世界の底流  
ブラジルの反汚職キャンペーンの勝利

2010年12月4日
北沢洋子

 今年7月、ブラジルの市民社会は、歴史的なキャンペーンで大勝利を収めた。それはルラ大統領が連邦議会に提出した汚職禁止法案の採択を要求する大規模な要請活動であった。
 それは「クリーン・レコード」と呼ばれる法案で、議員と公務員の「収賄」と「資金洗浄」などの犯罪を禁止し、また贈賄側の企業は、売り上げの30%を罰金として払わせるなど、これまでにない大胆な法案であった。
 この法案は、連邦議会の議員の25%、330人が捜査の対象になると言われ、法案が採択されることはないだろうという予測された。
 この「クリーン・レコード」法案にたいして、「ブラジルAVAAZ」が採択を促すキャンペーンを開始し、200万票という歴史的な数の署名を集めた。これはインターネットによる署名50万票や数知れずの電話などが含まれる。
 ブラジルAVAAZは、議員たちが法案の通過を阻止しようとすることからはじまって、採択を遅らさせる、修正する、弱体化させようというさまざまな妨害工作を阻止することに成功した。

 AVAAZは、2007年1月に始まったインターネットを使ったグロバルなキャンペーンである。スイス、ブラジル、米国、アルゼンチン、英国から成るチームで運営されている。戦争、武力紛争、人権侵害、環境汚染など、不正に対して、素早く対応して、抗議のキャンペーンを開始する。AVAAZの起動力とキャンペーンの規模の大きさは他に類を見ない。これまでにもさまざまなテーマで、キャンペーンを成功させてきた。なかでも今回のブラジル議会での陳情キャンペーンは最大の規模で、成功を収めた。
 フランスの『ルモンド』紙は「印象深い、これまでにない陳情行動であり、市民社会のスペクタクルな政治的、道徳的な勝利」と評した。
 今回のAVAAZの勝利は、最初の一歩であり、これを見本として、グルーバルな課題についての勝利が可能になった。
 今回のブラジルのAVAAZのキャンペーンは、一握りのAVAAZチームでもって、60万のAVAAZ会員を動員することが出来た。このAVAAZのモデルはコンピュータの技術でもって、少数のチームで、差し迫った問題について何百万もの人びとを動員することが出来ることを証明した。また、1人1人が小額の寄付であっても世界を変える協力な武器となることも証明した。