世界の底流  
EUの新しい開発協力相と通商代表
2004年8月


来る11月1日、ヨーロッパ連合(EU)の新指導部が発足する。
新たしく任命されたホセ・マニュエル・バロソ委員長(元ポルトガル首相)は、EUの閣僚を任命した。

新しいEUの開発協力相には、ベルギーのルイーズ・ミシェルが任命された。彼は、語学教師の出身で、旧ベルギー領植民地の民主コンゴ、ルアンダ、ブルンディで働いた経験がある。1999年以後は、ベルギーの元副首相であり元外相であった。彼は、米国のイラク戦争に激しく反対したことで知られる。EU開発相に任命された後、彼は、EU加盟国に対して、国民総所得(GNI)の0.7%をODAに充てる、ことを説得することが第1の仕事だと語った。

彼はまた、国連の「ミレニアム開発ゴール」の達成のために、EUが外交イニシアティブをとると語っている。
ミシェル氏のEU開発相の任命には、オーストリアから出ていたフェレロ・バルドナー女史が有力な対抗馬であった。しかし、バロソ委員長が、フランス語を話し、リベラルなミシェル氏をを選んだといういきさつがある、と『ファイナンシャル・タイムズ』紙は報じている。OXFAMはミシェル氏の開発相就任を歓迎している。

一方、バロソ委員長は、EU貿易相に英国のピーター・マンデルセン氏を任命した。ということは、マンデルセン氏が、パスカル・ラミーWTO通商代表の後任となる。マンデルセン氏は、ブレア首相の親友で、典型的なネオリベラルである。これまでスキャンダルで2度も大臣を辞めている。しかし、ブレア首相は彼を贔
屓にして、ついに、EUの大臣に推薦したといういきさつがある。マンデルセン氏のEU貿易相就任は悪いニュースである。しかし、EUの反WTOのNGOたちは、マンデルセンが攻撃のターゲットとしては、逆にやり易いと判断しているようだ。