ワシントンのコロンビア嗜癖

エリック・フィチトル
2005年5月30日
コロンビア・ジャーナル原文


コロンビア内戦への米国の関与が危険なレベルに達している中、米国の納税者たちが数十億ドルと引き替えに何を手に入れているかについての新たな見解が現れている。この2カ月間で、5人の米兵がコカイン密輸の罪で逮捕され、別の2人の米兵がコロンビアの右翼準軍組織との武器取引を仲介したとして逮捕された。そして、米国史上最大の経常赤字を抱えているにもかかわらず、ブッシュ政権は、コロンビアでの対麻薬作戦という愚行を続けるために7億3400万ドルの追加予算を求めている。麻薬供給が減ったという証拠は何一つないにもかかわらず。

論争の対象となっている米軍を悩ませるこの最新スキャンダルでは、フォート・ブラッグに駐屯している特殊部隊第7団のアラン・N・タンカレー下級准将とジェスス・ヘルナンデスが、5月3日、コロンビア警察に逮捕された。コロンビア軍に対する800人の米国軍事顧問の分遣隊としてコロンビアで兵務についていたこの二人は、3人のコロンビア人民間人そして4万発以上の弾薬とともに逮捕された。コロンビア警察は、これらはコロンビアの右派準軍組織のメンバーに売却される予定だったと述べている。準軍組織は、理論的にはコロンビア軍と戦闘状態にあるはずの組織で、米国政府がテロ組織と見なしている組織である。

ボゴタの米国大使館はただちに手だてをとって逮捕された2名を米国の留置場に引き渡させた。米国人政府関係者と兵士はコロンビアで「外交特権」を保証されるという1974年の条約のもとで米国に送り返すことができるようにするためである。5月5日、ボゴタで苛立ちが募る中、コロンビアの検察総監は、引き渡しを1日遅らせるよう要求した。その間に、1974年の条約が1991年のコロンビア憲法のもとで合法かどうかを調査するためであった。けれども、コロンビア検察庁はすでに二人を米国大使館職員に引き渡してしまっていた。それから一夜明けてコロンビア検察庁は心を変え、5月6日の朝、タンカレーとヘルナンデスへの質問許可を要請した。米国大使館は当初この要求を受け入れたが、すぐにこの2名の兵士を米国に送り返した。

この出来事は米軍と外交にとって大きな当惑の種となった。というのも、コロンビア準軍組織は米国国務省の海外テロリスト組織のリストに名があがっているからである。国務省報道官リチャード・バウチャーはすぐさまダメージ・コントロールに乗り出した:「準軍組織に武器を提供することに関与するような米国政策も米国の支援も米国の傾向も米軍の作戦も全く存在しない・・・・・・我々は、それらのグループをテロリスト・グループと宣言してきたのだ」。

外交上の混乱が続き、緊張を散らすために大物が持ち出された。5月11日、米軍南方軍司令部のバンツ・クラドック将軍がコロンビアの学校開校の場に現れ、「私は皆さんに、米軍内部の調査は徹底的で完全であり・・・・・・必要な人物の責任が追及されることになると確証できる」と述べた。同じ日、ワシントンの議会国際関係委員会では、西半球問題担当国務次官補ロジャー・ノリエガが次のように述べた:「我々は、コロンビアで一時任務に就いている米軍訓練官が弾薬の密輸に関わっていたという主張に関するコロンビアと米国の当局による調査をモニターし続ける。関連するすべての組織がこの問題を非常に重く見ている。何がかかっているかも認識している。我々とコロンビア政府は問題を徹底的に調査しようと思っている」。

同じく5月11日、ワシントン・タイムズ紙は最近引退した国際麻薬法執行問題担当の国務次官補ロバート・チャールズによるコメントを掲載した。その中で彼は、プラン・コロンビアの更新を提唱し、プランにおける「遵法文化」の訓練プログラムがコロンビアに利益となるとプラン・コロンビアを褒めそやし、ベネスエラから拡散する「不和を生むような急進的社会主義」に対する重労働としての重要性を強調した。米国政府ではすでにほぼ保証されているプラン・コロンビアの追加予算を攻撃的に売り込む一方で、チャールズはプラン・コロンビアへの参加の中で武器密輸と麻薬密輸に関わり逮捕された7人の米兵について言及することを避けた。

