WTO  
ドーハWTO閣僚会議の向けて その1
 
2001年9月3日
1)メキシコでの非公式会合

 WTOは、「シアトルの失敗を繰り返さないため」という口実で、9月1〜2日という週末2日間、メキシコシティで、17カ国が"非公式"会合を持った。これに出席したのは、
米国、EU、日本、オーストラリア、カナダ、スイス(新ラウンド推進派)、インド、エジプト、ジャマイカ、タンザニア(新ラウンド反対派)、メキシコ、アルゼンチン、ブラジル、南アフリカ、ウルグアイ、シンガポール、香港(賛成派に近い)であった。このリストは、142のWTO加盟国の中から全く恣意的に選ばれたものであった。そして、会議は全く秘密裏に進行した。前日の金曜日には、モーア事務局長をはじめ、米国、エジプト、インド、日本EU、香港、ブラジルなどの代表が、会議議長のメキシコ経済長官と会合した。
 交渉の結果は、何らコンセンサスにいたらなかった。にもかかわらず、最も新ラウンドを推進しているEUのラミー代表は、「途上国代表との会談では大きな前進が見られた」と語った。そして、EUは、米国、農産物輸出国18カ国、途上国が要求していた「輸出品に対する補助金を廃止する」と語ったが、これが新ラウンドとのバーターであるとも入った。また、最近、新ラウンド支持を鮮明にした米国のZoellick代表は農業問題については、カタールまでに解決する兆しが見えた、と語った。しかし、米国は反ダンピング措置については、譲っていない。
 インドに代表される新ラウンド反対派は、93項目にのぼる実施問題の進展が先決である、と主張している。  

2)メキシコ会合反対デモ

 金曜日、数百人の反グローバリゼーション派「Mexican Netowork forAction against Free Tradeのメンバーが、代表が泊まっているインターコンチネンタル・ホテルの前で「Capitalism Kill」「解決は革命しかない」などと叫び、デモをした。

3)ベイルートでアラブの対抗会議

 11月5〜8日、Arab NGO Network for Development(ANND) と Lebanese Platform on the WTOの共催で、「WTOに関する世界フォーラム」を開催する。これは
チーチ・イン、会議、ワークショップ、文化行事などが計画されている。
ANNDは、国連社会開発サミットに向けた地域フォーラムとして出発し、1996年6月正式に設立された。レバノン、パレスチナ、イラク、ヨルダン、バーレーン、イエーメン、エジプト、スーダン、チュニジア、アルジェリア、モロッコ、モーリタニアの12カ国の55NGOが入っている。レバノンのプラットフォームは、ドーハに向けた宣言文に賛成する団体によって結成された。レバノン労組総連合、教師組合、農民組合連合、南レバノン農民組合、レバノン山労組連合、NGOコレクティブ、パレスチナ支援NGO連絡会、レバノン女性評議会、環境保護評議会、共済組合、社会福祉NGO連合、子どもの権利をまもるNGO連合、市民社会カレント、女性の権利連盟、労働者解放戦線、社会開発のための人道グループ、グラスルーツ行動、学生連盟などが参加している。

4)「世界は売り物ではない」国際行動の呼びかけ

 11月9〜13日、カタールのドーハでWTOの第4回閣僚会議が開かれる。これは、企業のロビイストと先進国政府が、多数派の途上国政府に圧力をかけ、新ラウンドを始めようとするものである。ドーハ会議は、NGOの実質的には、参加なしで進められる。
 これまでWTOに承認されたNGOは、637団体である。その大部分は企業団体である。わずか200の真のNGOがカタールに入国を許される。
 そこで、WTO会議の期間中、世界中で、さまざまな抗議行動を起こそう。

.「Our World is not for Sale 」声明の署名を集めよう。この声明文は;http://www.canadians.org/campaigns/campaigns-trade-notforsale.htmlに載っている。
すでに、200団体がこれに署名している。カタール会議抗議の中心的な文書にしよう。

.9月24〜25日、国際行動デイとして、ジュネーブ、ワシントン、カナダでイベントが企画されている。これを全世界に広げよう。問い合わせ先は、Public Citizenの Global Trade Watchまでmstrand@citizen.orgまで。

.1の声明文をマスコミに広めよう。現地語に翻訳しよう。

.11月6〜13にちの週を行動ウィークにしよう。イベント、行進、街頭演劇など。
すでにロンドン、パリ、ワシントン、ジュネーブで企画されている。これら企画について、米国の場合はPublic Citizen、ヨーロッパの場合は、地球の友ヨーロッパのalexandra.wandel@foeeurope.org>まで知らせてほしい。

.「Our World is not for Sale」号をカタールに送る。この案はまだ、資金のめどがつかないので、準備の段階にとどまっているが、地球の友インターナショナル、グローバリゼーション国際フォーラム、Public Citizen Global Trade Watch、Via Campesima、World Forum of Fisher Peopleが参画している。

5)NGOの戦略論争

 NGOはカタール会議に参加すべきか、ボイコットすべきか、と言う論争が起こっている。口火を切ったのは、ワシントンにあるネーダーのPublic Citizenの中にに置かれたGlobal Trade WatchのLori Wallach所長であった。彼女は旧市民フォーラム2001の招きで、MAI問題の講師として来日したことがある。

ロリ・ワラチさんの提案

 カタールが会議の開催国に決まったとき、NGO間で議論し、ボイコット戦略は間違っていると決めた。なぜなら、改良主義NGO、穏健派NGO、さらに企業のロビイストはNGOの皮を被って参加する。したがってボイコットしても効果はあまりない。
 かわりに、認可されたNGOのなかで、参加しないものの票をプールして、真のNGOの参加を最大化するという提案をする。これを、農業と貿易政策国際研究所(IATP)がコーディネートしたらどうか。また、その中で25%を占めている南のNGOの参加を保障するために、シアトルやその他の会議においてすでに行ったような、資金援助をしたらどうか。あるいは、その資金をドーハの高いホテル代に使うことに反対ならば、南での行事の費用に充てる。