新刊のご案内:この文章は益岡版です。いけださん版と少し内容が違います。

『ファルージャ 2004年4月』

『ファルージャ 2004年4月』表紙画像 ラフール・マハジャン、ダール・ジャマイル、
ジョー・ワイルディング、エイミー・グッドマン著
益岡賢+いけだよしこ編訳
現代企画室(website
ISBN 4-7738-0404-1
定価 1500円+税
 
■オンライン購入■
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(5%:「ファルージャ」で検索してください) ※上記リンクの購入の場合、代金の5%が共編訳者のいけださんに還元されます。このリンクから購入された分は、いけださんが、他の売上とは別に集計し、イラクの医療支援NGOなどに寄付するそうです。
版元ドットコム  
 
 

3月31日の「米民間人殺害」――それが2004年4月の「ファルージャ」の発端でした。
 
2004年4月、米軍が街を包囲し、陸空から攻撃を行い、商店を破壊し家を破壊し、人々を殺害していたまさにその只中にファルージャに入った“西側”の人々の中に、米国籍のジャーナリスト2名と英国籍の人道活動家がいました。彼らはウェブログなどを利用してネットで日々の状況を発信していました。
 
この218ページの小さな書籍は、これらのジャーナリスト(ラフール・マハジャン、ダール・ジャマイル)と人道活動家(ジョー・ワイルディング)の記事を、現代企画室と編訳者が独自に企画・編集し、日本語化したものです。
 
ファルージャで何が起きていたのか、何が行われていたのか、何が為されていたのかを3人の視点によって立体的に描き出すこと。
 
イラクの人々が生きる「いま」を知り、また、イラクの人たちと私たちの間にある隔たりに思いをめぐらせること。
 
米英主導のイラク占領とは一体何なのか、そこで起きている「テロ」とは何なのか、さらに日本の自衛隊のイラク派遣はどのように位置付けられるのかを、じっくり考えること。
 
ちょっと欲張りすぎかも知れませんが、この本のねらいです。
 
できるだけ多くの人に読んでもらいたいと思い、持ちやすいサイズで読みやすい活字の本にしてもらいました。また、出版社の現代企画室に無理を言って、定価を1500円に抑えてもらいました。
 
買って頂けると嬉しいですが、図書館に注文して、あるいは知人の間で読み回して等、どんなかたちでも、ぜひ、お読みいただけると幸いです。
 
2004年6月21日
いけだよしこ+益岡賢
■目次■
ファルージャ背景(益岡賢)
地獄の扉を開く――バグダードからの報告(ラフール・マハジャン)
 
I ファルージャ 2004年4月10日・11日
恐怖は怒りに変わっている――イラク人レジスタンスの報告(ラフール・マハジャン&エイミー・グッドマン)
「我々はファルージャを『救済』するために破壊せねばならない」(ラフール・マハジャン)
米軍はファルージャで民間人を虐殺している(ダール・ジャマイル)
ファルージャの目撃者より(ジョー・ワイルディング)
 
II バグダードより
「イラク人の心をつかむ」(ラフール・マハジャン)
医師たちの報告――ファルージャではクラスター爆弾が使われ、米軍は患者にいやがらせをしている(ダール・ジャマイル)
「帝国ノート」より(ラフール・マハジャン)
 
III ファルージャ 4月13日〜15日
ファルージャへ戻る(ジョー・ワイルディング)
 
解説 イラク侵略・占領と日本の動き(益岡賢)

編訳者あとがき
ささやかでも、できること
日本語で読めるイラク関係情報のウェブサイト ⇒webで見る
参考文献
原文一覧
著者紹介 ⇒webで見る
編訳者紹介 ⇒webで見る
 

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■写真(いずれもダール・ジャマイルによる)■
見返し表:米軍の攻撃で負傷した子どもを運ぶ父親(4月11日)
見返し裏:犠牲者を埋葬する墓地と化したサッカー場(5月7日)
本扉:米軍の爆撃で破壊されたモスク(5月7日)
33ページ:米軍の狙撃兵による銃撃を受けた救急車(4月11日)
 

