを拒否し自殺しました。ゲリラたちは私の家に夫を捜しに来ましたが、私は夫を上手く隠すことができました。それから町に逃げてきたのです」。

公式の数字によると、過去10年間に、約78万3000人のコロンビア人女性や少女がマルタと同様の経験をしてきた。非公式の推定では、同様の出来事は150万以上にのぼる。

多くの場合、自分の家を放棄しなくてはならなくなることは、国内で追放された女性たちが被ることになる暴力行為の最初のものでも最後のものでもない。「私たちの中には、強姦されたり、脅迫されたり、家を焼き払われたり、武装集団によって子どもを連れ去られたりする女性がいる」とボゴタにある追放された女性組織の指導者は言う。

実際、コロンビアの国内避難民となった女性たちはさらなる暴力を非常に受けやすい。このことは、追放されていない女性たちが家庭内暴力を被る率が41.1%なのに対して追放された女性は52.3%であることからも示されている。さらに、政府の公式統計によると、追放された女性の3人に1人が、むりやり見知らぬ人とセックスをさせられるという。

保健医療への追放された女性たちのアクセスは、最良の場合でさえ、ひどい。私営の「プロファミリア2001」基金によると、追放された女性たちの56%は出産前の医療にアクセスすることが全くできない。その結果、27%の女性が妊娠中に胎児を失ってしまう。「栄養失調で死亡する子どもたちや医療支援がないために死亡する女性たちのことは知っています」とカルタヘナの国内避難民組織代表は語る。

UNHCRがコロンビアで行なっている活動の中で、女性の権利の覚醒と自助の促進は重要なものである。UNHCRはIDP(国内避難民)の組織への女性の参加を促し、教育と必要な技術を修得するための訓練とを提供している。多くの障害にもかかわらず、IDP組織運営における女性の参加度は高まっている。「人々を組織するのはとても困難でした。たった8人の女性で始めました。最初、男性中心主義の男たちから多くの抵抗を受けました。女性が権利を知るまで闘い続けます」とあるIDP女性組織の指導者は言う。

犠牲となった女性たちに支援と助言を行なっている女性組織の中には、武装グループの標的とされる組織もある。2004年2月、UNHCRの支援を受けているASOCODEA(アパルタド追放された人々のコミュニティ協会)の創設メンバーであるマルタ・セシリア・アギレが殺された。2003年12月、UNHCRと協力関係にある、追放された女性とその家族を支援しているコロンビアNGO「女性の家協会」の建物から、身元不明の武装集団の男たちが、コンピュータファイルと文書を盗み出した。2003年9月、コロンビア南部の都市プエルト・アシスのIDP女性協会の開院フランシス・ヒロン・キリンドが殺された。同じ年の10月16日、別の活動家エスペランサ・アマリス・ミランダがバランカベルメハ市で殺された。コロンビアの各地で、この他にも、IDP組織に関わっている女性に対する攻撃や脅迫が続いている。

UNHCRの支援で、IDPの女性たちは自分たちの権利を求めて活動を続けている。ある女性IDP指導者の言葉:「私たちの活動がよりよい未来をもたらすことを期待しています。世界に私たちの苦しみを伝えたいのです。私たちに起きていることを他の人々に伝えなければ、私たちも何かしら共犯者となるのです」。

ウィリアム・スピンドラー UNHCRコロンビア


写真家岡原功祐さんのウェブページに、取材したばかりのスーダン・ダルフールの写真の他、コロンビア、南アフリカの写真が掲載されています。是非ご覧下さい。


イベント紹介

■共謀罪に反対する市民・労働者と法律家のデモ
日時:3月15日(火)午後6時〜
 午後6時〜:集会開始   弁護士会館1006A・B会議室
  (東京都千代田区霞が関1-1-3 地下鉄丸ノ内線霞ヶ関駅)
 午後6時15分〜:デモ出発地集合 日比谷公園霞門
  (地下鉄丸の内線・霞ヶ関駅B2出口をでてすぐ)
 午後6時45分:デモ出発・日比谷公園霞門
 デモコース:日比谷公園霞門から国会まで衆議院、参議院前で議員の
       アピールを受けます。
主催:自由法曹団
   日本民主法律家協会
   日本労働弁護団
   社会文化法律センター
連絡先
  東京共同法律事務所 海渡 雄一
  電話 03−3341−3133
この集会は非暴力の集まりです。主催団体の指示に従って下さい。参加団体に対する誹謗中傷はやめて下さい。

■ワールドピースナウ グローバル・アクション
日時:3月19日(土)開場:12:30 開会:13:30
場所:日比谷野外音楽堂(地下鉄霞が関下車)
パレード出発:15:00 パレード:銀座コース
 ※プラカード、メッセージボード、アピールグッズ歓迎
発言:イラク現地から(予定)、他
 ※手話通訳あります。
益岡賢 2005年3月13日

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