IMFの世界に生きて

ギャリー・リーチ
2005年10月21日
コロンビア・ジャーナル原文


国際通貨基金(IMF)の職員たちはものを見ていないのか、頑固なのか、無知なのか、あるいはそれらすべてなのか。それを見極めるのは難しい。何万人ものコロンビア人がボゴタの路上に繰り出して、米国との自由貿易協定に抗議していたその同じ日に、IMFのラテンアメリカ代表アヌープ・シンは、来年予定されているラ米諸国の選挙は「地域にすでに発展をもたらしてきた改革を継続する大切なチャンスだ」と述べた。つまり、サイは、ラテンアメリカには、構造改革を適用し続ける指導者を選び出すことでIMFが押しつけた新自由主義モデルを支持する「チャンス」があると信じているのである。ラテンアメリカの有権者が最近左派にシフトしており、新自由主義の政策に対する幅広い反対が続いており、さらにベネズエラ大統領ウーゴ・チャベスの反新自由主義がラテンアメリカでますます人気を高めている中、いったいどうしてサイは、ラテンアメリカの有権者が右派にシフトするなどとそもそも考えたのだろうか?

ブラジルのルラを典型として、中道左派の指導者の中には、新自由主義的な経済改革の実施を続けている者もいるが、同時に、富の再分配をより重視しようとしている。そして、選挙で選ばれた指導者たちがIMFの基準に従うことに多くの市民が苛立ちを感じている中、いっそう頑固な親新自由主義者の候補に突然救いを求めて人々が投票することはありそうにない。実際、来年の諸選挙では、政権を握る中道左派政党の数がラ米地域で増えるように思われる。

2006年、メキシコとニカラグア、そしてボリビアで左派政党が政権を握る可能性がある。可能性として高いのは、これら政党はルラにならってIMFの条件に従わなくてはならないと感じつつ、注意深い管理のもとで再分配を行おうとするだろう。けれども、新たに生まれた政権がチャベスとの関係を強めようとする可能性もある。ボリビアやニカラグアのような小さな経済国は、ワシントンを拠点とするIMFや世銀への依存度を減らすためにベネスエラからの支援と貿易から大きな利益を得るだろう。ボリビアでエボ・モラレスが勝ち、ニカラグアでサンディニスタが政権に復帰すれば、それが起こる可能性は確かにある。

さらに左派にシフトするならば、それは、ラテンアメリカの人々が、IMFのサイの断言にもかかわらず、新自由主義的改革をチャンスだとは見なしていないことを示している。2006年の大統領選挙で左派が勝利を収めることはなさそうなコロンビアでさえ、人々の多くは、政府の経済的成果に不満を抱いている。アレヴァロ・ウリベ大統領の人気は治安政策だけによるものであり、経済政策によるものではない。ここ数年、経済はかなり成長しているにもかかわらず、コロンビアの貧困レベルは全く改善されていない。成長がもたらす富はコロンビア人のほとんどには到達しないのである。現在、コロンビアでは64%の人々が貧困生活を送っている。地方部では85%である。コロンビアの労働者や農民、先住民の多くが、ウリベ政権による新自由主義政策の適用に抗議し続けている。

サイの言葉、そしてIMFの政策が続いていることは、ラテンアメリカで大多数の人々が抱いている希望をIMFはまったくわかっていないことを意味している。いくつかの国で、IMFは、反新自由主義的立場により選ばれた政府に新自由主義を押しつけている。こうして地域の民主主義を妨害していることは、IMFという金貸し組織の権威主義的性格をはっきりと示している。

IMFの権威主義的性格はまた、コロンビア政府の経済政策に対する9月のレヴュー----コロンビアとの間でIMFが2005年4月に交わした6億1300万ドルの貸し付け合意のもとでIMFが要求したものである----にも明らかである。この報告の中で、IMFは、コロンビア政府が要求通り新自由主義改革を非民主的に適用しようとしていることに喜びを表明している:「構造改革は継続的に推進されるだろう。政府は、法制化を必要としない政令をはじめとする手段を通して改訂予算方針のできるだけ多くを実施しようとしている」。

ボリビアとエクアドルで最近政府を倒した反自由主義の抗議行動は、選挙で選ばれた指導者が市民の意向ではなく国際通貨組織の利益を代表したとき形式的な民主主義がどれだけ脆弱になるかを示している。一方、IMFは、新自由主義の成功として最近のラテンアメリカにおける経済成長だけを指摘し続けており、その「成長」から何も利益を得ていないラテンアメリカの大多数の人々の意志を理解することを、かたくなにまた傲慢に拒否している。