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■ 訂正 ■
p. 206.
コリン・パウエル米国務長官のURL
http://contact-us.state.gov/ask_form_ cat/ask_formsecretary.html
→ http://contact-us.state.gov/ask_form_ cat/ask_form_secretary.html

 

「これが民主主義だって?
平和的なデモ参加者を攻撃することが?
人びとを殺して建物を破壊することが?」

オビにあるこのことば↑は、バグダードのシーア派スラム、サドル・シティで、米国人ジャーナリストのラフール・マハジャンが聞いたものです。

「これは犯罪である」

こちら↑は、ジョー・ワイルディング。オビの背表紙側も出典はワイルディング記事。

 

ファルージャ情報アップデート

ファルージャについて書かれているもののリンク追加など、新しい情報の追記は、基本的にウェブログ(http://teanotwar.blogtribe.org/)で行います。
 

 

本書より、各種資料

日本語で読めるイラク関係情報のウェブサイト
Riverbend Project訳 『バグダードバーニング』
http://www.geocities.jp/riverbendblog/
バグダード在住女性RiverbendさんのウェブログBagdad Burning(http://riverbendblog.blogspot.com/)をRiverbend Projectが日本語化して紹介しているもの。イラク人の声を知るために必須のページ。このブログをまとめた書籍が、2004年6月にアートンより刊行予定。
 
Nofrills訳 『Raed in the Japanese Language』
http://raedinthejapaneselang.blogspot.com/
「世俗主義で左派のムスリム」建築家で、NGOの活動もしているRaed JarrarさんのウェブログRead in the Middle(http://raedinthemiddle.blogspot.com/)を、本書の編訳者の一人いけだ(nofrills)が日本語化しているもの。
 
『TUP速報』
http://groups.yahoo.co.jp/group/TUP-Bulletin/
約40人の翻訳者がボランティアで戦争と平和に関する記事を手分けして紹介しているもの。ダール・ジャマイルの記事をはじめ、ファルージャ関係の重要な最新情報も提供している。イラクについて考えるために、大手メディアが伝えない情報源として重要。
※TUPの翻訳記事のアンソロジーが『世界は変えられる――TUPが伝えるイラク戦争の「真実」と「非戦」』(七つ森書館・1800円)として出版されました。
 
『反戦翻訳団』
http://blog.livedoor.jp/awtbrigade/
主として反戦運動にかかわる海外記事の翻訳紹介を行うページで、ラウール・マハジャンの記事をはじめ、ファルージャ関係の重要な最新情報も提供している。イラクについて考えるために、大手メディアが伝えない情報源として重要。
イラク人の墓が増えているに、韓国人記者による最新のファルージャ報告がアップされています。
 
『バルダザールどこへゆく』
http://si-f.air-nifty.com/bal
2004年4月8日の「あるイラク人の母親から、ファルージャで殺された米国人の母親達への手紙」をはじめ、バスラ、ファルージャについての記事を収録。
 
斎藤力二朗抄訳 特設コーナー「外電の目」(『中東経済を解剖する』内)
http://www2.pf-x.net/~informant/cgi-bin/keijiban/top.html
アラビア語のニュースを日本語に抄訳して紹介する貴重な情報源。
 
『ワールドピース・ナウ』
http://www.worldpeacenow.jp/
イラク侵略開始前から積極的な反戦活動を展開し、大規模な反戦行動を組織してきた団体ワールドピース・ナウのページ。様々な情報が満載。
 
『アメリカの戦争拡大と日本の有事法制に反対する署名運動』
http://www.jca.apc.org/stopUSwar/
様々な署名キャンペーンや講演会・報告会の情報の他、劣化ウランの被害についての情報も充実している。劣化ウラン被害をはじめ様々な冊子体の報告書も作成・配布している。
 
