世界の底流  
BBCの911報道裁判

2013年3月2日
北沢洋子

1.英国でBBCの9.11のをめぐる裁判 

2月25日午前9時、9.11についてのBBCの放送をめぐる裁判が、英国ウエストサセックス州ホーシャム市の法廷で始まった。原告は国であり、被告は英国のドキュメンタリーフィルム作家Tony Rookeである。

判事はStephen Nicholls、検事はGarth Hanmifordである。

傍聴席は30席しかないのに、英国全土から100人以上の「9.11真相運動」の活動家が集まった。

事件は、昨年6月、Tony RookeがBBCの受信料支払いを拒否したおとに始まった。受信料の支払いは、英国「通信法第363条」に基づき、すべての英国人に義務づけられており、Rookeは受領証のないテレビを使っていることになった。

Nicholls 判事は、「この法廷は9.11の真相の公聴会ではない。英国通信法第363条違反の裁判である」と言って、Rooke の陳述を阻止しようとした。ところが、判事は「なぜ受領証のないテレビを見ているのか」と質問した。

Rooke はこの言質を捉えて、「判事が私に受信料を支払えと命令するなら、貴方もテロリズム法違反に問われますよ」と言い返した。BBCの9.11の虚偽の報道が、「テロリズム法」に違反している理由を述べた。Rooke は、3時間という長い陳述を行うことに成功したのであった。

この時、Rookeが挙げた理由は、2000年に制定された「英国テロリズム法」第15条第3項に、「その資金が、テロリズムの目的に使われると疑うのに十分な理由がある場合、そのような資金を提供するのは、犯罪と看做される」という法律を援用した。

つまり、彼は、「BBCは、9.11についての公式報道が虚偽だとする科学的証拠を故意に隠匿しており、その上、BBCは、9.11の真相を公表しようとするものを積極的に失墜させようとした」と主張した。

Rookeは、これによって、「BBCは、9.11の真実の隠蔽を幇助しており、また、これまでにまだ解明されていない真のテロリストを実質的に幇助していることになる」と述べた。

彼は、BBCの受信料を支払わないという容疑で起訴された。これに対して、彼は、法廷闘争を展開し、ついに治安判事裁判所に持ち込むことに成功した。この法廷では、彼自身が、3時間、見解を述べることを許された。

2.この裁判の2つの意味

  1. Tony Rookeは、TVの受信料を支払わないことで、メディアの事実歪曲報道や戦争プロパガンダを法廷で明らかにすることが出来た。

  2. これまで、英国では、多くの人が、9.11の真相を裁判に訴えようとしたが、ほとんど、成功しなかった。そこでTony Sookeの今回の裁判は「9.11真相運動」にとってユニーク、かつ価値のあるチャンスであった。

なぜ、この裁判が重要なのか?

それは、9.11が「国境を超えた予防戦争」や「人道的介入」の口実となったからである。BBCは真実を虚偽でもってすり替えた。このマスメディアの虚偽を暴露しなければならない。

『Daily Mail』紙をのぞいて、英国のマスメディアは、ホーシャムの“歴史的“裁判について、ほとんど報道していない。問われたのはBBCだったが、すべてのマスメディアに対する挑戦だったからである。

なぜ「歴史的」かと言うと、これまで多くの人が、9.11の訴訟を起こしてきたが、すべて却下されてきた。

法廷では、Rookeは「私は、テレビを持っており、また見てもいる」と答えた。つまり、ライセンスのないテレビを使っていることになる。判事は、Rookeに対して執行猶予付の6ヵ月の刑と200ポンドの罰金を言い渡した。

BBCは、「虚偽の報道」とされていることについて、正当化も、説明も、反論さえもせず、だんまり作戦をとった。特に「世界貿易センター(WTC)」の第7ビルの崩壊については、BBCは、崩壊の20分前に、すでにその事実を知っており、またそのように報道した。つまり、BBCや他のマスメディアと同じく、第7ビルの崩壊が航空機の衝突によって引き起こされたのではないことを知っていた。これは、BBCの虚偽の報道のほんの一部分だが、Rooke の陳述のハイライトであった。

BBC、それに日本のテレビを含めた世界のメディアは、9.11直後、パレスチナ人が踊り狂っているビデオを繰り返し報道した。しかし、このシーンは、その10年前、イラクがクエートを占領した湾岸戦争ときのビデオであった。しかも当時のビデオの中には、「重油にまみれた鳥」、ワシントンの「クエート大使の娘の涙」などでっち上げが多い。