いろいろなイベントや出来事があります。


■チェチェン報告会(10月27日・木)

終わりなきチェチェン戦争、強権化に向かうロシア社会

 プーチン政権から目の敵にされながら、無差別爆撃下のチェチェンの悲惨な実態を報道しつづけたロシア人ジャーナリスト、アンドレイ・バビーツキ記者、ついに来日!
 1994年から断続的に続くチェチェン戦争。私たち「チェチェン連絡会議」は、この戦争による、チェチェン市民に対する人権侵害を広く知らせるために、アンドレイ・バビーツキ記者 を日本に招聘し、チェチェンと、プーチン政権の現状について報告します。
 バビーツキ記者は、99年の第二次チェチェン戦争が始まって以来、厳重に封鎖されたチェチェンに潜入し、ラジオを通じてレポートしてきました。その活動に業を煮やしたロシア政府は、2000年の2月に彼を拘束、「非合法武装勢力の一員だ」として、チェチェン人たちに 引き渡す場面を仕組んで放送させました。「バビーツキ事件」です。
 チェチェン内部に入り込む現場主義とプーチン政権に対する問題意識。今、混迷するチェチェン情勢を語るのにふさわしい人物と言えるでしょう。ぜひご参加ください!

関連HP:http://chechennews.org/event/index.htm#20051027

日時:2005年10月27日(木)18:00から21:00
場所:文京区民センター3A会議室
   東京都文京区本郷4-15-14
   03-3814-6731
   都営三田線/大江戸線・春日駅A2出口すぐ
   東京メトロ南北線/丸の内線・後楽園駅徒歩5分
地図:http://www.city.bunkyo.lg.jp/shisetsu/kumincenter/
参加費:1200円
定員:300名
参加の条件:初心者歓迎
主催:チェチェン連絡会議
申込:事前のお申し込みはご不要です
問合・申込先:チェチェンニュース編集室(大富亮)
電話&ファックス:050-3329-3951
メール:ootomi@chechennews.org
HPアドレス:http://chechennews.org/

バビツキー記者の報告会は、絶対にお勧めです。もう一つ、チェチェンとアイヌを考えるイベントもあります。


■11・20プーチン来日を問う 虐殺と抑圧
 ロシアと日本に侵略される人々

チェチェン・アイヌ民族の歴史を知る、上映&トーク集会

 来る11月20日、ロシア大統領プーチンが来日します。ロシアのチェチェン共和国では、第1次戦争(1994〜96年)と第2次戦争(1999〜現在)によって、すでに20万人以上の民間人がロシア軍によって殺され、3万人以上が行方不明になっています。一方、日本政府は今回のプーチン来日・日ロ首脳会談を通じて、北方諸島の再併合にむけた「領土交渉」を行おうとしていますが、そこには先住民族であるアイヌの権利を尊重する姿勢はまったく見られません。私たち「プーチンはチェチェン戦争をやめろ!11.20デモ実行委員会」は、プーチン来日に先立って、ロシアと日本に翻弄されてきたチェチェンとアイヌという二つの少数民族の歴史を知るための上映&トーク集会を開催します。ぜひお誘い合わせの上、お越しください。

関連HP:http://blogs.yahoo.co.jp/anti_putin/

日時:2005年11月2日(水)18:45〜21:00
場所:烏山区民センター 3階 集会室
   東京都世田谷区南烏山6-2-19
   03-3326-3511
   京王線千歳烏山駅東口徒歩1分
地図:こちら
参加費:500円(資料代)
定員:200名
参加の条件:初心者歓迎
主催:プーチンはチェチェン戦争をやめろ!11.20デモ実行委員会
申込:事前のお申し込みはご不要です
問合・申込先:プーチンはチェチェン戦争をやめろ!11.20デモ実行委員会
電話:090-9846−3869
メール:kano74@peach.ocn.ne.jp
HPアドレス:http://blogs.yahoo.co.jp/anti_putin/


■障害者自立支援法という名の自立妨害法が採択されかねません

こちらに簡潔に問題点をまとめた記事があります。また、コメントはこちらをご覧下さい。とても大ざっぱにいうと、この法案は、たとえば1日1時間でも支援がないと生きていけない人に対しても、一律支援の上限を区切ってしまうような乱暴なもの。


■STOP!!憲法改悪暴走

詳しい案内はこちら
益岡賢 2005年10月21日

一つ上] [コロンビア・ページ] [トップ・ページ