どすのメッキー 『爆弾はいらない 子供たちに明日を』
http://homepage2.nifty.com/mekkie/peace/iraq/
詳細なイラク年表は圧巻。イラク侵略の経緯と日本の対応がよくわかる。
 
『おかしな報道には抗議しよう日記』
http://www.mypress.jp/v2_writers/talkingdrum/
大手メディアの報道を分析し、抗議の視点を提供しているページ。
 
『森住卓ホームページ』
http://www.morizumi-pj.com/
特にイラクの子どもたちの生活について写真や記事多数。劣化ウランをめぐる記事も。
 
志葉玲『REI SHIVA』
http://homepage2.nifty.com/rei-ngo-report/
ジャーナリスト志葉玲さんのページ。イラクの写真・記事ほか関連情報へのリンクも多数。
※2004年5〜7月にイラクを取材、ファルージャへも行かれています。志葉さんのウェブログで最新情報随時更新中。日々伝えられることを拝読してわかるのは、「ファルージャ」はファルージャだけじゃないってことだ。
 
『パレスチナ情報センター』
http://palestine-heiwa.org/index.html
パレスチナに関する情報のページだが、「注意深くお金を使うために」をはじめ、参考になる様々な情報がある。
 

著者紹介
ジョー・ワイルディング
英国ブリストル出身。2003年6月に法律学士号を取得。弁護士資格の準備中。イラクに対する経済封鎖の影響に関心を持ち、2001年8月、経済封鎖に反対する英国の団体「荒野の声」使節の一人としてイラクを訪問。2002年英国税関に訴えられることで経済封鎖の問題を英国内に知らしめた。2003年2月、オブザーバとしてイラクを訪問。2004年にもイラクに滞在。現在は、イラクからの情報を伝える記事を執筆するほか、英国とイラクの学校間協力の確立、トラウマを受けたイラクの子どもたちのためのサーカス上演 (Circus2Iraq)、英国政府によるイラクの人々に対する人権侵害の欧州人権裁判所への告訴、イラクの草の根組織の援助に従事している。ホームページはhttp://www.wildfirejo.org.uk/。Circus2Iraqのホームページはhttp://www.circus2iraq.org/
 
ラフール・マハジャン
米カリフォルニア工科大学数学科卒業、テキサス大学オースチン校より素粒子物理学で博士号を取得。平和活動家。「ノー・ウォー・コレクティブ」の創設メンバーで、「ピース・アクション」の全国委員。著書にThe New Crudade: America's War on Terrorism (Monthly Review Press, 2002) とFull Spectrum Dominance: U.S. Power in Iraq and Beyond (Seven Stories Press, 2003) がある。2004年1月および4月にイラクを訪れ、最新のイラク情勢を伝えている。ホームページはhttp://www.rahulmahajan.com/。イラク滞在の最新情報を綴る「帝国ノート」はhttp://www.empirenotes.org/
 
ダール・ジャマイル
米アラスカ州アンカレジ出身。ジャーナリスト、活動家。2004年、イラクに滞在し、米軍の占領がイラクの人々に及ぼす影響を中心にした記事を、米国の「ピープルズネットワークス」が運営する「ニュースタンダード」紙(http://www.newstandardnews.net/) などに寄稿している。イラク滞在を綴ったホームページはhttp://blog.newstandardnews.net/iraqdispatches/。ジャマイルの活動を支える紹介ページがhttp://newstandardnews.net/dahr/index.cfmにある。
 
エイミー・グッドマン
ジャーナリスト。米国の独立系コミュニティ・ラジオであるパシフィカ・ラジオ・ネットワークで、戦争や人権等の問題を扱う番組「デモクラシー・ナウ!」を担当。1991年11月12日東ティモールでのサンタクルス虐殺事件のとき現地にいた目撃者でもある。2001年、パシフィカ・ネットワークの一員であるニューヨークのWBAIラジオ局の首脳陣が替わった際、嫌がらせを受けて排除され、一時独自放送を行うが、翌年から番組に復帰している。デモクラシー・ナウ!のホームページはhttp://www.democracynow.org/
 

