バランスを欠くメディア

シモン・ヘルゥエグ=ラーセン
2003年1月27日
コロンビア・ジャーナル原文


2003年1月、米軍特殊部隊が石油パイプライン防御のためにコロンビア軍を訓練すべくコロンビアに到着したころ、左派ゲリラと右派準軍組織双方の暴力が激化した。2003年最初の数日は暴力的だった。ゲリラは新たな攻撃形態である自爆自動車爆弾にまで手を広げ、一方、準軍組織は体系的処刑を続けた。北米メディアは、いつも通りの一方的な態度で、ゲリラが行った爆破を大きく扱う一方、何十もの準軍組織による殺害をほとんど報じなかった。さらに、軍事援助提供の報道には、背景の分析が伴っていなかった。

たった10日のあいだに、5つの自動車爆弾がコロンビアで炸裂した。実行犯は名乗り出ていないが、標的とされたものから考えるに、この攻撃の背後には、左派のコロンビア革命軍(FARC)がいたと思われる。2003年1月8日、アラウカ州アラウキタの第46対ゲリラ部隊の軍基地に車が突入し、1名を殺害、4名が怪我をした。その翌日、アラウカ州フォルトゥルの軍検問所に自爆自動車爆弾が突っ込み、4名が死亡し15名が怪我をした。2日後には、同じ町の別の軍検問所が攻撃され、4名が死亡し14名が怪我をした。1月12日、自動車爆弾が、クンディナマルカのラ・パルマで軍人3名の命を奪い3名に怪我を負わせた。1月16日に、さらに自動車爆弾が爆発し、メデジンの検察庁舎で4名の文民職員が死亡、32人が怪我をした。

一方、準軍組織の虐殺も続けられた。東部の中規模の町ククタで、右派の暗殺者たちは、1月の最初の10日間で57名の一般市民を殺害した。そのうち特にひどい惨劇は1月9日に起きた。このとき、同町の貧しい地域2カ所で、夜10時半から11時のあいだに、8名が殺された。犠牲者の中には妊婦が含まれていた。彼女は道に引きずり出されて射殺された。別の殺害では、準軍組織がアラウカ州の東部の町タメの教員組合リーダーを殺害した。こうした情報が伝わるのは遅い。そして、これまでにさらに多くの一般市民が同様に準軍組織の犠牲となっていることはほぼ確実である。

1月上旬のこれらの出来事が北米のメディアでどう扱われているか見てみると、コロンビアについてメディアの「管制」が敷かれていることがわかる。コロンビア内戦について北米の人々が無知のままでいることに貢献するものである。上で見たように、ゲリラと準軍組織の双方が2003年の最初の数日に暴力的な残虐行為を犯している。自爆攻撃が強調されるのは自然である。というのも、これは新たな戦略であるから。けれども、準軍組織が殺害した人々の数(58名)が、ゲリラが殺害した人々の数(16名)をはるかに超えているという事実は、北米のメディアからはわからない。

主要な北米ニュース配給元を調べると、準軍組織の暴力については言及されずゲリラの爆弾攻撃については圧倒的に多くの注目が集められていることがわかる。1月8日から1月17日正午までの、コロンビアにおける暴力事件や政治、経済を扱った39のAP配信記事の中で、20記事が自爆自動車爆弾を扱っている。一方、39のうち、準軍組織が犯した特定の残虐行為については、言及しているものすら一つもない。また、米軍部隊がアラウカに到着したことを述べている記事も2つのみである。同じ時期のロイターは、5件の記事を自動車爆弾に割いているが、準軍組織が起こした事件について扱ったものは一つもない。主要紙の多くも、コロンビアでの暴力のエスカレートを扱っていない。ニューヨーク・タイムズはコロンビアについて3つの記事を掲載しただけである。APから1つ、ロイターから1つ、そして自社の特派員から1つである。そのいずれも、自動車爆弾についても準軍組織の虐殺についても言及していない。USAトゥデイはニューヨーク・タイムズよりひどく、この時期のコロンビアについての記事はない*。

1月上旬の出来事についてよく検討してみると、北米のメディアは準軍組織の虐殺以上のものを見落としていることがわかる。自爆攻撃を扱ったニュース記事は、それを内戦の激化につながる新戦略とする傾向がある。けれども、これら記事の多くは、5件の自動車爆弾のうち最初の3件が、アラウカの、サラヴェナにつながる道路の軍検問所を標的としていることを報じていない。1月の第二週に、第7特殊部隊の兵士が60名アラウカに到着し、サラヴェナの軍基地に向かった。これは、対ゲリラ作戦使命を帯びた米軍第一弾のコロンビア到着である。この兵士達は1000名強からなる「重要インフラ旅団」を訓練し、カリフォルニアに本社のあるオクシデンタル石油が所有し操業する483マイルの石油パイプラインの防衛にあたらせるのである(ウリベの専制支配は石油企業におあつらえを参照)。

米軍が対ゲリラの使命を帯びて到着した場所から15マイルしかはなれていないところで行われたゲリラの新戦略が、米軍の到着と関係していることは明らかである。自爆攻撃は、少なくとも、ゲリラが米軍の意図を受け止め、内戦を激化させる意思をもっていることを示している。外国の部隊を同地域に駐留させることの意味は言うまでもなく、爆弾と部隊の到着が時間的に機を一にしていることにすら言及しないことは、北米の主流メディアが、一生懸命、無知状態を続けさせようとしていることを示している。

何百万ものアメリカ人が、世界の出来事と米国外交政策について、主流のニュース・メディアに頼っている。それゆえ、こうしたメディアが、コロンビアにおける暴力の半分以上を扱わないという基準に一貫して従って、ゲリラによる攻撃と米国部隊の到着を背景から分析して提示しないならば、内戦の激化は、反対の声なしに続けられることになろう。

*AP、ロイター、USAトゥデイの数値は、Yahoo!Newsのアドバンスト・サーチにより著者が調べた物。ニューヨーク・タイムズの記事は同紙のウェブサイトで調べたもの。詳細および特定の情報については、著者comments@colombiareport.orgまで。

シモン・ヘルウェグ=ラーセンは、カナダ人フリーランス・ジャーナリストで、ラテンアメリカを専門としている。永年にわたり、ラテンアメリカに住み/で働き/を旅行してきた。


  益岡賢 2003年2月2日

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