世界の底流  
エクアドルの地球温暖化にたいする政策

 

(最も良いケース)

 南米のエクアドルは、地球上で、最も種の多様性の富んだ国である。また、数多くの豊かな先住民の文化を持った国である。
 エクアドルは、1972年、石油輸出国になった。以来、石油生産は国家経済の中軸となってきた。一方、石油産業が環境と社会に与える影響もまた劇的に大きくなった。
 このエクアドルが世界中の産油国の中で、先駆けて地下に埋蔵された石油資源を、その豊かな種の多様性と先住民の文化を守るために、また温室効果ガスの排出を抑制し、貧困を削減するために、自ら採掘を中止したのであった。この石油埋蔵は、「ヤスニ国立公園」内にある。
 エクアドルは、同国立公園内の石油の埋蔵量8億5,000万バレルを地下に眠らせることによって、4億700万トンのCO2の排出を削減したことになる。もし、エクアドルが受け取るはずだった石油代金の半分を、国際社会が拠出するならば、エクアドルは、@ 再生可能なエネルギーを開発できる。A 40ヵ所の国立公園と先住民の土地での森林破壊を防ぎ、種の多様性を守ることが出来る。これは国全土の38%を占める。B 森林の再生を可能にする。C 何世代にもわたって、社会発展と持続可能な雇用を保証することになる。
国連開発計画(UNDP)はそのための「Trust Fundイニシアティブ」を管理する用意がある。近く、そのための協定書に、署名することになっている。