介入の新たな規則

ギャリー・M・リーチ
2002年11月18日
コロンビア・ジャーナル原文


2003年1月に、100名に及ぶ米軍特殊部隊がコロンビアに到着し、コロンビア軍に対して対ゲリラ訓練を行う予定である。この派遣は、ロサンゼルスに本社を置くオクシデンタル石油のパイプラインを防衛することを目的とする、9400万ドルの対テロ援助パッケージの一環として行われる。米国に対する2001年9月11日のテロ攻撃により、ブッシュ政権は、テロリズムに対する戦争という口実を用いて、以前には想像できなかった規模で、コロンビアにおける米軍の介入を強化することができた。おおむねゲリラが制圧している地域に100名の米軍を派遣することにより、米軍兵士が殺される可能性は非常に大きくなる。それによって、ブッシュは、コロンビア左派ゲリラとの戦争に直接米軍戦闘部隊を投入する口実を作ることができる。

一握りの米国特殊部隊兵士はすでにアラウカ州に入っており、サラベナの町で、現地のコロンビア軍基地への100名の米国兵士受け入れの準備をしている。コロンビアとベネスエラの国境近くに位置するサラベナは、コロンビアの中で最もゲリラによる爆破や銃弾攻撃を受けたところである。これまでに今年だけで60回に及ぶ攻撃があった。この地域は、コロンビア最大のゲリラ部隊であるコロンビア革命軍(FARC)と第二のゲリラ組織民族解放軍(ELN)が制圧している地域である。

アラウカでの対ゲリラ作戦を担当し、478マイルに及ぶカニョ・リモン石油パイプラインを防衛する任務を負っているのは、コロンビア軍第18旅団ある。コルドバ/ウラバ農民自営団(ACCU)というコロンビアの準軍組織も、過去2、3年のあいだにこの地域に入り込み、軍と協力してゲリラと戦ってきた。

米軍特殊部隊は、来年1月、世界中での「対テロ戦争」エスカレーションの最新の要素として、この中に送り込まれる。兵士たちは、つい9月にも迫撃砲10発が左派ゲリラにより打ち込まれた、軍基地に駐屯することになる。その前には、サラベナの警察署に2発の迫撃砲が白昼撃ち込まれていた。米軍兵士たちがコロンビアで激化しつつある戦争の前線地帯に置かれることは明らかであり、ゲリラが米軍兵士を標的とするならば、米兵の犠牲者が出るのは時間の問題である。

アラウカ州で石油が発見され、カニョ・リモン・パイプラインが1985年に完成した頃までに、ELNはこの地域で支配的な武装集団となっていた。現地の市政とビジネスが「戦争税」を支払う限り、ゲリラは、パイプライン爆破をあまりしなかった。けれども、1990年代に、FARCがパイプラインを標的としてこの地域に入ってき、2001年までに170回の爆破を行った。その結果、昨年、オクシデンタル石油は7500万ドル以上の石油収入を失った。

2001年9月、アレバロ・ウリベ大統領は、コロンビア北部で、2つの「社会復帰・統合地域」を指定したが、その一つにはアラウカが含まれていた。アラウカでは軍政が文民支配に優先し、軍が地域を出入りする人々を統制し、令状なしで捜索を行えるようになっている。それによりゲリラ活動がなくなったという証拠はいまのところないが、現地の人々の生活は確実に影響を受けている。

ますます多くの人々を拘束し、また、コカイン精製に利用可能なガソリンやセメントといった合法的製品の搬入を制限することにより、軍は、すでに十分苦しかった農民たちの状況をさらに悪化させている。軍の統制により、コロンビアの遠隔地に/から物資を運ぶために必須の燃料であるガソリン価格は150パーセント上昇した。こうした政策に対し、ある住民は、「病とそれを治療するための薬と」、どちらがより悪いのか、と疑問を呈している。

