世界の底流  
米FDAはアフリカへのエイズ治療薬の供給を妨害
2005年6月29日

 

 米政府は、アフリカにエイズ患者に供給されるジェネリック薬については米FDA(食料医薬品局)の認可が必要だとする法律を発効させた。
これは米国FDAとWHOなど国連の医薬品の認可についての規約が一致していないことから来ている。その結果、アフリカで今、緊急に必要とされている安いエイズのジェネリック薬の供給を遅らせるものである。
 ナイジェリア、ウガンダ、エチオピア、タンザニアなどアフリカ4カ国政府は、エイズ治療薬のジェネリック薬を製造している南アフリカのASPEN Pharmacare社に対して、「米FDAのエイズ治療薬の認可は全く根拠のないもので、すでにWHOの安全と品質管理についての認可で十分である」と申し入れを行った。アフリカ諸国はすでにWHOの加盟国であって、WHOの認可で十分だと言っている
 また、米政府、国連、アフリカ政府間でこの問題をめぐって、激しい電話会話の応酬があった。たとえば、米政府のトビアス・グローバル・エイズ調整官はリーWHO事務局長に対して、電話で、「国連が米FDA認可の治療薬を直ちに認可するよう」要求した。
 WHOはこれまでのところ、年間200ドルの費用がかかるエイズのジェネリック治療薬を使っている。しかし、米政府のエイズ対策ではFDAがすでに認可した年間500〜800ドルもかかる治療薬を購入している。つまり、WHOにより高い治療薬を使用させようとしている。そして、米政府が6ヵ月後に、ジェネリック薬を採用するといってはいるが、はたしてそうなるかは明らかではない。
もし、このプロセスが長引けば、国連はエイズ患者の登録を続けるだろうし、そうなれば、治療薬を待つ長い患者の待ちリストが出来るだろう。そして、国連のグローバル基金の財政は高い治療薬に支払うコスト増で大きな赤字になるだろう。

ザンビア政府のエイズ対策

 G7蔵相会議が、重債務貧困国18カ国の多国間債務を100%帳消しすることという決定を行ったのを受けて、6月20日、ザンビア政府のNg’andu Magande財務相、は帳消しによって浮いた資金を充当して、今年末までに100,000人のエイズ患者の治療を行うと発表した。
 またザンビアは、マイクロソフトのビル・ゲイツ財団から3,500万ドルのマラリア対策資金を供与されたことも発表した。ザンビアではマラリアはエイズよりもおおくの死者を出している。
 ザンビアでは、政府はエイズ患者の治療薬代として、月に40,000クァチャ(9ドル9を支出している。
 エイズ患者にとっては、治療薬の問題以前に、検査を受けることの困難がある。テストをうけるために、貧しさのために、センターに行く交通費も払えない。
 ザンビアでは、これまで検査でもって13,000人をエイズ患者と認定し、治療薬を供与することができた。これを今年末には100,000人に増やす計画である。
 ザンビア政府は、国連グローバル・エイズ基金から1億9,200万ドルを受け、世銀から4,500万ドルのグラントを受けることになっている。これに、債務帳消しで浮いた資金を足して、治療に当たる。Magande財務相は、その額については言及しなかった。
 しかし、ザンビアは、すでに4月、IMFが「持続して良い経済管理を行っている」と認定して、40億ドルの債務帳消し措置を行っている。さらにG7の新しい措置によって、25億ドルの帳消しを受けることになる。