編訳者紹介
益岡賢
翻訳家。
 
いけだよしこ(ウェブでのハンドルはnofrills)
翻訳家。詳細はこのページを参照
 

 

本書が接続する先/元

一冊の本が、それ自身で何かについて語りきることはできません。とりわけ、現在の日本のように、考え理解し働きかけなくてはならない問題がたくさんあるときには。ここでは、益岡が独断で非体系的に、思いつくままに、本書が接続する先や本書に接続してきて欲しい元に位置する本などを、いくつか紹介します。網羅的ではありませんし、大切な本がすべて入っているわけでさえありませんが、ご容赦下さい。
 
戦争へ向かう社会についての本
 
■『戦争のつくりかた』 電子図書/ブックレット版は300円
小さな、ひらがなの多い、絵入りの本です。最初にWebで読んだときは、「え、これだけ?」と思いました。この小さな本に戦争の作り方について多くの説明を求めるという態度で読んだからです。でも、この本は、漠然と何か変だと思いながら、言葉にできない状態にいるかも知れない人々が、全体の見取り図を一歩具体的に考えるための、とても優れた入り口なのだ、と思い至りました。できるだけ広まって欲しいと思います。オンラインでも読めますので、ぜひご一読を。
 
■『茶色の朝』 フランク・パブロフ+ヴィンセント・ギャロ 大月書店 1000円
心理学者フランク・パブロフによる反ファシズムの寓話にヴィンセント・ギャロが絵を描いたもの。「これは昔々ある国に起こったおとぎ話じゃない」。『戦争のつくりかた』とともに、今、日本でそして世界で起きつつあることを考える/感じるためによくできた本。
 
日本についての本
 
■『さらば外務省』 天木直人 講談社 1500円
サブタイトルは「私は小泉首相と売国官僚を許さない」。おっかなびっくり読んだのですが、色々なことがよくわかりました。続編とも言うべき『さらば小泉純一郎』も、とてもためになりました。日本の国籍を持っている人にとっては、立場がどうであれ、有益な情報が多数含まれています。こういう本を読んだ人が、『ファルージャ 2004年4月』を手にとってくれるといいな、と思います。
 
■『日本政府よ!嘘をつくな!』 グローバル・ウォッチ編 作品社 1500円
タイトルにビックリマークが二つ付いている珍しい本。2004年4月、ファルージャで米軍が民間人の虐殺を行なっていたと同じときに拘束された日本人人道活動家・ジャーナリストをめぐる日本政府の態度と、イラク民主化リーダーのリカービ氏に対する日本政府と日本のメディアの情報操作についてを併せて一冊の本にしたもの。日本政府や大手メディアが、ファルージャ虐殺に対して示した態度と拘束された日本人に対して示した態度との関係が見えてきます。
 
■『戦後政治の崩壊』 山口二郎 岩波書店 777円
戦後政治の「誇らしさ」と「情けなさ」を分析し、現状の批判を踏まえて、日本の再民主化を説いている読みやすい新書です。選挙を前に、右派の人も左派の人も、とにかく嘘とイカサマとゴマカシに政治を預けるのは変だと考えるならば、ぜひ読んでみるべき一冊。
 
■「言葉が死んだ時代に・・・」 太田昌国
 
本ではありません。今の日本における政治家やマスメディアの言説を分析したもの。絶望と希望の間で、勇気づけられる小エッセイ。
 
■「ニッポンの空気 1−5」『東京新聞』
本ではないけれど、東京新聞が6月半ばに行なった秀逸な特集。私は新聞の良い読者ではありませんが、こうした記事を書いた記者さんたち、特集を組んだデスクは、できるだけ応援の言葉を届けたいと思います。社会面に掲載されたもの。リンクはそろそろ切れるかも知れません。。。
 
