戦争に参加する子供たち

ヒューマンライツ・ウォッチ
2005年2月22日
ヒューマンライツ・ウォッチ原文


ニューヨーク発2005年2月22日:コロンビアの武装グループは、子ども兵士の雇用と行使に関する国際的基準に最も甚だしく違反するグループに属するとヒューマンライツ・ウォッチは発表した。コロンビア政府は、子ども兵士のリクルートと使用を禁ずる国連の条約を批准し実施しなくてはならないと。

2月23日、国連安保理は子どもと武力紛争に関する国連事務総長の報告をめぐって議論することになっている。この報告では、子ども兵士が使われている国の一つにコロンビアがあげられている。コロンビア武装グループの三つ----コロンビア革命軍(FARC)、民族解放軍(ELN)、準軍組織(AUC)----がこの報告では名指しで批判されている。

ヒューマンライツ・ウォッチ米州代表のホセ・ミゲル・ビバンコは「国連はゲリラと準軍組織がともに、子どもを使って戦争をしていることで、基本的な人道基準に違反していると認定した」と語る。「この恐るべきやり方は、コロンビアの子どもに、そしてコロンビア社会全体に計り知れないダメージを与えている」。

ヒューマンライツ・ウォッチは、コロンビアの武力紛争の中で1万1000人以上の子どもが戦闘に参加していると推定している。世界で最も多い数の一つである。コロンビアの非正規戦闘員の少なくとも4人に1人は19歳未満である。そのうち数千人は15歳----ジュネーブ条約で軍や武装集団へのリクルートが認められている最小年齢----未満である。

この問題に対処するための一助として、ヒューマンライツ・ウォッチは、コロンビア議会に、武力紛争への子どもの参加に関する子どもの権利条約の選択議定書を批准し実施するよう呼びかけている。同条約----コロンビアは2000年に署名したがまだ批准していない----は戦闘行為への直接参加、強制リクルート、非正規の武装グループによるリクルートと戦闘での行使の最小年齢を18歳としている。

コロンビアの子ども戦闘員の約80%が二つの左派ゲリラFARCかELNのいずれかに属しており、残りが準軍組織に属している。

2004年、ユニセフは子ども兵士の使用とリクルートを終わらせることをめぐって非公式の会談をELNおよび準軍組織連合であるコロンビア自警軍連合(AUC)と行なった。国連事務総長報告によると、これらのグループは対話に参加する意志は示したものの、子どものリクルートと利用を終わらせるためにまじめな対応はしていない。

FARCは子どもをリクルートし使い続けており、それを止めようともしていない。ヒューマンライツ・ウォッチの推定ではFARCがコロンビアにおける子ども戦闘員の過半数を擁している。控えめな推定で、FARC全戦闘員の2割から3割が18歳未満である。

2002年12月に停戦を宣言した準軍組織は子ども兵士全員を解放すると約束したが、2年以上たった今も解放は実現されていない。国連事務総長報告によると、準軍組織は180人近い子どもをコロンビア当局に引き渡したという。しかしながら、準軍組織指導者が政府と兵士解散の交渉をしている中でも、数千人の子どもたちが依然として戦闘員として使われている。

コロンビア議会は準軍組織解散を監視する法律について議論している。ヒューマンライツ・ウォッチはコロンビア議会に、準軍組織からの子ども兵士の解放を現在の議論の中で優先テーマとするよう求めている。議会はまた、子どものリクルートの責任者の責任を追及しなくてはならない。

「子ども兵士の解放に関する法は、子ども戦闘員を使っているすべての武装グループにはっきりしたメッセージとなるものでなくてはならない」とビバンコは言う。「コロンビアが子どもを搾取する責任者に対して裁きを実現しなければ、この忌むべき犯罪は続く可能性が高い」。

2003年の報告「You'll Lean Not To Cry: Child Combatants in Colombia」の中でヒューマンライツ・ウォッチは、地方の戦闘地帯でゲリラと準軍組織がともに貧しい子どもたちの絶望を悪用していることを述べている。

多くの子どもたちが、食料や身体的な保護を求めるため、家庭内暴力を逃れるため、あるいは金を約束されるために戦闘員となっている。銃口を突きつけられて強制的に参加させられたり恐怖から参加したりする者もいる。行き場のないストリート・チルドレンも参加する。13歳の子どもたちが攻撃ライフルや手榴弾、迫撃砲の使い方を訓練される。

しばしば、子ども兵士は、略式処刑や拷問、殺害、誘拐、民間人への攻撃に参加するよう命ぜられる。子ども兵士たちはまた、病気や憔悴、怪我、突然死、敵による拷問などに晒されている。逃げて家族のもとに戻ろうとする子どもは処刑される恐れがある。

事務総長報告は、そのほかにも、コロンビアの不法武装グループによる、強姦や殺害を含む子どもに対する虐待を記述している。とりわけ、同報告は、2004年9月、その前年に誘拐された15歳の少女をFARCが殺害したことを報じている。

「FARCは子どもを害し搾取することを止めようとする意志を見せていない」とビバンコは言う。「逆に、彼らの虐待は悪化しているようである」。


準軍組織はコロンビア軍と陰に陽に結びつきながら民間人の虐殺や拷問、誘拐、強姦といった汚い仕事を行なう、ラテンアメリカに広く見られた「死の部隊」です。政府/軍の汚い仕事を請け負ってきた政府/軍の仲間なので、「政府と準軍組織の和平交渉」というのは、成立し得ないことです。

グリンピースの「虹の戦士」号が、名護市辺野古沖の米軍基地建設阻止を支援するために沖縄の那覇港に入港したとのことです。詳しい情報はこちらをご覧下さい。

ネパール情勢に関して、ネパール・ピース・ネットが緊急署名を集めています。

アチェの状況についてはしばらく紹介していませんが、P-navi infoにアチェを訪れたメキシコ人の話が詳しく紹介されていました。インドネシア民主化支援ネットワークのページも継続的にご覧下さい。

大阪で、下記のような集会があるとのことです(3月3日!)。

■―日鉄裁判原告−呂運澤さんを囲んで―■
  今、問われる日本の戦争責任!
  日時 3月3日(木) 19:00〜
  場所 エルおおさか研修室3
  内容 この間の韓国の動きについて
     日鉄裁判ソウル提訴について
     呂運澤さんの訴え
  主催:日本製鉄元徴用工裁判を支援する会関西事務局
     〒536-0005大阪市城東区中央1丁目8-24東洋プラザ305
     Tel/fax 06-6939-7540
益岡賢 2005年3月2日

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