企業がスポンサーとなったテロリズム

ギャリー・リーチ 2007年3月19日 コロンビア・レポート原文


2001年9月11日ニューヨーク等に航空機が突入してから2週間もたたないうちに、米国大統領ジョージ・W・ブッシュと財務省長官ポール・オニールは共同で記者会見を開き、対テロ戦争はテロリスト・グループを標的とするだけでなくテロリズムに資金提供する者たちをも標的とすると述べた。ブッシュは次のように宣言した:「テロリストと商売したり、テロリストを支持しそのスポンサーになるような輩は、アメリカ合衆国とは商売できない」。ブッシュに続いて演壇に立ったオニールは、「我々はテロリストの財源を枯渇させ、テロリズムを支持したり助長する組織を閉鎖する」と述べた。ところが、そうした物々しい宣言にもかかわらず、シンシナチに本社を置くチキータ・ブランズ・インターナショナル社は閉鎖されそうにないし、合衆国内でのビジネスを続けそうである。同社は先週、これまで7年間にわたってコロンビア自警軍連合(AUC)----米国国務省の海外テロ組織にリストされている右翼グループ----に総額170万ドル以上の資金を提供したことで、有罪の申し立てをしたにもかかわらずである。

チキータ社は法廷で、テロリスト・グループと商売をしていた罪を認め、2500万ドルの罰金を支払うことに同意した。この合意のもとで、同社の役員は誰も刑事訴追を受けないこととなった。1997年から2004年2月まで、チキータ社はAUCに100回にわたる支払いを行っていた。このうち50回、総額85万ドル以上は、2001年9月に米国国務省がこの準軍組織をテロ組織と指定して以降に支払われたものである。1997年以前、チキータはコロンビア最大の左派ゲリラ集団コロンビア革命軍(FARC)に金を払ったが、それはFARCが国務省のテロ組織リストに載る前であった。

同社の関係者は1997年にAUC指導者カルロス・カスタニョと会い、カスタニョは彼らにFARCをコロンビアのウラバから追い出す意図があると語り、チキータにその作戦資金を支払うよう求めた。当初、チキータ社は小切手で支払いを行っていたが、AUCが国務省の海外テロリスト組織リストに含まれたため、チキータはこの準軍組織に現金で支払いを行うことにした。法廷文書によると、同社の最高役員8人がAUCへの支払いを検討しそれを承認している。さらに、役員たちは外部の法律顧問がこの支払いは不法であり即時に辞めなくてはならないと助言したにもかかわらず、支払いを承認し続けていた。

有罪を認めたあと、チキータの最高経営責任者フェルナンド・アギールは「本日[司法省との間で]至った合意は我が社の利益にとって最上である」と述べた。この合意はまた、なぜかしらテロリズムへの資金提供による刑事訴追を免れた同社の重役たちにとっても最高に有利なものであった。

コロンビア大統領アレバロ・ウリベは野党議員からの求めに応えてチキータ社の重役をコロンビアで裁判にかけるべく身柄引き渡し請求を検討している。「身柄引き渡しはこちらから向こうへ、そして向こうからこちらへの双方向であるべきだ」とウリベは言う。これは、チキータ社の事件と、そして毎年コロンビアからは麻薬取引の罪状で数百人が米国で裁判を受けるべく米国に身柄を引き渡している状況を指している。

チキータ社がAUCに資金を提供したため、コロンビアでは、数千人とは言わないまでも数百人の命が奪われたことは確実である。けれども、ブッシュ政権が米国企業の重役をコロンビアで裁判にかけさせるために引き渡すかどうかは疑問である。ブッシュ政権が、テロリズムに資金提供した者は許さないという自らの勇ましい宣言を守ろうとする関心を少しでも持っていたならば、チキータ社の重役たちは既に米国の刑務所に入っていただろうからである。

チキータ社がAUCに行った支払いをめぐっては、ブッシュ政権の役割についても疑問が出てきている。法廷の文書によると、チキータ社は2003年に米国司法省に支払いについて通達したにもかかわらず、それ以降10カ月にわたって、ブッシュ政権がその事実を知る中で、AUCへの支払いを続けたからである。コロンビアの野党ポロ・デモクラティコのホルヘ・ロブレド上院議員は次のように問うている:「米国政府は準軍組織への支払いについて本当のところどれだけ知っていたのだろうか?」 コロンビアの野党議員たちはまた、不法武器取引の事件についても審理を再開することを求めている。この事件は、2001年11月、イスラエルの武器商人がチキータ社の港湾施設を使ってAUCに3000丁のライフルと250万発の弾薬を提供した事件である。

ブッシュ政権がチキータ社の重役に対して刑事訴追を行わなかったこととはまったく対照的に、デンマーク政府は先週、地元の服飾業者で働く7人の労働者がTシャツの販売利益をコロンビア最大のゲリラ・グループFARCのラジオ局を支援するために用いたとして告訴することを発表した。FARCに実際に資金は送られていなかったし、仮に送られていたとしても、その額はチキータがAUCに支払った170万ドルから比べると極めて小さい。7人のデンマーク人は、EUのテロ組織リストに名が挙げられているグループに資金を送る意図を持っていたというだけで、最大6年の罪を問われることになる。

国務省のテロリスト組織リストに名が上がっている集団に大規模な資金援助を行った米国企業にちょっと肩をたたいて宥めた程度で大目に見るというブッシュ政権おなじみの態度から、「対テロ戦争」で本当の標的となっているのは誰かをめぐり深刻な疑問が生まれる。どうやら、自社の操業と社員を守るためというチキータ社の説明は、ブッシュ政権の目には、テロリズムに資金を提供することを正当化する十分な理由となっているようである。