■『反社会学講座』 パオロ・マッツァリーノ イーストプレス 1500円
もうすぐ書籍版が発売される予定だそうです。大変面白い。
 
グローバリゼーションについての本
 
■『誇りと抵抗』 アルンダティ・ロイ 集英社新書 660円
「問題は、ひとたびそれを見てしまえば、見ていないではすませなくなることだ。そして、ひとたび見てしまったら、黙っていること、なにも言わないことも、大声で言うことと同様、政治的行動になるのである」。「『一方的援助ではなく貿易を』はWTOの〔・・・・・・〕掲げるスローガンだ。数世紀前にわが国[インド]に上陸したイギリス人植民地開拓者たちは、貿易商の仮面をかぶっていた」。「人間でも国家でも、その生涯のあいだには---もっとも世間ずれした人びとでさえ---周囲の状況に押されて、公然と立場を表明せざるをえなくなる時期がかならずあるのではないだろうか、少なくとも理論上は」。「作家であるから、活動家であるから、これに取り組んでいるのではない。人間であるから、取り組んでいるのだ」。「アフガニスタン空爆を布告したとき、ブッシュ・ジュニア大統領は述べた。『われわれは平和国家である』。さらにつづけて、『これは、世界でもっとも自由な国、憎悪を認めず、暴力を認めず、殺人を認めず、悪を認めぬ価値観を拠り所とする国アメリカ合州国にたいする天の命令なのである。そして、われわれは飽くことを知らない』」。「ここで[人々は]目の当たりにするだろう。政府の腕が相乗作用で動いていることを。〔・・・・・・〕片方の腕が国をばらばらにして売り飛ばすのに忙しくしているあいだ、もう一方の腕は国民の目を逸らさせるため、うなり、吼える騒々しい文化ナショナリズムの大合唱を指揮しているのだ」。綿密な分析にもとづき鋭敏な言葉で綴られた、インド発グローバリゼーションへの抵抗の書。
 
■『貧困と不正を生む資本主義を潰せ』 ナオミ・クライン はまの出版 1600円
「グローバル化」は、世界の各地でどんな影響を引き起こし、それに対してオルタナティブを求めるどのような動きがあるのか。「貿易論争とテロ」から、IMFやNAFTA、食べ物の汚染から警察の暴力まで、グローバル化が引き起こすきしみの現場から伝えられた貴重なルポ集。日本の中で感じられる色々な問題を多様な視点からとらえなおすために。
 
■『グローバリゼーションとはなにか』 ウェイン・エルウッド こぶし書房 2400円
原書は、英米圏の理論派左翼からは軽蔑されがちな雑誌『ニュー・インターナショナリスト』が編集したもので、新書サイズ。グローバル化のまとまった入門書としては、きちんとしたデータと概念のバランスが最もよく取れている、お勧めの本。ただ、ちょっと本の趣旨(できるだけ広く読まれるべき入門書)としては、2400円と高いのが残念。
 
■『グローバリゼーションの基礎知識』 S・アルマン他 作品社 1500円
これも読みやすい入門書。ただ、バランスとしては、『グローバリゼーションとはなにか』よりもちょっとデータが少なくて概念がすべりがちかしら。とはいえ、こちらは入門書の値段。
 
世界各地についての本
 
■『チェチェンで何が起こっているのか』 林克明・大富亮 高文研 1800円
カスピ海と黒海の間、コーカサス山脈の北に位置する小さな国チェチェン。このチェチェンで何が起こっているのか。著者は丹念にチェチェンの出来事を整理した上で、チェチェン戦争とは、「ロシア軍によるチェチェン住民の大虐殺」と、ロシアからの一方的な攻撃に抵抗する武装したチェチェン人のレジスタンスである、と言います。独りよがりではなく、分析と記述の上にたって、読者にも論理的に納得できるかたちで。一度、書評のようなものを書いたことがありますので、どうかそちらをご覧下さい。
 
■『シャヒード 100の命』 インパクト出版会
忘却の淵からすくい上げられたごく普通の人々。押さえ付けることのできない人間の自由への憧れ、その現実と夢について。パレスチナの100人のシャヒード、「証人」たちの真実を再現する(「シャヒード、100の命」展のチラシより)。この展覧会の解説が本となったものです。
 
