ウリベの新たな経済改革はコロンビア人ではなく企業を利する

ギャリー・リーチ
2006年7月31日
コロンビアジャーナル原文


ウリベ政権は、最近になって、三つの改革を実施すると発表した。それらは、多国籍企業が何百万ドルもの追加利益をあげることを可能にする一方、コロンビアで多数を占める貧しい人々にはさらなる経済的困難を約束するものである。破壊的なワン=ツー=スリー・パンチにより、ウリベ政権は、まず、国有石油企業エコペトロル社を部分的に私有化する以降を発表し、ついで、法人収益税を大幅削減すると当時に、コメやイモ、チキンといった基本的食料への付加価値税(VAT)を増加させる意図を宣言した。

2006年7月25日、ウリベ大統領は、エコペトロル社の株式20%を政府が売却する予定であると発表した。彼の任期の第一期には、そうはしないと約束していたにもかかわらず。ウリベはエコペトロル社を第一期4年の任期の間には私有化しなかったが、国際通貨基金(IMF)からの21億ドルのローンに付与された条件に合うよう、2003年、同社を再構成していた。ウリベ政権は、さらにその翌年、外国の石油企業がエコペトロルと共同で事業を行わなくてよいという改革を実施していた。国有エコペトロル社は、こうして、生産契約にあたって海外企業と競争しなくてはならなくなていたが、それでも100%国有であった。

エコペトロル株の20を売却するという提案は、おそらく、国有石油企業の完全な私有化の第一段階であろう。エコペトロルの売却は、ウリベ政権が行ってきた一連の国有資産売却の最新のものであり、国有電信電話企業テレコムと国有鉱業会社ミネルコルの私有化のあとを追うものである。しかしながら、エコペトロルの部分的私有化は、財政的負担を軽減しようとする試みではない。全く逆に、エコペトロルは政府にとって重要な収入源である。2005年、国有エコペトロル社は、国家財政に収入の32億3000万ドルを供出した上で、記録的な12億9000万ドルの純益をあげた。

投資銀行会社ベア・スターンズの取締役アルベルト・ベルナルによると、コロンビア政府が今回の株式売却で得る収入は10億ドル強だろうという。しかしながら、この臨時収入は、部分的私有化により政府が失うだろう株式20%分の将来の収入と比べると、はるかに小さなものになる。結局、世界的な石油価格の高騰によりエコペトロル社はきわめて重要な財政上の資産となっているまさにそのときに、ウリベ政権は、その収入源を私企業に譲り渡そうとしているのである。

政府は、コロンビアが石油の純輸入国になることを避けるために必要なのだとしてこの売却を正当化しようとしている。この議論には根本的な欠点がある。というのも、コロンビアが、自国自らが生産する石油を、コロンビアで操業している海外の石油諸企業からグローバル市場価格で買わなくてはならなくなったのは、政府がこれまで行ってきた構造改革と私有化提案がゆえだったからである。したがって、財政的な観点からは、政府が自国で生産されたものであれ海外で生産されたものであれ、石油をグローバル価格で買わざるを得ないのならば、コロンビアが石油輸出国であり続けるかどうかは問題ではない。

エコペトロル社を部分的に私有化する計画を明らかにした三日後、ウリベ政権は、政府収入をさらに減らすことになる改革を発表した。7月29日、ウリベ政権は議会に、法人収益税を32%から35%削減する提案を提示したのである。これにより、企業利益はあがるが、政府収入は減る。法人収益税の削減により、コロンビアは、海外企業にとってこれまでよりもさらにいっそう投資と搾取先として魅力的なものになる。国有石油企業株20%の購入に関心を持つ企業にとっても同様である。