実際、この事件は、現在テロ組織に資金を提供していたり、今後提供を決めるような米国企業とその重役にとって法的な先例となるだろう。企業の経営者たちが、ありうる罰金よりも利益のほうが遙かに大きいと考えるならば、ビジネス的にはテロリズムに資金提供するのは有意義である。チキータの場合、2001年にAUCがテロ組織にリストされて以来あげてきた2億ドル以上の利潤から考えると、2500万ドルという罰金額は相対的に小さい。チキータの罰金はまた、2004年に同社がコロンビアの子会社バナデックスの売却で手にした5150万ドルからみても半分以下である。

一方、たとえば私自身のような米国籍の独立ジャーナリストがFARCの支配地域で取材をする際、自らの身の安全を保障するためにFARCに170万ドルを支払ったとしたとしよう。そのとき、私に科される処罰が、私が過去5年に得た収入のごく一部だけに留まるとは考えにくい。私自身は、こうした状況では、テロに資金を提供したとして永年にわたる禁固刑を言い渡されるだろうと確信している。チキータの事件は、ブッシュ政権が人民の政府ではなく、企業の、企業による、企業のための政府であることをさらに強く確証している。


以前も紹介しましたが、米国の独立系メディア番組として有名な「デモクラシー・ナウ」の日本版ができました。デモクラシー・ナウ!日本版をご参照下さい。

■憲法施行60周年
生かそう憲法 守ろう9条 改憲手続き法はいらない
2007年憲法集会&1万人銀座パレード


・日時 5月3日(休)12時開場、13時開会、パレードは15時から
・会場 日比谷公会堂とその周辺(地下鉄霞ヶ関、or日比谷)
・スピーチ 植野妙実子、浅井基文、福島瑞穂、志位和夫
・歌&コント オオタスセリ
・入場無料(カンパ募集あり)

主催・5・3憲法集会実行委員会(事務局・憲法会議、女性の憲法年連絡会、憲法を愛する女性ネット、平和憲法21世紀の会、憲法を生かす会、キリスト者平和ネット、市民憲法調査会、許すな!憲法改悪・市民連絡会)問い合わせ03−3221−4668

■平和憲法60年の集い

日時 5月3日(祝) 午後1時30分開会
場所 京都会館第一ホール
   (二条通東大路東入る)
参加費 500円 
   ※チケットは当日までにお求めください
講演
  小森陽一さん (9条の会事務局長)
  猿田佐世さん (憲法行脚の会事務局長)
 「つどい」のあと憲法ウォークを行います。

主催 5・3憲法集会実行委員会
  京都市上京区荒神口河原町東入122-1
  日本バプテスト京都教会気付
  FAX 075-231-4327

参議院憲法調査特別委員会名簿

■辺野古関係情報

辺野古からの緊急情報
辺野古からの緊急情報(携帯版)
基地建設阻止情報
ちゅら海をまもれ!沖縄・辺野古で座り込み中!
ジュゴンの家日誌

■様々な情報・イベント

どがんすっとね? 日本ば! パレスチナば!
2007年5月18日(金)18:30〜
ジャーナリスト土井敏邦氏を囲んで 音楽と芝居の集い
詳細はどがんすっとね? 日本ば! パレスチナば!へ。

戦後責任ドットコムというページがあります。

やめろ!「昭和の日」4月29日集会・デモ

日時 2007年4月29日(日)
デモ 16時東京都豊島区・南池袋公園(JR池袋駅東口 約3分)
集会 18時開場◇豊島区民センター音楽室(JR池袋駅東口 約5分)
お話 山口正紀さん(ジャーナリスト/元読売新聞記者)「9条を1条に――憲法・
   天皇制とメディア」
   千本秀樹さん(現代史研究)「戦争と昭和天皇―小倉侍従日記をめぐって」
資料代:500円
主催:やめろ!「昭和の日」4.29集会実行委員会
呼びかけ:アジア連帯講座/国連・憲法問題研究会/昭和天皇記念館廃館準備委員
 会/反天皇制運動連絡会/「日の丸・君が代」強制反対の意思表示の会/連帯社/
 労働運動活動者評議会(50音順)
連絡先:落合ボックス事務局 東京都千代田区三崎町3-1-18 市民のひろば気付
     電話:090−3438−0263

「昭和の日」反対!新たな戦争の時代を許すな4・29大阪集会

日時 4月29日午後1時30分
   デモ:午後4時30分から
場所 エルおおさか(府立労働センター)南館7階 
   (地下鉄・京阪電車「天満橋」下車 徒歩7分)
シンポジウム:戦後を問い続けて
   発題
    永野 仁さん(関西わだつみ会代表)
    市場淳子さん(韓国の原爆被害者を救援する市民の会代表)
    菱木政晴さん(合祀イヤです訴訟事務局長)
   コーディネーター
    黒田伊彦さん(参戦と天皇制に反対する連続行動)
参加費 1000円
主催 参戦と天皇制に反対する連続行動
   大阪市淀川区十三東3−16−12
   Tel/Fax 06 (6303) 0449
   *4・29大阪集会に賛同を。賛同費は個人・団体とも1000円。
   郵便振込 00900−8−168991
   口座名称 反戦反天皇制労働者ネットワーク

5月1日・2日 イラク自由会議関係集会

IFC(イラク自由会議)サミール議長、USLAW(米国反戦労働者の会)ミューレンカンプさんが来日。
5/1(火)東京集会 東京仕事センター(JR飯田橋 徒歩5分)
5/2(水)関西集会 クレオ大阪東(JR京橋駅 徒歩7分)
両日とも 18:30開場、19時開始
参加費 1000円
連絡先 東京 電話 03−3267−0156
     関西 電話 06−6762−0996
益岡賢 2007年4月27日

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