世界の底流  
「アメリカ大陸学校」の閉鎖を求める大規模なデモ

2012年12月6日
北沢洋子

 11月16〜18日の3日間、ジョージア州にある軍事基地フォートベニングのゲート前で、「アメリカ大陸学校(スクール・オブ・アメリカズ・SOA)」の閉鎖を求める大規模なデモが行われた。「SOA」はあまりにも露骨な名前なので、今では「安全保障協力のための西半球研究所(WHINSEC)」という長い名前に改名したが、ラテンアメリカのクーデター用の軍隊を養成するというカリキュラムは変わらない。対ゲリラ戦の特殊部隊や諜報活動の訓練でも悪名高い。
 このデモには、「SOAWatch」が組織した。アメリカ大陸各地から数千人の社会運動家、市民が集まった。デモ参加者は、軍事化に抗議し、SOAの閉鎖を要求した。
 11月16日の金曜日には、コロンバス・コンベンション・センターでワークショップ、戦略会議、コンサートなどが開催された。
 11月17日の土曜日には、フォートベニン基地のゲート前で、大規模な集会が開かれた。ここでは、アメリカ大陸中から集まった代表のスピーチやミュジシャンが歌ったりした。
 11月18日の日曜日には、フォートベニング基地のゲート前で「葬式」が営まれた。これは、基地のフェンスを斎場に見立てて、SOA卒業生たちの手で殺された人びとを弔った。
 フォートベニングでの11月の大規模デモは、オバマ政権に対する強い圧力となった。それは、軍事化に反対し、SOA/WHINSECの閉鎖を要求するものだった。11月の3日間のデモは、毎年行われてきた北米最大規模の反軍事化闘争であった。このデモは、ラテンアメリカでのワシントンのバックアップを受けた軍隊による人びとに対する暴力に抗議する最大の反軍事化行動であった。SOA/WHINSECは、国家予算でもって運営される。ラテンアメリカの軍隊を養成する学校である。例えば、2009年6月、SOAを卒業した軍人たちが、民主的に選ばれたホンデュラスの大統領をクーデターで打倒した。それ以後も、SOAはホンデュラスの軍人を訓練している。ホンデュラスの軍事政権は、多くのジャーナリスト、労働運動家、ホモセクシャル(LGBT)、抵抗運動家などを殺している。ジェズイットの神父であり、同時にラジオの司会者でもあったMelo 氏は軍事政権によってラジオ番組から追放され、死の脅迫を受けた。そのMelo 神父が、フォートベニングの日曜日のデモのスピーカの1人であった。
 最近、エクアドル、ニカラグアがアルゼンチン、ボリビア、ウルグアイ、ベネズエラなどに加わって、SOA/WHINSECから軍隊の訓練生を引き上げると宣言した。これは、米国防総省の自慢の訓練学校が地盤沈下し始めたことを表している。そして、これは、社会問題は軍事的に解決出来ないということを立証している。例えば、米国が大々的に宣伝した「コロンビア・プラン」などの麻薬撲滅戦争は失敗に終わった。
 SOA watch はRoy Bourgeois 神父によって創設された。そのWeb Site は<SOAW.org>。