ウリベの勝利で弾圧がさらに激化する可能性がある

ギャリー・リーチ
2006年5月29日
コロンビア・ジャーナル原文


アレバロ・ウリベ大統領当選おめでとう。ウリベ大統領は、投票の62%を得て、コロンビア大統領選のはっきりした勝者となった。この選挙は、投票を行うコロンビア人の多数はウリベの民主的治安戦略を指示していることを疑いなく示した。コロンビア内外の左翼は、この事実を認めなくてはならない。けれども、62%の票を得たからと言って、政治的反対派や、政府の治安政策・経済政策に批判的な人々の人権を侵害する権限を手にしたわけではない。左派よりのコロンビア人にとって、これからの4年間は、おそらくは激化するだろう政府の弾圧から身を守りながら、最近の選挙で得た地歩を固める闘いになるだろう。

62%の票を得たのだからウリベにはっきりと統治権が委任されたと主張する人は多いだろうが、実際には、ウリベを支持する票は有権者の28%でしかない。投票率は45%と推定されており、4年前とほぼ同じで、コロンビアの標準から見ても、低い。ウリベは、わざわざ投票をするようなコロンビア人のあいだで62%の票を得ただけなのである。今回の投票率の低さは、コロンビアのゲリラが投票を妨害しないと約束していただけに、いっそう気がかりである。当局は、投票率の低さを暴力や、ゲリラが有権者の投票を妨害するせいにしているが、今回の低い投票率に対する唯一の説明は、コロンビアの政治プロセスに対する無力感の広まりである。

いずれにせよ、ウリベは投票ではっきりと勝利を収めた。そして、コロンビアの選挙プロセスにおける多くの欠陥----右派準軍組織による有権者への強制や、左派の民主ポールへの脅迫などを含む----があったにせよ、過半数では必ずしもないにせよかなりの人々がウリベ大統領を支持していることは明らかである。結果として、われわれ左派がウーゴ・チャベスのベネズエラ選挙における勝利をチャベスの人気を証明するものとして繰り返し持ち出すならば----もちろんベネズエラの選挙プロセスはコロンビアのように欠陥だらけではないが----、ウリベがコロンビアでかなりの人気を保っているということも認めなくてはならない。しかしながら、このことは、ウリベに反対する人々が彼の政策を受け入れることを意味するわけではない。とりわけ、コロンビアの特定部分の人に対する弾圧をともなうときには。

たくさんのコロンビア人が、自分たちの安全を改善する政策を支持して投票し、国の上向き経済が生み出す富が大多数を占める貧しい人々には恩恵をもたらしていないことや、政府の政策に批判的な人々が政府の弾圧の犠牲となり、殺されたり、失踪したり、家を追われたり、恣意的に逮捕されていることには目をつぶっている。コロンビアで長く続く内部紛争のため、大統領を選ぶときには、政府の弾圧の標的にならない人にとって、安全が他のあらゆる懸案よりも前に来る。

ウリベの選挙における勝利は、批判者たちへの弾圧を続けたり強化することへの青信号を彼に与えたわけではない。コロンビアは自らを立憲民主制であると述べており、そうならば、統治は単純な多数派の支配によるものではない。すなわち、ウリベはコロンビア憲法の制限の中で統治を行わなくてはならず、憲法は、彼の政策を支持する人たちだけでなく、あらゆる市民の権利を擁護することを要求している。

ウリベが一期目の任期でそれを守れなかったことが、民主ポールの左派大統領候補カルロス・ガビリアがかつてない22%の票を得たことに大きく貢献している。選挙では少数派であるが、ガビエラの支持者はウリベの抑圧的な政権で犠牲とされていた人々である。そして現在、そうした人々が最も恐れるのは、ウリベの勝利により、治安と経済成長の名の下で進められてきた弾圧が激化することである。

ウリベは、チリの冷戦時代の軍事独裁者アウグスト・ピノチェトの現代版民主的権威主義バージョンを体現している。1970年代と1980年代、チリのかなりの人々が、ピノチェトの権威主義的政策を支持した。その政策は治安と経済成長を人権擁護よりも優先させるものだった。ピノチェトは政府に批判的な人々を「失踪させる」技術を完成させた人物であるが、ウリベの第一期にコロンビアで「失踪」した人々の数は、チリで軍事独裁が続いた17年間で失踪した人々の総数を上回る。

