米国がスポンサーとなったコロンビアのテロに抗議する

2002年4月15日
ギャリー・M・リーチ
コロンビア・ジャーナル
スクール・オブ・ジ・アメリカス(SOA:米軍が「雇われ」国家の軍隊に対して拷問や殺害の技術を教え訓練する悪名高い施設)で訓練を受けたコロンビア軍兵士に関連する記事です。遠くアジアでは、1999年9月、東チモールを不法占領し続けてきたインドネシアの、インドネシア軍第745部隊がロスパロスから撤退するときに多数の一般市民を途上で殺害しましたが、この部隊の司令官ヤコブ・サロサ少佐もSOAで訓練を受けていました(インドネシア軍第745部隊を参照)。他にも、グアテマラの真実と和解を進めた「歴史的記憶の回復プロジェクト」(REMHIプロジェクト)の代表フアン・ヘラルディ神父を殺害したのも、SOAの元生徒だったバイロン・リマ・エストラダ大佐でした。基本的には、米国の「テロリスト訓練キャンプ」です。

なお、SOAの閉鎖を求めてデモを行った100名以上の人が米当局に逮捕されたこともあります。

何千人もの人々が、2002年4月19日から22日、米国ワシントンDCで、米国のコロンビアへの関与増大に対する抗議行動を行う。趣旨の一つには、ジョージア州フォート・ベニングにある悪名高いスクール・オブ・ジ・アメリカズ(SOA)でのコロンビア兵に対する訓練反対も含まれている。スクール・オブ・ジ・アメリカズ閉鎖を求めて活動している非営利団体スクール・オブ・ジ・アメリカズ・ウォッチ(SOAW)によると、米軍はSOAで1万人以上のコロンビア軍兵士を訓練し、卒業生の多くは、コロンビアにおける人権侵害の大部分を行っている右派準軍組織(パラミリ)死の部隊に関係している。

ブッシュのホワイト・ハウスは過去7ヶ月の間、「国際テロリズム」に対する戦争の遂行に多くを費やしてきた。ブッシュ米大統領によると、この「対テロ戦争」は、「国際的に活動するテロリスト集団のすべてを発見し、阻止し、うち負かすまでは終わらない」。2001年9月11日の後でブッシュが議会に行った講演では、「我々の味方をするか、テロリストの味方をするかどちらかしかない」という悪名高い最後通告発言を行っている。

2001年2月までに、ワシントンには、国際的に活動すると信じるテロリスト集団のすべてを発見し、阻止し、うち負かす意志などないことが明らかになった。さらに、ブッシュのホワイト・ハウスは、自ら発した最後通告に対して、自ら「テロリストの味方」をする決断を下すことで回答した。少なくとも、ブッシュがテロリズムに対する戦争と称して軍に武器と訓練を与えているコロンビアではこれは明らかである。コロンビア軍は、米国国務省が海外テロリスト組織にリストしている右派準軍組織と密接な連合関係にあるのである(善良なテロリストと邪悪なテロリストを参照)。

2001年2月、ブッシュ政権は、コロンビアに対する米国企業の危険を伴うビジネス投資を保護することを主目的とするコロンビア軍部隊を創設し、武器を与え、訓練するために、9800万ドルを要求した。特に、その部隊の使命は、ロサンゼルスに本社を置くオクシデンタル石油が使っているカニョ・リモンパイプラインを左翼ゲリラによる攻撃から守ることにある。

先月(2002年3月)、ブッシュ大統領は議会に対して、対麻薬作戦に対する現在そして将来の米国による軍事援助の条件をすべて解除するよう求めた。ホワイトハウスはテロリズムに対する戦争を、ワシントンのコロンビアに対する軍事関与増大を正当化するために使っている。国務省の対テロリズム調整官であるフランシス・X・テイラーは最近、左翼コロンビア革命軍(FARC)を、「西半球に本拠地を置く最も危険な国際テロリスト」と名付けた。

コリン・パウェル国務長官、駐コロンビア米国大使アン・パターソン、フロリダ選出上院議員ボブ・グラハムをはじめとするたくさんの政府関係者が、「FARCを国際テロリズムに関係づけよう」プロパガンダに迎合した。ワシントンは、FARCが麻薬貿易に関与していることによって、FARCを単なる国内の革命運動ではなく国際テロ組織であるとする立場を正当化しようとしているのだ。

一方、ワシントンが、コロンビア最大の最も恐れられている準軍組織であるコロンビア自衛軍連合(AUC)に対して戦争を仕掛けようという話は全くない。AUCはFARCよりも国際麻薬貿易に深く関与しているだけではなく、コロンビアにおける人権侵害の70%以上を行っている国家スポンサー・テロリストである。長年にわたり、AUCは直接・間接にコロンビア政府と米国政府から支援をうけてきた。この支援は、機材支援や訓練から武器の提供、そして準軍組織が行う虐殺に対して米国で訓練を受けたコロンビア兵士が直接参加することまでにわたるものであった。