ウリベの強圧的政策は、米国が発明した「魚を水から引き離す」ことを目的とする対ゲリラ戦略の継続である。アラウカでのゲリラ活動を弾圧するために、政府は、拘束や経済統制を利用しているだけでなく、右翼準軍組織と共謀している。準軍組織は、今年に入ってアラウカ・シティ周辺で起きた420件の政治的殺害のうち70パーセントを行った死の部隊である。アラウカ・バンキッシャーズ・ブロックというACCUのアラウカ部隊の指導者フレディ司令官は、ACCUは軍と同じアジェンダを持っていると述べる。「我々はゲリラと戦争状態にある。国家と戦うためにここにいるのではない。」

様々な人権団体によると、軍も同様の考えを持っている。軍はゲリラとは戦うが、準軍組織とは戦わない。軍も準軍組織も、コロンビアでの多国籍企業活動の利益を守ってきた歴史を共有している。コロンビア軍第18旅団の司令官カルロス・レムス将軍は、自分の部隊と準軍組織とのあいだに協力関係があることを否定するが、軍の利益が、右派死の部隊およびオクシデンタル石油と一致しているのは明らかである。

レムス将軍が部隊を指揮するために用いるオフィスには、彼の部隊が防衛する使命を負うパイプラインを所有する企業の名前のついた土産物で一杯である。さらに、私が、パイプラインへのゲリラによる攻撃に対応する準備をしている軍のパトロールに同行することを要請したとき、レムス将軍は、そのためにはオクシデンタル社の合意が必要であると述べた。

米国が支援するコロンビア軍は、オクシデンタル石油の私設治安部隊のような活動を行っているのは明らかである。オクシデンタル石油は、米国企業の危険を伴う海外ビジネス投資に対する米国納税者からの最新の補助金の、大受益者となっているわけである。新たな9400万ドルの対テロ援助パッケージの結果、カニョ・リモン・パイプラインを通る石油1バレルにつき、米国納税者は、治安コストとしt3.7ドルを支払っていることになる。一方、オクシデンタル石油が現在自らの安全保障に支払っているのは、1バレルあたり50セントに過ぎない。

中東情勢が不安定なため、コロンビアからの石油供給と埋蔵は、米国に代替エネルギー源を提供している。現在、コロンビアからの石油輸入は米国の輸入総量の3パーセントに過ぎないが、駐コロンビア米国大使アン・パターソンは、次のようにいう。「他の国々の問題を考えると、1パーセント1パーセントが大切だ。」けれども、オクシデンタルの石油を確保するためにワシントンが行っているのは、米国納税者のお金を使って、国務省海外テロリスト一覧に名を連ねるコロンビアの右派準軍組織と結託した軍を訓練することである。ブッシュ政権はまったく意に介さずに、大規模な企業福祉政策の実行を正当化するために、選択的な「対テロ戦争」を利用している。

アラウカで、米軍が、ジョージ・W・ブッシュとその資金源の石油利益を守るコロンビア軍を支援するならば、戦わなくてはならないのは、軍事的に強力なゲリラだけではない。サラベナのホルヘ・シエラ市長によると、ゲリラはアラウカの人々からかなりの支持を受けている。サラベナの警察署長ホアキム・エンリケ・アルダナ少佐も市長と同じ意見である。彼は、次のようにいう。「ここの人々はゲリラが好きだ。ゲリラが人々の面倒をみるからだ。だから、ゲリラが我々を狙えるように、家を貸す。」

アラウカに駐屯する予定の米軍特殊部隊をうまく標的とするために十分な軍事力と人々の支持をゲリラはもっている。国務省の海外テロリスト一覧にやはり名を連ねるゲリラが米軍兵士を殺害すれば、ホワイトハウスは、米国企業の経済利益を守るためにコロンビアに戦闘部隊を送り込む口実を手に入れることになる。コロンビアデモイラクでも、「対テロ戦争」により、ブッシュ大統領は、自分の選挙キャンペーンの資金源となった石油企業に奉仕すると同時に米国が安価に石油を確保し続ける機会を手にしたことになる。


 益岡賢 2002年11月19日

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