世界の底流  
9月10日のグローバル動員デイ
2005年3月22日


  去る1月28日、ブラジルのポルトアレグレで開かれた世界社会フォーラム(WSF)で、「国連を取り戻せ国際セミナー」が開かれた。ここでは来る9月10日を「貧困、戦争、ユニラテラリズムに反対するグローバル・デイの動員」とするアピールが決議された。
  国連は9月14〜16日、全加盟国の首脳が出席する総会を開催する。「グローバル・デイ」は、それに焦点を合わせたものである。これまで、すでに140のNGO、団体がこれに賛同の署名を行っている。
  このアピールは、昨年以来、WSFの国際評議会(IC)で議論を重ねてきた。「グローバル・デイの動員」は、2005年に60周年を迎える国連にとって決定的に重要である。60年前、国連が設立された時、戦争を禁止し、貧困をなくし、社会正義を確立するという使命を負っていたが、今日、その使命の達成は危なくなっている。
  9月14〜16日の国連サミットは、国連改革とミレニアム開発ゴールの達成を再度確認することを目指している。
  アピールは、このような重要な課題を全面的に政府の手に委ねることは出来ないとしている。市民社会の動員が不可欠であるとしている。

「アピール」

  貧困、戦争、ユニラテラリズムに反対するグローバル・デイの動員のために

  我々は、新しい正義の、平和な、民主的な世界秩序を要求する。

  我々は、グローバル市民社会を代表して、ポルトアレグレで開かれた第5回世界社会フォーラムで、国連を民主化し、強化し、同時に新しい正義の、平和的な、民主的な世界秩序を確立する緊急アピールを行う。

  貧困は増大している。戦争と紛争は絶え間なく起こっている。貧富の差は拡大している。基本的人権と国際法はしばしば破られている。軍事力の行使が再び国際関係を律している。全世界の人びとが経済的、社会的、政治的ニーズを満たす人間の安全保障を支持しているにもかかわらず、依然として軍事的な安全保障のドクトリンが潮流になっている。人びとは市場が社会問題を解決することなどもはや信じていない。しかし、市場は全く社会的責任を持たない国際機関によって維持されている。

  60年前に、戦争を禁止し、貧困と社会的不正義をなくすために設立された国連は、今日、攻撃のまとになり、地位が低下している。平和、開発、社会的、国際的正義を確立するという役割は弱められている。
  強力なユニラテラリズムと無制限なネオーリベラルなグローバリゼーションが人類の唯一の「コモンハウス」をわきに押しやっている。国連のマクロ経済的機能はブレトン・ウッズ機関にとって代わられた。IMF、世銀、WTO、その他の関連機関のラジカルな変革は不可欠である。

  我々が求める国連は、人びとの連合であって、国家の連合ではない。総合的な、ラジカルな、透明性のある国連改革こそが、平和、開発、国際的民主主義を遂行できる機関となるであろう。

  国連の将来はすべての人の関心事である。急速に相互依存を強める世界では、グローバルな解決を必要とする。人権の擁護も、それを強制できる国際機関の存在を必要としている。

  すべての国連加盟国政府に責任性と透明性を要求するためには、持続的な動員を行うことが決定的である。これには、市民社会のすべての成員、地方政府、議会を動員すべきである。もちろん、地域、人種、階級、ジェンダー、そしてすべての多様な社会の成員が確実に代表されることが第一である。

  2005年は国際民主主義と国連にとって決定的な年である。9月14〜16日の国連サミットは国連改革を決定し、貧困をなくし、そして少なくともミレニアム開発ゴール(MDGs)を達成することを公約するであろう。これは、今日の人類の危機的状況と国連の恐るべき危機をもたらしたことに責任がある政府の手に委ねるにはあまりにも重要な課題である。

  第1の段階として、我々は、すべての人びと、すべての運動、すべての市民社会組織に対して、この危機的状況の解決に参加すること、そして、2005年9月10日に「貧困と取り組むグローバル行動のアピール」に賛同し、「貧困、戦争、ユニラテラリズムに反対し、経済的社会的正義、平和、民主主義の新しい世界秩序のためのグローバル動員デイ」を組織する。

  我われは、開かれた、正義の、平和な、民主的な世界秩序を樹立するために、世論を喚起し、政府に対して働きかけ、ネットワークを強化し、このゴールの実現のための開かれた議論を推進することを誓う。