3.BBCが報道した番組

Tony Rooke が告発したBBCの報道番組は、2007年2月18日に放映された「9/11;陰謀のファイル」であった。この番組は、9.11に関する議論で、賛成、反対の双方の米国の知識人のインタービューで構成されている。そのゲストの中には、陰謀説の旗手であるAlex Jones、「9.11の真実学者の会」の創設者Jim Fetzer博士、9.11のドキュメンタリー・フィルム『Loose Change』のプロデューサーDylan Averyなどがおり、それぞれ陰謀を暴露した。しかし、それは1時間番組のはじめのたった8分間でしかなく、すぐにナレーターは、当日に何が起こったかを解説し始めた。「あの日は、たしかに空軍が演習をしていた。そこで空軍機のスクランブルと民間の航空管制室との間の疎通がなかったこと」などに触れ、「パイロットの通訳がどの方向に向かえばよいのか指示できず、また誤った方向に飛んでいる航空機もあった」と述べた。そして、「多くの混乱とカオスが起こっていたという証拠はあるが、世論を誤った方向に導こうとする意図はなかった」と結んだ。

番組は、「空軍の演習があった。そこでは、国民の税金で本物の飛行機が使われた。それゆえ、軍は、空軍機がどこを飛んでいるかを確実に把握していなければならなかったし、また民間の航空管制室に警告を伝えた筈だ」と結論づけた。

BBCの番組には、『ポピュラー・メカニック・マガジン』誌のDavin Coburnのコメントが載っていた。その内容は、有名なコメンテイターCharles Goyetteが、すでに2006年8月23日のショーで、「世界貿易センターの第7ビルの崩壊は航空機の激突によるものでないことを、落下物が物語っていた」というスクープをしていた。

BBCの番組のナレーターは、事件から5年後に行われたZogbyの世論調査で、第7ビルの崩壊を知っている人は43%に過ぎなかったが、一方、48%の人が「政府や9.11委員会が隠蔽工作をしたとは思わない」と答えたと述べた。この2つの世論調査を考え合わせると、第7ビルの崩壊を知らない人が43%もいるのに、なせ48%もの人が隠蔽工作はないと考えているのだろうか。とにかく、この2つの与論調査の結果には納得がいかない。

BBCの番組『9/11;陰謀ファイル』は、とくに第7ビルの崩壊のところになると、真実を暴露するのには反対のようである。Coburnが第7ビルの崩壊について発言するために、再度カメラを向けられようとした直前、なぜか、他のビルの解体のシーンが放映された。そして、第7ビルの崩壊は、通常のビル解体に似ている、とコメントした。

これに対して、Coburnは、通常、ビル解体には多くの水が必要だ。第7ビルの場合、水が使われなかった。また、第7ビルはツインタワーに隣接していない。より近いビルがなぜ崩壊しなかったのか。

続いてBBCの番組は、ワシントンのペンタゴンの衝突についての議論に入った。番組は、ボ−イング757機の衝突によって作られた穴は18〜20フィートにすぎない。そして、衝突から1〜2秒で崩壊が起こった、と言う。しかし実際には、30分後に崩壊した。

『911In Plane Site』と題するドキュメンタリー・フィルムでは、あれほど大きなサイズと重量と大量の燃料を積んだ航空機の衝突にしては、芝生の上にあるべき残骸がほとんどないと言っている。ウイング、エンジン、後尾、荷物、乗客などの痕跡もない。当日、救助に参加した中の1人であったAllyn Kilsheimerは、「タイヤ、車輪、燃料の一部を見た」と証言している。

C-139輸送ヘリのパイロットのSteve O’Brien中佐は、当日ワシントンD.C..の上空を飛んでいた。彼は、「銀色をした航空機が川岸で30〜40度の角度で旋回していた」と証言している。

Fetzer博士は、「これらすべての証拠は辻褄が合わない。ボーイング757が、あのような低空で飛べるはずがない」と語った。

番組の最後にBob Graham上院議員が登場した。彼は多くのことを語りたかったが、あまりにも少ない時間だった。「私は、9/11には、まだ我々に知らされていない多くの秘密がある。この秘密を隠蔽することは、安全保障について政府への信頼を失うだろう。陰謀と言う場合、2人以上が関与している。ホワイトハウスと情報機関は共同して情報を隠している」と語った。

番組のナレーターは、「陰謀説は理論にすぎない。陰謀を裏付ける証拠がない」と結んだ。