コカをめぐる統計は、プラン・コロンビアの失敗をはっきり示している

ギャリー・リーチ
2006年4月19日
コロンビア・ジャーナル原文


米国政府が最近発表した、コロンビアにおけるコカ栽培の年次調査結果は、プラン・コロンビアが失敗であることをはっきりと示している。けれども、2005年の数値は曖昧なところなく明らかであるにもかかわらず、ブッシュ政権は、結果を効果があったものと見せかけるためにあらゆる曲解を行っている。米国麻薬取締庁(ONDCP)の報告は、2005年のコロンビアにおけるコカ栽培地域を14万4000ヘクタールとしている。これは、その前年の11万4100ヘクタールから26パーセントの拡大である。この暗澹たる統計にもかかわらず、米国のドラッグ・ツァーたるジョン・ウォルターズは、驚いたことに、プラン・コロンビアは、そのコカ栽培を減らすという目的に成功しつつあると言い張った。

2000年にプラン・コロンビアが始まったとき、クリントン政権は、5年間でコロンビアのコカ栽培を半減させるだろうと主張した。その年のコカ栽培は、13万6200ヘクタール強と推定されていた。空中からの農薬散布を5年も続けたあと、プラン・コロンビアは、栽培を半減させるとはほど遠いところにいる。実際、ONDCPが新たに発表した報告では、2005年のコカ栽培地域は、プラン・コロンビア開始時よりも多いのである。

ONDCPは、2005年の調査は、それまでよりも81パーセント広い地域をカバーしていると主張している。「新たに対象となった地域から、コカ栽培地域がさらに3万9000ヘクタール追加された」と報告書は述べる。さらに同報告は、次のように断言している。「これらの地域はこれまで調査対象とされていなかったので、どのくらい前からコカ栽培がされていたかを判断することは不可能である。この曖昧さと、調査対象地域の大きな拡大により、年毎の数値を直接比較することはできない」。

この説明はブッシュ政権にとって便利かも知れないが、重要な問題をいくつか扱っていない。たとえば、前の年の調査が2005年ほど包括的ではなかった理由はどこにあるだろうか? また、前の年までの調査が包括的でないというならば、どうして米国政府関係者は、2002年と2003年、コカ栽培が減ったという調査結果が出たときに、それが正確だと繰り返し主張したのだろうか? ブッシュ政権が今になって、過去の調査は包括的ではなかったと認めたことから、2002年と2003年にコロンビアのコカ栽培が減ったという公式の主張は信頼性を失うことになるのではないだろうか? 最後に、新たに調査された地域で見つかった3万9000ヘクタールのコカ栽培地域では、2002年と2003年、ONDCPがプラン・コロンビアの成功を高らかに謳っていたときにも、コカが栽培されていた可能性は高くないのだろうか?

最新の調査結果と過去の結果とを正確に比べることはできないかも知れないが、いくつかのパターンを仮定することはできる。第一に、プラン・コロンビアに批判的な人々が当初から繰り返し指摘してきたように、代替となる経済プログラムがないままに進められる空中からの農薬散布は、「風船効果」をもたらし、風船の一カ所を絞ったら別の箇所が膨れるように、一つの地域での栽培が減ったら、別の地域での栽培が増える。第二に、需要が比較的安定している限り、アンデス地域の貧困に追いやられた農民たちは、他の経済手段がない状況で、コカ栽培を続けるだろう。

ONDCPの最新報告が公開されたあとでプラン・コロンビアについて尋ねられたドラッグ・ツァーのウォルタースは、「明らかな質問は『それはうまくいっているか?』というもので、思うに、答えは自明だ。農薬散布がないところで栽培は増え、農薬散布がなされるところでは栽培は減っている」。言葉を換えると、プラン・コロンビアは、それが適用されている地域では機能しているということである。けれども、新たに調査された地域を除いて、2004年と2005年の両年に調査された地域だけを見たとしても、栽培の減少率はたった8パーセントに過ぎない。過去5年間を通して調査された地域を見たとしても、5年間でコカ栽培地域を半減するという、米国が述べた目標は達成されていない。

それにもかかわらず、ウォルタースの言葉は、空中からの農薬散布が標的としている地域の成功と失敗の評価だけに集中し、周辺地域にそれがもたらす結果を無視することを示しているようである。こう捉えるならば、ONDCPの理屈に従えば、プラン・コロンビアは、当初よりもはるかに遅いペースでではあるが、コカ栽培を減らすことに成功しているのは明らかである。けれども、そうした分析は、まるで、ある地域での犯罪発生率さえ減らせば、周辺地域でそれより早いスピードで犯罪率が増えたとしても、「決して犯罪を許さない」という政策は成功していると見なすのに似ている。

そんなかたちの「決して犯罪を許さない」政策が成功と見なされるのは、当初標的となった地域の犯罪統計だけを評価し、犯罪者が移り住んだ周辺地域で犯罪が増えたことは無視したときだけである。そうした長引く犯罪問題への解決は、貧困や不平等といった誘因に対処することにではなく、あらゆる地域で「決して犯罪を許さない」政策を適用することにあると主張する人がいるのは疑いない。それはつまり、実質的に、ある種の警察国家を樹立することである。

ウォルタースがコロンビアのコカ栽培について提唱しているのは、この警察国家型解決である。コカが栽培されているすべての地域に空中からの農薬散布を広げる必要があると主張しながら、問題の根にある社会経済的側面はほとんど無視して。すなわち、コカ栽培に適したコロンビアの領土をすべてしらみつぶしに農薬散布すれば、プラン・コロンビアは遠い未来のいつか、成功するだろうというわけである。けれども、そのときの費用はどれだけになるだろうか? 5年間のプラン・コロンビアで米国の納税者は47億ドルを支払い、コロンビアの農民数千人の生活を破滅に追いやり、農薬散布を逃れて熱帯雨林の奥深くへとコカ栽培者が場所を移したために森林破壊が拡大している。

そして、プラン・コロンビアは何を達成したのだろうか? ブッシュ政権が人々にプラン・コロンビアは機能していると信じさせるために多大な努力をつぎ込んでいるにもかかわらず、あらゆる証拠が、5年間でコカ栽培を半減させるというコロンビアにおける米国の麻薬政策は惨めなまでに失敗したことを示している。さらに、おそらくいっそう重要なことに、プラン・コロンビアは、財政的にも、社会的にも、環境的にも維持不能であることがますます明らかになってきている。


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益岡賢 2006年4月19日

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