5月のタンカレーとヘルナンデスの逮捕の前には、やはりコロンビアで米兵が関わっていた別の密輸スキャンダルがあった。今年3月、5人の米兵が16キロのコカインを米軍機に乗せて米国に密輸したという疑いで逮捕されたのである。末端価格は30万ドルから50万ドルと推定されている。コロンビアの国会議員がこれら兵士はコロンビアで裁判を受けるべきだと主張したにもかかわらず----とりわけコロンビアは麻薬取引事件をめぐって米国政府からの身柄引き渡し請求に何百件と応えているのだから----、米国は、1974年の合意のもとで5人の米兵は外交特権を有していると主張しており、コロンビア政府からの身柄引き渡し請求を検討しそうにない。

1999年には、別の問題含みのエピソードがあり、コロンビアでの米国の作戦は大きな困惑の種となっていた。この年、ローリー・ハイエット----当時コロンビアにおける米軍の対麻薬活動の調整官だった米軍大佐ジェームズ・ハイエットの妻----が、外交郵便サービスを通して70万ドル相当のコカインとヘロインを米国に密輸したことについて有罪を認めたのである。ローリー・ハイエットは5年の禁固刑を受けた一方、密輸された麻薬マネーのロンダリングの罪について有罪を認めた夫はたった5カ月の禁固刑を受けただけで、多くのコロンビア人を激怒させた。

コロンビアに駐留する米国人要員が、コロンビア紛争に燃料をつぎ込む一助となっている不法取引の堕落した影響に負けるのは驚くべきことではない。ホワイトハウスのONDCPによる数値では米国内のコカイン末端価格が一キロあたり1万ドルから3万6000ドルになる状況で、一回だけでも密輸を成功させれば手にすることができる利益の誘惑は軽んじることができない。密輸コカイン数キロがコロンビアで勤務する多くの米軍要員の年俸と同じオーダーであること、そしてコロンビアではすぐにコカインを入手できることを考えると、誘惑は膨大である。コロンビアの武器取引も、不法な収入を得る同様の機会となっている。

ワシントンがコロンビアの終わり無き戦争の渦中にさらに深く入り込んでいる中、米国の納税者は、今後、こうした振舞いがさらに増えることを予期しなくてはならない。最近、ブッシュ政権は、コロンビアの米軍要員の数を400人から800人に増やした。この他に、コロンビアで様々な任務についている私営軍事契約要員が600人いる。プラン・コロンビアはすでに納税者にとって35億ドルの出費となっており、当初の目標----コカとケシ栽培を根絶すること----達成には際だって失敗している。毒薬散布飛行のたびに、これらの作物は改めて植えられいっそう効果的に隠されている。今年3月にホワイトハウスが大げさに宣伝した衛生データによると、2004年を通してコロンビアのコカ栽培面積は一定であり、2003年の11万4000ヘクタール規模から変化していない。

その一方で、プラン・コロンビアに費やされる一ドル一ドルを通して、米国はコロンビア政府の対ゲリラ戦争にさらに抜け難くはまり込んで行っている。ブッシュ大統領がプラン・コロンビアの一年延長のために7億3400万ドルの予算を議会に承認させようとしている中、ワシントンのコロンビア嗜癖を今一度考え直す時が来ている。

エリック・フィチトルはコロンビア・ジャーナルの編集委員。


アフガニスタン・東南アジアの「黄金の三角地帯」・コロンビア等々、米軍/CIAの関与と麻薬栽培・取引の間には、深い正の相関があります。

以下はいくつか情報です。


■海南島戦時性暴力訴訟口頭弁論のお知らせ

日時:6月15日(水)AM10:00〜
場所:東京地方裁判所627号法廷
(地下鉄丸の内線霞ヶ関駅A1出口徒歩1分)

更新弁論(今までの審理を踏まえて要約し、本件の意義や主張を実際に法廷で語る)を行う予定。

※裁判終了後、報告集会を行います。(場所:東京地裁隣の弁護士会館1003A室)当日の裁判の解説と、3月に行われた証言集会の報告などを予定しています。

ウェブページはhttp://www.suopei.org/saiban/kainanto/index.html


■自衛隊の撤退を求める国会請願署名

締め切りは7月15日。詳しくは、「イラクの声」署名連絡会ウェブサイトをご覧下さい。連絡先は:

「イラクの声」署名連絡会
 FAX 06-6624-2835
 e-mail iraq_action@hotmail.com
郵便振替口座 00990-7-296902 イラク署名運動


■イラク人市民の占領に対するレジスタンス

我田引水ですが、こちらをご覧下さい。消費者としての存在は、普通の市民が企業に対して主体的に対抗できる場でもあります。不買の行動とそして不買の意思を戦争関係企業に伝える行動は、日頃の生活の中でもやりやすいもの。
益岡賢 2005年6月8日

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