世界の底流  
「米国のエイズ対策予算」
2005年3月30日

1)米議会でグローバル基金への8億ドルの拠出案を可決

  2003年5月27日、ブッシュ大統領は、エイズを制圧するために過去最大の資金を提供するとして、「エイズ・結核・マラリアと闘う米国リーダーシップ法」を制定した。これによると、米国は2004〜2008年度間に30億ドルをグローバル基金に拠出するとした。
  しかし、公約した拠出額と実際に支出された額とは大きな差がある。
  2004年度末には500,000人のエイズ患者を治療するはずであったが、2004年9月末の報告では実際に治療を受けたのは25,000人にとどまった。
  2005年度は100万人を約束したが、実際には17万人にとどまった。2006年度は少なくとも200万人の治療を目標にしている。
  しかし、今年3月のはじめに、ブッシュ大統領は議会に対して2006年度予算を提出した。予算案の中には、国連のエイズ・結核、マラリアのグローバル基金への拠出金を前年度に比べて31%も削減することが盛られていた。そのため、米国の基金への拠出はたった8%になってしまった。国連の基金は127国で活動しており、エイズ、結核、マラリア対策にとってもっとも重要な基金である。
  このホワイトハウスの予算案に対して、Durbin(民主党イリノイ州選出)とSantorum (共和党ペンシルバニア州選出)は修正案を共同提出した。それは大統領案の3億ドルに5億ドルを上乗せするというものであった。
  「グローバル・エイズ同盟(GAA)」は、Durbin−Sanorum修正案を支持するように緊急アピールをだし、活発なロビイ活動を展開した。
  その結果、3月17日、米上院は両議員の修正案を可決した。これでグローバル基金への米国の拠出金は8億ドルになった。しかし、これは米国がグローバル基金で果たすべき15%の割り当てを下回っているのである。
  同時に、Dewine 上院議員(共和党ネバダ州選出)が提出した「エイズの子どもの生存のために3億3,400万ドルを支出すべきである」とする重要な修正案も可決された。