ワシントンのFARCバッシャーたちは、コロンビアの不法右翼準軍組織死の部隊が、1980年代にコロンビア軍や麻薬商人あるいはその双方により創設されたことにほとんど言及しない。AUCの司令官カルロス・カスタニョは、コロンビア軍が彼にアンティオキア州のプエルト・ベリオで仕事を遂行させるために訓練を与えた1981年に、メデジン・カルテルの指導者パブロ・エスコバルと密接な関係を持っていたのである。

ヒューマンライツ・ウォッチは繰り返し、米国が訓練したコロンビア軍将校たちが準軍組織および準軍組織が犯した虐殺と関係をもっていると指摘してきた。これら部隊の多くが、米軍のスク−ル・オブ・ジ・アメリカズ(SOA)で訓練を受けていた。SOAはもともとパナマ運河地帯にあったが、1984年にジョージア州フォート・ベニングに移されたものである。ヒューマンライツ・ウォッチによると、コロンビア将校たちは、「カリキュラムに、兵士たちがゲリラに対して賄賂、恐喝、脅迫、拷問を使うことを推奨していた訓練マニュアルが用いられていたころSOAの学生だった」。

スクール・オブ・ジ・アメリカズは冷戦時代に、ラテンアメリカの革命運動−特にキューバ革命の影響を受けた運動−に対処するために作られたものである。左派ゲリラの活動と戦うために、米軍はラテンアメリカの兵士たちに対ゲリラ戦略を教えた(今も教えている)。つまり、兵士たちに外敵ではなく内部の敵と戦うよう教えているのである。

ラテンアメリカで最悪の独裁者の中にもSOA卒業生は多い。パナマのマヌエル・ノリエガ、アルゼンジンのレオポルト・ガルティエリとロベルト・ヴィオラ、ボリビアのユーゴ・バンゼル・スアレスなどである。SOAはまた、残虐なグアテマラ軍に対する訓練にも利用されていた。グアテマラ軍は、20万人以上のマヤ・インディアンを殺害した40年間にわたる内戦で、グアテマラ先住民に対するジェノサイドを遂行していると国連から避難された軍である。同じ時期、グアテマラの隣、エルサルバドルでも、SOAの卒業生が、オスカル・ロメロ大司教暗殺やエル・モソテ村での900名以上の一般市民虐殺をはじめとする数え切れないほどの人権侵害を犯していた。

スクール・オブ・ジ・アメリカズ・ウォッチ(SOAW)は1980年代に何千人もの一般市民を殺害していたエルサルバドル軍に米国の納税者のお金が使われていることに対抗して作られた組織である。SOAWによると、米国は、反対派とみなしたものは無差別に殺戮するラテンアメリカの軍隊に対する援助と訓練を提供している。反対派には、労働組合員、人権活動家、宗教指導者、市民団体、戦争地域にたまたま住んでいた何千人もの貧しい農民が含まれる。

SOAWが議会に対して、スクール・オブ・ジ・アメリカズ(SOA)の閉鎖を求める法制を採択するようロビー活動を行ったのに対し、ペンタゴンは昨2001年、SOAの名前を変えた。現在の名前は「安全保障強力のための西半球インスティチュート(Western Hemisphere Institute for Security Cooperation)」というが、これは、悪質なイメージの改善をはかるシニカルな試み以外の何者でもない。名前は変わったが、インスティチュートの使命は変わっていない。ラテンアメリカの兵士たちを、外部の敵からの攻撃に対処するためにではなく、転覆的分子「容疑者」に対する国内的な戦争のために訓練することである。

現在、コロンビア軍将校と兵士が、スクール訓練を多く受けていることは驚きに値しない。SOAWによると、一般市民を標的にした暴力を用いるSOAの卒業生によって、2百万人ものコロンビア人が殺されたり家を追われたりしている。人権団体やコロンビア政府、そして米国国務省が人権侵害に関わっているとしたコロンビア人SOA卒業生の数は信じられないほど多い。

1980年代と1990年代に人権侵害や準軍組織死の部隊に関与していた150名以上のコロンビア軍SOA卒業生の中でも最も悪名高い軍将校数名を以下に挙げよう。

2002年4月22日、予定されている米国での抗議行動の4日目には、ワシントン・モニュメントからU・Sキャピトルまでの行進が予定されており、そこで、議会に対し、米国のコロンビアに対する軍事援助停止、非合法作物に対する空中毒薬散布停止、スクール・オブ・ジ・アメリカスの閉鎖を求める予定である。

米国は長い間、ラテンアメリカでの国家テロを支援してきた。ブッシュはそれを継続しようとしている。コロンビアにおける国家テロに米国市民の税金がつぎ込まれることを我慢できない人々にとって、ワシントンの議員に対して最後通告を突きつけるときなのである:「我々の味方をするか、テロリストの味方をするか」。

 益岡賢 2002年4月20日

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