コロンビア:狙われるジャーナリスト

カルロス・ラウリア
2004年1月5日
コロンビア・ジャーナル原文


40年にわたる内戦の中で、コロンビアでは多数の記者が犠牲となってきた。過去10年間だけをとってみても、少なくとも30人のジャーナリストが、職務遂行中に犠牲になっている。内戦に関与する全ての戦闘組織---左派ゲリラ、右派準軍組織、コロンビア軍、犯罪組織---が、ジャーナリストを標的としている。ボゴタをはじめとする都市でも確かにジャーナリストは狙われているが、最も大きな危険に接するのは、コロンビア奥地で活動するジャーナリストである。コロンビアの広大な地域で政府が不在状態のため、メディアは不法武装集団の攻撃を受けやすい。

麻薬取引や政治的汚職、内戦といった問題を報じようとするジャーナリストは、脅迫や嫌がらせ、攻撃を受け、誘拐されたり殺されたりする。ニューヨークを本拠地とする報道の自由を主題とする組織「ジャーナリストを守る委員会」(CPJ)によれば、2003年に、少なくとも4人のジャーナリストが、その仕事に対する報復として殺されたという。CPJは他の2人の死についても現在調べている。その殺害も、仕事に関係していたかも知れない。これらの殺害は、すべて、法の及ばないコロンビアの内奥で起きた。

恐怖の雰囲気により、正確な報道が内戦の犠牲となっている。ゲリラや準軍組織による日常的な脅迫を受け死を恐れるため、ジャーナリストたちはしばしば、内戦の一面だけを伝えることになる。そしてどこかの武装集団を好意的に描き出す。また別の場合には、脅迫や嫌がらせにより、ジャーナリストはそもそも戦争について伝えることができなくなる。各地のジャーナリストは、自分が書いたり報じたことの結果がどうなるか非常によく知っているので、自己検閲が幅広く行き渡っている。武装集団が地域の統制をめぐって戦っているカケタやバジェデュパル、バランカベルメハ、ククタといった場所では、暴力のために微妙な問題を報ずることができない。例えば、バジェデュパルとククタでは、準軍組織が、紛争で殺された人々の名前を公開することを禁じた。報道に影響を与えることと報道を弾圧することという二重の戦略は、世論に影響を与えるような情報を統制しようとして武装集団が行なっている情報戦争を示している。

ベネスエラと国境を接する北東部アラウカ州は、石油資源の豊富な高地の覇権をめぐって左派ゲリラと右派準軍組織が戦っている、コロンビアで最も危険な戦闘地帯である。2002年6月、準軍組織のガンマンと思われる者たちが、アラウカ市ラジオ・メリディアノ70の所有者エフライン・バレラ・ノリエガを殺害した。その数日前、バレラは、地域に準軍組織が入ってきたとの警告を放送したばかりだった。この殺害のあと、このラジオ局のニュース担当の一人でコロンビア最大の日刊紙エル・ティエンポと契約するフリーランスの記者、ルイス・エデュアルド・アルフォンソ・パラダ(33歳)は、比較的安全なボゴタに非難した。首都ボゴタでは、彼が6週間後にアラウカに戻るまでの生活費として、内務省の保護プログラムにより320ドルが提供された。

アルバロ・ウリベがアラウカで政府当局の統治を実現しようとしているにもかかわらず、武装集団はジャーナリストへの暴力を続けている。2002年11月、アルフォンソの名は、アラウカ・シティで配布された準軍組織による「殺害リスト」に載せられた約100人の中に含まれていた。準軍組織は、リストにある中で「改革」をしない者は誰であれ殺すと脅していた。4カ月後の2003年3月18日、アルフォンソは自分の事務所外で、2名の人物に銃殺された。同僚たちによると、アルフォンソは全ての武装集団を批判していたが、とりわけコロンビア自警軍連合(AUC)に批判的だったという。その後、3月だけで、14人のジャーナリストが、自分の名前が殺害リストに載せられているということを知って、自宅を離れ、ボゴタに非難した。14人は3カ月後に戻ってきたが、恐れているため内戦の報道をしていない。

ゲリラも準軍組織も、コロンビアの多くの地域に日常的に検問所を儲けている。道路封鎖によりジャーナリストの移動は阻害され、攻撃や嫌がらせを受けやすくなる。2003年8月22日、プツマヨ州シブンドイ街のコミュニティ・ラジオ局で働く29歳のラジオ・ホスト、フアン・カルロス・ベナビデス・アレバロが射殺された。プツマヨ州のプエルト・カイセド近くのゲリラ検問所を彼の運転手が車で突き抜けようとしたときに、コロンビア革命軍(FARC)のゲリラが発砲したのである。同じラジオ局でベナビデスとともに働くハイメ・コンラド・フアヒビオイ・クアラン(24歳)もこの攻撃で重傷を負った。

コロンビアの内地でジャーナリストを標的としているのは、武装集団だけではない。腐敗した公務員や麻薬商人、組織犯罪者などが、自分たちの活動をメディアに暴かれないよう、武力攻撃を行うこともある。昨年4月、地域のラジオ・アルペビジオンで働く65歳の調査型記者ギレルモ・ブラボ・ベガが暗殺されたのは、こうしたケースであるように思われる。ウイラ州南部のニエバの街で、身元不明のガンマンが彼を射殺し、もう一人が運転しているバイクで闘争した。ブラボは、朝のテレビ番組「事実と数字」を担当しており、調査型報道で知られていた。彼は、しばしば、市及び州当局職員を、公金の悪用で非難していた。

