世界の底流  
ルクセンブルグ第4回RIPESS総会
2009年8月2日


 去る4月22日〜25日、ルクセンブルグで、連帯経済を推進する国際ネットワークRIPESSが第5回総会を開催した。これには、5大陸59カ国から700人が参加者した。ヨーロッパからは、連帯経済以外のネットワークも参加した。
 第1回RIPESS総会は97年にペルーのリマで開かれた。第2回は2001年、カナダのケベックで、第3回は、2005年にアフリカのセネガルの首都ダカールで開かれた。
 連帯経済運動は、90年代、フランス、スペインなどに源流を見る。4年に1回の総会が、ラテンアメリカ、北米、アフリカで開かれ、今回やっとヨーロッパに戻ってきたと言える。連帯経済は、各種の協同組合、市民金融、社会通貨、公正な貿易、NPO、NGO、中小企業、商店街、反公害、環境保護運動など、じつに豊富な内容を包括している。
 したがって、ルクセンブルグでは多数の分科会が同時に開かれた。また、ヨーロッパからはなかなか知ることが出来ないアフリカやアジアの連帯経済プロジェクトにいついて、1人当たりの発言の時間が5分以内という制約に多くの人がフラストレーションを感じた。また、時間の大部分がスピーチに費やされ、ディベートの時間が少なかった。
 ルクセンブルグは小さな国である。バスや電車でシャトルできる範囲ではあったが、分科会が複数の都市に散らばっていたことも、参加者にとっては、不便なことであった。
 ブラジルの連帯経済局の長官であるポール・シンガーと教授は、全体会議で「連帯経済はグローバルにますます重要性を増しているが、はたして、連帯経済は現在主流のモデルのオルタナティブになりえるだろうか」と問題を投げかけた。
 これに対して、フロアーから多くの意見がだされ、議論がなされた。最後にシンガー教授は、「資本主義の下での長い厳しい闘争の末に勝ち取ってきた民主主義が、新自由主義の反革命によって奪い取られた。金融のグローバリゼーションを手段にして、新自由主義は、労働者の運動を弱め、資本と金融のグローバルに移動させ、最後に、国家をも弱体化した」と述べた。そして、シンガー教授は、「今こそ、民主的に選出された国家を強めなければならない」と言った。
 これに対して、再び、フロアーから多数の意見が出た。シンガー教授は、「連帯経済はオルタナティブになりうる。なぜならラテンアメリカ、とくにブラジルでは連帯経済は重要な地位を占めている。ボリビアとエクアドルでは、憲法で承認されている。そして、何よりも、ベネズエラのチャベス大統領の21世紀の社会主義とは、連帯経済に他ならない」と宣言した。
 ルクセンブルグのRIPESS総会は、連帯経済の豊富な実践の交流であったが、また、理論についても議論が行われた。とくにフランスの連帯経済ネットワークのLaurent Fraisseが司会をしたワークショップでは、理論について、議論が活発に行われた。
 フィリピンのBen Quinessは、アジアの連帯経済ネットワークの名において、2013年の次回RIPESS総会をアジアで開くという提案をした。
RIPESS総会の議事録と決議はwww.lux09.lu/index.php?id=20 に掲載