けれども、今日チリで起きていることは、チリの人々の多くが、今や、治安と経済成長を達成するために重大な人権侵害を犯すことは正当化できないと考えていることを示している。同じ考えの基、コロンビアで社会正義を求めて活動している人々は、すべてのコロンビア人の憲法上の権利と人権が尊重され守られることを求めている。コロンビアの勇気あるこうした人々と連帯している世界中の人々にとって、ウリベによる侵害を追求することはこれまでよりいっそう重要になってくる。チリのように20年以上もかからないことを期待したい。


■東チモール緊急支援のお願い

新聞でも報じられていますが、しばらく前から東チモールで争乱状態が続いています。現地のカトリック教会筋から、国内避難民を支援するための募金の依頼が来ています。ぜひ、ご協力下さい。

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 郵便振替 00900−0−167861
 加入者名 東ティモールカトリックネットワーク
 通信欄に「東ティモール内難民支援」とご記入ください。
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詳細につきましては、緊急支援のお願いをご覧下さい。

■チェチェンの子どもを支援する会 活動報告会

以下、同会からのご案内です。

チェチェン戦争が始まって約12年。人口100万人のチェチェン共和国では、この戦争によって5万人の子どもを含む20万人以上が死亡し、数十万人が難民としてロシア国内や隣国、ヨーロッパに逃れています。私たちチェチェンの子どもを支援する会は、「悲惨な状況だからこそ子どもたちにはせめて教育を」という親たちの願いに応えるために、現在アゼルバイジャン共和国で難民学校の教育支援を行っています。戦火によって幼い頃や生まれる前に故郷を追われ、行き場のない思いを抱えながら、避難先で大人になってしまった、あるいは大人になっていく子どもたち・・・。

今回の報告会では、映像や音楽を交えて等身大の彼らの姿をお届けします。チェチェンや難民の問題に関心のある方も、チェチェンってなに?難民ってなに?という方もぜひお気軽にご参加ください!

関連HP:http://www7.plala.or.jp/deti-chechni/event2.html

日時:2006年6月18日(日)午後6時20分〜午後9時
場所:文京シビックセンターB2 消費生活センター
   〒112-0003 東京都文京区春日1-16-21
   後楽園/春日駅より徒歩1分、後楽園駅から徒歩3分
地図:http://www.city.bunkyo.lg.jp/shisetsu/civic/index.htm
参加費:500円
定員:50名
参加の条件:どなたでもご参加いただけます。
主催:チェチェンの子どもを支援する会
申込:事前のお申し込みはご不要です
問合・申込先:チェチェンの子どもを支援する会
   担当者:鍋元トミヨ、電話&FAX:042-345-0754
   メール:marsho@apost.plala.or.jp

■小樽市長への米軍艦寄港受け入れ反対の要請を!

以下は、核とミサイル防衛にNO!キャンペーンからの情報です。転載歓迎とのことでしたので、転載致します。

6月9日、大幅に遅れましたが空母キティーホークとイージス巡洋艦カウペンスの寄港受け入れをしないよう求める下記の要請書を小樽市長あてにFAXしました。夕方、気になったので小樽市役所に直接電話して現状を問い合わせてみました。担当の総務課の方によると、「市として入港の可否についての最終判断はしておらず検討中である。いつ頃決めるかは言えないが、入港希望日(7月1日)の数週間前になるだろう。市としては従来と同様に、入出港の安全性、商業港としての機能に差しさわりはないか、核兵器搭載の有無の確認、という大きく3つの基準をもとに判断することになる」とのことでした。

地元小樽からの連絡を受けた方によれば、小樽市は入港可否の回答を、9日から16日(金)に延期したそうです。

そういうわけで、今後も小樽市への要請は必要かつ有効です。既に案内されているFAX番号(FAX:0134-25-1487)以外にも、以下のあて先へのメール、FAX、TEL、手紙による要請が可能ですので併せてお伝えします。まだの方はどしどし要請を、そして知人にもぜひお知らせください。

この1週間が正念場。言葉の力で軍艦の横暴を止め、「米軍再編」に風穴を開けましょう!

