ICC、コロンビアの戦争犯罪調査を求められる

ギャリー・リーチ
2005年7月18日
コロンビア・ジャーナル原文


2005年6月、コロンビア議会は「正義と平和法」を採択した。この法は、コロンビア自警軍連合(AUC)に属する右派準軍組織を解散するための条件を定めたものである。この新たな法律のもとでは、虐殺を含む重大な人権侵害を犯した準軍組織の指導者たちは、22カ月以下の禁固ですむ可能性があり、しかも、その禁固さえ、コロンビアの過酷な刑務所でではなく、農園での自宅禁固となる可能性が高い。この法律が採択されてからまもなく、フランスに本拠地を置き、世界中141の人権団体を代表する「人権のための国際連盟」(FIDH)は、「正義と平和法」は戦争犯罪を犯した者たちに対する実質上の不処罰を認めると主張した。FIDHは国際刑事裁判所(ICC)に、解散プロセスに参加する準軍組織メンバーが犯したとされる戦争犯罪を調査するよう求めた。

コロンビアは2002年8月にICC条約を批准している。その結果、コロンビアは、自国で正義を達成することができない場合、戦争犯罪者をめぐるケースをICCが調査し起訴することを認めたことになる。FIDHによると、新たに採択された「正義と平和法」は、コロンビアがICCに署名してから3年近くたって、選択的暗殺、誘拐、強制追放、失踪、虐殺を犯したコロンビアの準軍組織に対する実質上の恩赦に相当する。FIDHは、米国が支援するコロンビア軍と密接に結びついた準軍組織は、2002年12月、政府との交渉を開始するために一方的停戦を宣言して移行、2000人以上の民間人を殺してきたと述べる。

コロンビアでは、民間人に対する残虐行為を犯した軍人や準軍組織兵士に対する不処罰の歴史は長い。この20年間に、準軍組織は、4000人以上の労働組合指導者を殺してきたが、犯罪で告発された容疑者はほんの片手ほどである。同様に、政府の政策に批判的な人権活動家や市民社会の代表も、数千人が軍と準軍組織に殺されたが、ほとんど処罰されていない。FIDHは、新たな「正義と平和法」は、この不処罰の慣習を続けることになるだけだと主張する。

「正義と平和法」は、最大の刑期を5年から8年としているが、虐殺を犯して有罪になったものに対してさえ、準軍組織が政府と交渉しながら農場で安楽に過ごしている2年間を刑期として考慮することを認めている。素行良好により刑期が短縮されることも併せ考えると、人道に対する罪で有罪になる準軍組織指導者たちは、たった22カ月の刑期を過ごすだけでよい可能性があり、しかも、農場で過ごす可能性が高い。FIDHによると、農場での22カ月というのは正義が実現したことにはならないので、ICCがこのケースを取り上げるべきである。FIDHはまた、ICCに対し、コロンビア大統領アレヴァロ・ウリベとそれ以外の政府職員を、人道に対する罪を阻止せず処罰しなかった件で取り調べ、罪を問うよう求めている。

コロンビアはICCにとって興味深いテストケースになるかも知れない。コロンビアは、ICCを批准してからの3年間を含めてこれまで何十年にもわたり犯されてきた戦争犯罪の圧倒的大部分に対する正義の実現に明らかに失敗してきた司法体制を有する国である。さらに、農場に2年足らず抑留させることを、人道に対する罪の裁きと認める者はほとんどいない。ICCが、合州国と親密な関係にある国で犯された戦争犯罪に対して正義を実現できない問題を扱うために介入できないならば、ICCの正当性は大きく損なわれるだろう。結局のところ、米国が標的とする戦争犯罪者は、すでに色々な特別国際法廷で裁かれている。ICCは、米国がスポンサーとなっている政府が犯した戦争犯罪の犠牲者にとって、正義を実現する唯一の希望の源なのである。


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益岡賢 2005年7月19日

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