ブッシュとウリベは国連安保理を妨害

ギャリー・M・リーチ
2002年12月16日
コロンビア・ジャーナル原文


2002年12月最初の週末に、ブッシュ政権は、国連安保理の外交クーデターを実行した。このクーデターはホワイトハウス単独でなされたものではなかった。コロンビア大統領アレヴァロ・ウリベがワシントンの貴重な同盟者として、イラクの大量破壊兵器査察問題を扱うための合法的な安保理意志決定プロセスを妨害する支援をしたのである。コロンビアの国連大使アルフォンソ・バルディビエソが国連安保理理事国の合意を無視してイラクのレポートをブッシュ政権の官僚に手渡した数日前には、米国国務長官コリン・パウエルがボゴタを訪問し、ウリベ大統領と、「対テロ」戦争および米国の援助について話し合っていた。

パウエルがコロンビアを訪問したのは12月2日で、このとき彼は、ウリベを含む政府高官筋と面会した。米国の人々は、パウエルはコロンビアで麻薬に対する戦争の議論と激化する対テロ戦争について話をしていると聞かされていた。パウエル国務長官はウリベに対して2003年度にはコロンビアへの援助を25パーセント増加させると約束した。これにより、2003会計年度、コロンビアは5億3700万ドルの支援を受けることになる。パウエルはさらに、現在原案を作成中の2004年度予算においては、援助をさらに増額させるよう働きかけることを約束した。それから数日のうちに、ブッシュ政権は、パウエルが約束した米国納税者からの大規模な献金に対する見返りを期待していたことが明らかになった。国連安保理の議長となったばかりのコロンビアの国連大使を抱き込んで、不法にイラクの武器報告を入手したのである。

国連のイラク武器査察をめぐる決議は、イラクの報告書を安保理の15の理事国全員に提出するよう求めている。けれども、米国をはじめとする安保理の常任理事国は、核を保有しない常任でない理事国の目に、報告書に含まれる核開発関係の繊細な情報がふれることを憂慮した。

この問題については、12月6日金曜日に、安保理の15理事国が全会一致で、報告書を理事国に提出するまえに、ハンス・ブリックスが率いる武器査察団が大量破壊兵器製造をめぐる微妙な情報について編集するということが合意されて、解決されたはずであった。けれども、その2日後の12月8日、安保理の現議長国コロンビアの国連大使が、米国外交官数名とともに、ブリックスの事務所に現れ、ブッシュ政権は編集されていない報告の全部を受け取ることに決定したと伝えた。そして、米国政府は、その報告をほかの4常任理事国にも手渡したのである。10の非常任理事国は、あとになってブッシュ政権が編集した報告を受け取った。

コロンビアの国連大使バルディビエソはウリベ大統領の完全な同意のもとで動いていたものと思われる。今回、ウリベは似たような抑圧的政策を実施している。ブッシュ大統領とともに行動した。両者のこれまでのことを考えると、両者が結託して国連安保理の既存のすべてのプロトコルに反した振舞いをしたことは、驚きではない。

ウリベは、こうしたことにより、コロンビアの社会経済的な根本問題に対する軍事的解決を激化させようとする彼の政策に対してさらなる米国の軍事支援を得るだろう。ブッシュにとっては、今回の件は、国連に対する完全な蔑視の最新の出来事にすぎない。過去数ヶ月のあいだ、ブッシュは、国連の賛成があろうがなかろうが、サダム・フセインを転覆する意志を公言してきた。今回の外交的海賊行為は、また、ブッシュ政権が、イラクに対する計画を達成するためには、国連の正当性を傷つけようとする意図があることを示している。

報告書の目次から、過去においてイラクの大量破壊兵器開発に関与した諸国と企業との情報が含まれていたことがわかっている。サダムと米国との過去の協力関係について詳細なことがわかれば、ブッシュ政権関係者にとっては非常に困ることだろう。特に、レーガン政権時代に、イラクのサダム政権を支援するために喜んで軍事技術を提供していたスタッフたちにとっては。目次はまた、イラクの大量破壊兵器開発を支援した企業についての情報も含まれていることを示している。その中には、湾岸戦争後、国連のイラクに対する経済封鎖に違反して行っていたものも含まれている可能性がある。

国連安保理の合意で武器査察団が兵器製造技術については編集するということになっていたことを考えると、ブッシュ政権筋が意図したのは、それ以外の情報が明らかになるのを避けようとしたことであると思われる。ブッシュ政権とウリベ政権によるこの行為は、国連の国際問題における正当性と実効性をさらに害するものであると同時に、法の支配を尊重する国内での民主的体制の維持/確立求めて闘っている米国とコロンビアの市民にとっても打撃となっている。


 益岡賢 2002年12月17日

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