その一カ月後、身元不明のガンマンたちが、ハイメ・レンヒフォ・レベロを暗殺した。レンヒフォは、ラ・グアヒラ州北部の町マイカオのラジオ・オリンピカで毎週報道される番組を担当していた。レンヒフォは、頻繁に、地方政治家を汚職で非難し、コロンビア軍を地域に安全をもたらしていないとして批判していた。

コロンビア司法は、これらの殺害のどれ一つとして解決しておらず、記者たちに広がる恐怖と脅迫の雰囲気に貢献している。敵対的環境とこうした犯罪を取り囲む不処罰により、2003年には6人の記者がコロンビア国外に非難し、さらに多くの記者たちが脅迫をますます真剣に受け止めることとなった。内戦を報じる際に身を守るより有用な手段を記者達に提供するために、コロンビアの記者組織「報道の自由基金」は、最近、「記者の自衛手段」という安全マニュアルを出版した。このガイドは、コロンビアのジャーナリストが、特に最も危険な地帯で直面しそうなシナリオを示しており、危機的状況に対処する方法を示唆している。

ウリベ政権はジャーナリスト、とりわけ紛争地帯で仕事をしているジャーナリストを守ることに関心がないようなので、コロンビア・メディアの活動環境が近い将来に改善されることはなさそうである。したがって、武装グループは、報道を脅迫し、攻撃し、殺害し、検閲し続けることだろう。

カルロス・ラウリアはニューヨークに本拠地を置く「ジャーナリストを守る委員会」の米州プログラム・コーディネータ。この記事は、当初 NACLA Report on the Americas に掲載された。


ジャーナリストがコロンビアで置かれた状況の記事です。石破防衛庁長官は1月9日、「(報道が)防衛庁の円滑な業務遂行を阻害すると認められる場合は、事後の取材をお断りすることになります」と述べました。米国はイラクで「従軍記者」制度を採用、フリーの記者を「誤って」攻撃しました。インドネシアもアチェへの軍事侵攻で、ジャーナリストの取材を大幅に制限。自由アチェ運動の取材をしていたフリーランス米国人ジャーナリストが拘束されました。個々のジャーナリストは、「都合の良い『取材』と大本営発表の報道を行うか、身を危険にさらすか」の選択を迫られている状況がますます強くなっています。

とはいえ、この記事では触れられていない事実があります。コロンビアの大手メディアのほとんどが少数の手に握られているため、個別の記事には少なからぬ例外がありながらも、全体としては、そもそもの視点が基本的な問題を問わずにいること。コロンビアの隣国ベネスエラでは、2年前のクーデター未遂の際、すでに、大統領警備隊が民主的に選ばれたチャベス大統領側に立って大統領宮を奪回した後も、民営テレビ放送は、クーデターを行なったカルモナたちの側にたち、カルモナ「暫定政権」が事態を掌握しているという偽りの報道を流し続けました。

日本でも、自衛隊の存在の違憲性、自衛隊派遣の違憲性についてはまるで問われることなく、自衛隊員の安全とかイラクで歓迎されているかといったことだけが「議論」されています。また、侵略・不法占領軍の荷担であることが問われることなく、侵略支援が「復興支援」という美名で隠蔽され、正当な抵抗が「テロテロ」と呼ばれています。

23日、イラクで大量破壊兵器を探していた米調査団のデービッド・ケイ団長が辞任し、その際、「大量の生物化学兵器が存在しているとは思えない」と述べました。「サダムが見つからないからといってサダムがいないとは言えない」だから大量破壊兵器が発見されないからといって無いとは言えないとの唖然とするような放言をして悦に入っている小泉首相は、責任を問われるべきです。

また、国連環境計画(UNEP)の報告書が、1月7日付共同通信「戦争で深刻な環境破壊」イラクの現状、国連が 報告」という記事で紹介されていましたが、そこでは、「米国防総省と英国防省は、米国および英国の連合軍が2003年のイラク戦争でも劣化ウランでできた弾薬を使ったことを認めた」と明記されています(UMRCイラク・ウラン被害調査カンパキャンペーン事務局より)。日本政府が「米国は使ったとは言っていない」と繰り返したことについても、責任を問わなくてはなりません。こうした中で、イラクの人々は放置され、「復興支援」自衛隊も、そこに飛び込んでいくわけです。

おかしな報道には講義しよう日記には、「危険な取材行わない」新聞協会などが申し合わせ、という共同通信の記事が紹介されています。「意地悪く読めば、「適切な官製情報を流してくれたら危ない取材をしなくてすむんだけど、、、」という申し入れのような気がしてくる」とのコメントが書かれていますが、米英軍がフリーの記者に対して、実質的な脅迫とも取れる態度(「従軍」でなければ危険は当然等)を繰り返し示してきたことを考えると、このコメントには説得力があります。

UPI発1月23日の情報によると、コロンビア政府がスターバックスに、コロンビアでの地方経済と社会プロジェクトを支援したとして、グランド・クロス・メダルという賞を授与したとのことです。コロンビア・コーヒの状況については、コロンビア・コーヒーと政府もご覧下さい。
益岡賢 2004年1月25日

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