■『いつかロロサエの森で』 南風島渉 コモンズ 2500円
21世紀最初の独立国東ティモール。インドネシアによる不法占領下の東ティモールに潜入取材を続けた著者による、力強く、そして本当に現地の様子が臭いまで伝わるような生きたルポです。
 
■『コロンビア内戦 ゲリラと麻薬と殺戮と』 伊高浩昭 論創社 2500円
コロンビア。コロンビアについてはあまりにたくさん言いたいことがあって、何を言って良いか整理つきません。よろしければ、手にとって読んでみて下さい。
 
■『ラカンドン密林のドン・ドゥリート』 マルコス副司令 現代企画室 2500円
ラカンドン密林。ドン・ドゥリートの語りを通して、いつのまにか、密林とサパティスタの観察者である私たちが、あたかも同伴者であるかのように、密林の世界に引き込まれていることに気付きます。マルコス副司令セミヌードのデッサン付き。
 
■『世界の戦場から』 広河隆一総編集 岩波書店
別冊を含めて全部で12冊からなるフォトアルバム集。『イラク』『コソボ』『チェチェン』『ハイチ』『フィリピン』『パレスチナ』から、『アフリカ』『反テロ戦争の犠牲者たち』『難民』『核』『大地』まで。
 
米国についての本
 
■『戦争とプロパガンダ』 E・W・サイード みすず書房 1500円
第一集から第四集まで発売されています。ジョージ・W・ブッシュ米国大統領による「我々につくか敵につくか」という偽の二分法を拒否し、「わたしたち」の交通を開こうとするE・サイードの貴重な時事論集です。何度でも、読み返すに価する内容。
 
■『21世紀の帝国アメリカを語る』 N・チョムスキー 明石書店 1800円
2001年から何故かたくさん売れてたくさんの翻訳が出た米国の言語学者・反戦活動家ノーム・チョムスキーの最新エッセイ+インタビュー集。最近の発言を集めた手頃な本ですが、チョムスキーは最近聞き手の側に多くの知識を想定して皮肉っぽく語るため、もっと注があればよかったかな、と思います。
 
■『アメリカの国家犯罪全書』 W・ブルム 作品社 2000円
益岡が訳したもの。第二次世界大戦以降の米国の介入に関する資料集として、まとまっています。三刷が出ました。
 
イラク侵略についての本
 
■『バグダッド・バーニング:イラク女性の占領下日記』 Riverbend アートン 1500円
占領下のバグダードから日々の暮らしを綴るイラク人女性のブログを日本語化したもの。7月上旬に書店に並ぶそうです。米英によるイラク侵略と日本の加担とが、イラク人の声を無視しそれを押し潰した上での嘘と自己正当化のもとで成り立っている中、ぜひとも読まれるべき一冊です。これを書いている時点で未刊ですから、私はオンラインで読んでいるだけです。
 
■『イラク 湾岸戦争の子供たち』 森住卓 高文研
湾岸戦争からイラクの生活を追い続けてきた写真家森住さんの写真集。「劣化ウランは安全」という川口外相のイカサマさがありありとわかります。
 
■『イラク戦争』 スコット・リッター 合同出版
副題は「元国連大量破壊兵器査察官スコット・リッターの証言 ブッシュ政権が隠したい真実」。査察官の立場からブッシュ政権の主張の嘘を剥ぎ取った米国人スコット・リッターの証言です。
 
■イラク関係については、他にも『ファルージャ 2004年4月』の巻末に挙げておきました。

 


ページ作成日:2004年6月21日
ページ作成者:いけだよしこ(nofrills)
http://homepage2.nifty.com/nofrills/index.html
ページ作成者:益岡賢
http://www.jca.apc.org/~kmasuoka/
このページの内容については益岡が責任者です
thanx to Thomas "the loner" for the image