世界の底流  
途上国の土地略奪と世銀

2012年7月13日
北沢洋子

土地の略奪―現代の植民地主義

 世銀は、4月23〜26日、ワシントンで「土地と貧困」について会議を開いた。世銀は、すでにこのテーマでの会議を、09年以来、毎年開催している。世銀がこのテーマを取り上げたのは、ここ数年、外国の企業や政府が、途上国、とくにアフリカで土地を買いあさっていることが国際的に問題になっているからだ。CSOは、これを新しい植民地主義と呼び、「土地略奪」を非難している。
  すでに私は、2009年1月に、「世界の底流」に書いたが、アフリカのマダガスカルで韓国の大宇ロジスティックス社が、130万ヘクタールの土地を手に入れたという記事を書いた。これは、マダガスカルの全耕作地の半分を占める。大宇はマダガスカル政府から「リース」したのだと言っているが、半永久的な契約で、買取りである。ここで、韓国向けにとうもろこしなどを生産する。
  その後、中国政府が寛大な条件での融資の見返りに、アフリカの資源と土地を購入している、というニュースが流れた。新興国が経済力を武器にして、アフリカの土地や資源を入手していることに脅威を感じている日本政府は、10年11月、横浜で開かれた「アジア太平洋経済協力(APEC)サミット」で、「国際的な土地買い占めに対して、国際的な透明で公正なルールづくり」を提案した。しかし、APECには、第1に、アフリカが入っていない、第2に日本は中国や韓国を説得する力がないなどの理由で不発に終わってしまった。