法人収益税の削減に含まれていたのは、それが不可避的にもたらす歳入削減を相殺する政府の計画である。ウリベ政権は、コロンビアの逆累進的課税システムをさらに拡大することを提唱した。具体的には、政府は、コメやイモ、チキンなどの基本食料品に10%の付加価値税(VAT)を導入する提案を行ったのである。ポロ・デモクラティコのホルヘ・ロブレド上院議員によると、全体の税制改革は大資本に有利となる一方で、課税基盤を広げ、収入の最も低い社会セクタの必需品に対する税を大幅に増やすものである。

ウリベ政権の提案では、最貧困セクタが払ったVATについては返還するとうたっているが、どうやってそれを行うかの説明はない。しかも、そうした返済計画は、国内避難民となっていたり非正規部門で働く人々を含む貧しくさせられたコロンビア人の数を考えると、現実的でない。こうした人々の多くは、法的な身分証明文書を失っており、政府に申請するのを恐れている。その結果、税の返還に必要な官僚的プロセスがどのようなものであれ、多くの貧しいコロンビア人が、それを行う可能性は低い。

この返還提案は、可処分収入がなく、文字通りその日その日をようやくしのいでいる貧しい多くのコロンビア人にVATをいったん支払う金を手にしておけと要求しているという点で、現実を考慮していない。結局のところ、ウリベが提案している税制改革は、コロンビアの貧しい多数の人々のほとんどにさらなる困難を強いる一方で、裕福な私企業の税負担を軽減するものである。

ウリベ大統領は、2002年に政権の座に就いて以来、数多くの新自由主義的改革を導入してきた。その結果、コロンビアは、ウォールストリートの投資家たちや多国籍企業にとって格好の投資先となった。とりわけ、ほかの多くの南米諸国が新自由主義政策から距離を取り、自国の経済と天然資源に対する主権を主張している中では、そうだった。今回の改革により、南米におけるブッシュ政権の親密なお仲間であるコロンビアは、今一度、コロンビアの貧しい大多数の人々の福祉を犠牲にして、グローバルな資本の利益に仕える立場を明らかにしたのである。


小泉純一郎首相がこの5年間進めてきた「構造改革」とほぼ同じ姿が、さらにはっきりしたかたちで、コロンビアにおけるウリベ大統領の政策に観察されます。その小泉首相は、靖国神社に参拝。経済格差などの具体的な問題をごまかすために心情的なナショナリズムに訴えるのは、よくある手ですが・・・。

■小泉構造改革と私たちの暮らし

今回のコロンビア記事にも関係して、日本の状況。佐賀県でのイベントです。

とき  2006年8月26日(土) 午前10時
ところ 佐賀県教育会館 2階 大会議室
    佐賀市高木瀬町東高木227-1
演題  「小泉構造改革と私たちのくらし
     〜小さな政府は何をもたらすか〜」
講師  暉峻 淑子 さん  (てるおか いつこ)
    埼玉大学名誉教授
    川崎市平和館運営委員長
    NGO国際市民ネットワーク代表
    著書 「サンタクロースってほんとうにいるの」
       (絵本・福音間書店)
       他多数
一般の方・男性の方 大歓迎です。
主催 佐賀県教職員組合 女性部
お問い合せは佐教組本部まで
   電話 0952-31-7161

■2007参院選・埼玉地方区での平和共同候補を考える集い

日時:2006年9月4日(月)午後6時開場、6時30分開会
場所:さいたま共済会館 5階 505号室
   (さいたま市浦和区岸町7-5-14、電話048-822-3330)
   http://www.saitama-ctv-kyosai.net/introduction/kaikan.html
進行:今後の目標・活動方向についての問題提起、自由討論

■プルトニウム関係

美浜の会HPをご覧下さい。

■パレスチナ・レバノンの状況

P-navi infoをご覧下さい。

国連安保理での停戦決議が報道されていますが、状況は曖昧なままです。

アムネスティ・インターナショナルに緊急行動・身の安全の懸念/健康の懸念:レバノン南部の数千人の民間人があります。

また、レバノン、即時停戦を求める署名もご覧下さい。
益岡賢 2006年8月15日

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