WTO  
カンクン以後のジュネーブWTO その4
2004年5月13日


1. モンバサ会議

2月18日、ケニアのモンバサでアフリカ連合と米国、EUがWTOのデッドロックを解消するべく非公式会合を持った。これはケニアのKituyi貿易相がホストとなり、アフリカからは15カ国が参加した。

シンガポール項目については、米国は3項目を削除することを提案し、EUは2項目を削除することを提案した。

しかし、農業の補助金については、米国もEUも何ら突破口になるような提案をしなかった。
ラミー代表は「EUは途上国の関心の強い品目について輸出補助金を全面的に廃止する用意があるが、砂糖などについては、期限を決めないでなくしていく、と語った。そしてアフリカ側に廃止するべき品目を挙げるように迫った。アフリカ側は「もしアフリカが砂糖、綿花、乳製品などを挙げれば、EUはたちまち拒否するだろうとして、その提案に答えなかった。

ゼーリック米代表は年間30億ドルに上る綿花補助金については何の提案もなかった。これは、カンクンにおいうて、西アフリカ4カ国が、米国の綿花補助金の廃止を要求した経緯がある。補助金漬けの安い米国産綿花が世界市場に出回って、貧しいアフリカの小農民を破産させているからである。

2. Cairnsグループの会合

2月23〜25日、コスタリカのサンホセで、Cairnsグループが第26回閣僚会議を開催した。これにはスパチャイ事務局長、ゼーリック米代表、カンクンの議長のであったメキシコのデルベス外相も参加した。

Cairnsとは農産物輸出国で作っているグループである。これには、途上国で作っているG20の国も入っている。

ドーハ閣僚会議以来すでに2年以上も経っているが、農業の貿易を歪めている補助金については何ら進展がない。Cairnsグループは、すべての品目についてのすべての輸出補助金の廃止こそが、WTO交渉を成功させる前提条件であることに同意した。どの品目の補助金を削減するかについての議論は必要ない。今必要なのは、すべての品目について、何時までに廃止するかということを公約することにある、ことに同意した。これはドーハ・マンデートと呼ばれるもので、先進国はそれを実行していない。

また、Cairnsグループは農産物の市場アクセスの拡大もドーハ・マンデートであると言った。すべての品目で、後発途上国を例外とするすべての市場で、これを公約しなければならない。途上国については、食糧と生活の安全保障と農村開発という途上国の問題については、特別な柔軟性が考えられるべきだという。
Cairnsグループは、1986年に結成されて以来、オールトラリアのTim Groser大使が議長を務めている。オーストラリア、カナダ、ニュージーランド、などの先進国、アルゼンチン、ボリビア、ブラジル、チリ、コロンビア、コスタリカ、グアテマラ、パラグアイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、南アフリカが入っている。