世界の底流  
ディリ会議・脆弱国からドナーたちへのメッセージ
2010年4月30日
北沢洋子

 さる4月7日、東チモールの首都ディリで、「脆弱国7カ国(g7+)」の会合が開かれた。ここに出席したのは、主催国の東チモールをはじめブルネイ、ネパール、ソロモン島諸国、チャド、民主コンゴ、シエラレオネ、南スーダンなど7カ国であった。
 「脆弱国7カ国会議」の議題は、外国からの援助をどのように有効に使うことができるか、という点にあった。ドナー国から政府開発援助を受けるとき、どのようにして、受益国のイニシアティブを発揮することができるか、ということに尽きる。
 会議の議長であり、スポークスウーマンでもあった東チモールのEmilia Pires財務相は、「援助受益国が援助金を有効に運営するためにも、ドナー国に対して、我々はリーダーシップを発揮しなければならない」、そして「脆弱国は、長期のビジョンを持たねばならない。それにもとづいて、各国はそれぞれ具体的な開発戦略を作成しなければならない。ドナーたちは、脆弱国の戦略を無視するのではなく、この戦略を尊重し、これに沿って援助するべきだ」と語った。
 これまで、脆弱国はドナーにとって、対象外にあった。たとえあったとしても援助の決定は常に密室で行なわれ、ドナーたちは何十億ドルもの援助金の行方にも無関心であった。 
この点について、Pires財務相は、「ドナーたちに言いたい。いつ、どこに、いくら援助したのか明らかにして欲しい。我々は、行動を始める用意がある」と語った。
 例をあげると、シエラレオネに対する紛争後の国際援助は、国連の潘基文事務総長によれば「成功」のモデルと言われた。これはすばらしいことだ。しかし、地方に行くと、人びとは一様に「平和の報酬」を得ていないと言う。これは紛争終結後10年経った、現在の状態である。これは、ドナーが都市しか見ていない結果である。
 ディリ会議では、「グッドガバナンス、経済開発、社会・人間開発、安全保障」の4点を優先事項にすることに合意した。
 民主コンゴのOlivier Kamitata計画相は、「我々は国際的なスタンダードを無視するわけではないが、ドナーたちは我々が置かれている状況、ニーズを配慮すべきだ。ドナーたちに柔軟性を要求する」と語った。また自分たちは「これまでの独り言を止めて、相互の経験を分かち合い、脆弱国の統一戦線を築いていく」「この団結は国境を越え、海を越え、脆弱国の共同の価値を認識していく」「我々は共通のビジョンを持っている。我々はドナーに対して、団結して声を上げるべきだ」と語った。
 実際には、このディリ会議は、一種のブレインストーミングであった。これは、4月9日に開かれた「平和構築と国家建設につての国際的な対話」に脆弱国側から提起された。
 「g7+」は国際フォーラムとして、定期的に会合を開くことになった。