世界の底流  
グアテマラ元大統領の米国への引渡し判決
2010年7月18日
北沢洋子

 3月18日、グアテマラの法廷がアルフォンソ・ポルティージョ元大統領(2000〜2004)の免責を否定し、米国への引渡しを支持する判決を下した。この判決は12時間に及ぶ証人審問の後、行なわれた。
 今年1月、ニューヨークの地裁は、ポルティージョに対して、7,000万ドルにのぼる資金の「洗浄」の罪で起訴し、グアテマラ政府に対して、その「身柄引き渡し」を求めていた。したがってポルティージョにとって、今回の判決は、これからの長い法廷闘争の第一歩で敗北したことになる。
 したがって、「この記念すべき判決はポルティージョが代表しているエリート、軍人と、それにつながる犯罪シンジケートに対する法的勝利である」と「Movimiento Pro Justicia( 正義派運動)」のCarmen Aida Ibarraは声明した。そして彼女は、「米国で裁かれるより、むしろグアテマラ国内で裁くべきだ」と言っている。なぜなら、ポルティージョは、グアテマラの公金を横領し、米国の銀行で資金洗浄し、再びグアテマラに還流させたのであった。彼の犯行はグアテマラで行なわれた。
 グアテマラは長い間、右翼政治家、軍人、犯罪シンジケートによる独裁政権の下に置かれてきた。2007年11月の大統領選挙ではじめて社民党のアルバロ・コロンが勝利した。彼の任期は2012年までである。コロン大統領は、判決に従い、ポルティージョの身柄を米国に引き渡すと言っている。
 ポルティージョの裁判が犯罪シンジケートの解体につながることが期待される。今回の判決を下した判事たちは、家族の命を狙う脅迫状を受け取っている。