★【小樽市総務部広報広聴課:「市長への手紙」係】
  〒047-8660 小樽市花園2-12-1(小樽市役所)
 [TEL]0134-32-4111(内線394)
 [FAX]0134-27-4331
「小樽市へのご意見・お問い合わせ」フォーム
  →http://www.city.otaru.hokkaido.jp/iken/iken.html
【要請書】小樽市長 山田勝麿 様  <転送・転載歓迎/重複失礼>

米軍艦受け入れは住民を危険にさらし自治体の平和的生存権の放棄につながります

 〜アフガニスタンやイラクの殺された人々が見ています。
空母=「動く戦争基地」やイージス艦=「先制攻撃万能艦」との「友好・親善」などあり得ません。

・自らは傷つくことなく遠く離れた洋上から最も効率的に人を殺すための最も高性能な軍艦が、自治体や住民が持っている平和的生存権と戦争加担を拒否する権利を踏み潰すためにやって来ようとしています。今回の「寄港演習」の狙いは明らかです。今年初めにイージス巡洋艦「チャンセラーズビル」が「大雪」を理由に寄港を事実上拒否された小樽市に対して、空母を差し向けてじきじきに「リベンジ」に打って出たと私たちは見ています。「今度こそ屈服させてみせる」。そこに貫かれているのは、民間人の大量殺害という戦争犯罪を繰り返してきた延長線上にある傲慢かつ威圧的な姿勢です。検討されている「周辺事態法」の改悪=戦時における自治体の港湾管理権のはく奪による戦争協力の強制を先取りする危険な動きと言わざるを得ません。

・空母キティーホークは2003年、イラクへの国際法も国連憲章も無視した侵略戦争に参加し、派遣された5隻の米空母の中で最多の3500回にも及ぶ空爆を行いました。また、随伴艦として寄港しようとしているイージス巡洋艦カウペンスはイラク戦争開戦時に10発のトマホーク巡航ミサイルを発射し、文字通り先制攻撃の役割を果たしました。日本の自治体による寄港の受け入れ=補給拠点の提供は、それらの攻撃によって一方的に一瞬にして殺されたイラクの人々の目にどう映るでしょうか。

・自治体は住民に最も近く、その生命と安全を保障する最大の責任を負っています。港湾管理権は、自治体が侵略戦争に組み込まれ戦争加担の役割を果たした歴史の教訓に基づく、譲り渡すことのできない大切な権利です。 米日両政府は「軍事同盟の変革と再編」をめざすいわゆる「米軍再編」を通して、日本列島を「不安定の弧」への「出撃・攻撃・指揮・補給・修理」の拠点と位置付け、全土の基地化と共同司令部の確立などを狙っています。それは現行の日米安保条約をもはるかに踏み越えた、軍事同盟のグローバル化であり、米軍が一方的に行うグローバルな「対テロ」先制攻撃戦争に自衛隊と日本列島を組み込む、超法規的かつ危険な企てです。政府がこうした重大な誤りを犯しつつあるとき、それを糾すのは自治体と市民以外にはありません。

・政府の過ちを黙認し、追従することは、地域住民を相手からの標的として危険にさらすのみならず、現在そして遠くない将来に爆撃にさらされる人々への犯罪です。米軍は遠い距離が兵力展開の妨げになることを「距離の暴虐」と呼ぶそうです。私たちが距離を理由にイラクやアフガニスタンなどの殺される生身の人々への想像力をなくし、「距離の忘却」に陥るならば、私たちもまた米軍の暴虐への共犯者となるでしょう。

・標的は明確に港湾管理権に定められています。どうか歴史の審判に耐え得る賢明なご判断をお願いします。米軍艦寄港の拒否を。一切の「歓迎と協力」をしないでください。

2006年6月9日   核とミサイル防衛にNO!キャンペーン

益岡賢 2006年6月10日

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