世界の底流  
ケニアでエイズのジェネリック治療薬を製造
2004年10月3日


ケニアのMuhisa Kituyi貿易産業大臣は、9月22日、ケニアでエイズのジェネリック治療薬が製造を開始することになったと発表した。ジェネリック薬とは、特許の切れた薬を安く製造したものをいう。

英国の多国籍医薬品会社GlaxoSmithKline(GSK)社がケニアのCosmos社に対してLamivudine とZidovudineという2種類、及びそれを複合したComvivirというエイズ治療薬の製造ライセンスを供与することに署名した。これによって、ケニアでは非常に安い価格でエイズ治療薬が製造できるようになった。Cosmos社はこれをケニア、ウガンダ、タンザニア、ブルンディ、ルワンダで販売することになっている。

アフリカ大陸では、ケニアは南アフリカについでエイズのジェネリック薬が製造されることになった。
このほか、ブラジル、インド、タイなどがエイズのジェネリック薬を製造している。WHOによれば、来年は約300万人のエイズ患者の治療を行うことができると声明した。

ケニアでは、これまで、高いエイズ治療薬しか手に入らなかったので、HIV感染者の治療には月に3,000シリングを要していた。これに対して、ケニア政府は月に半額の1,500シリングを補助してきた。ケニアではエイズは「国家的災害」であると宣言されている。ジェネリック薬の製造によって、エイズ治療に明るい見通しが出てきた。

これまでは、ケニアには20万人のHIV/エイズ感染者がいると推測されるが、そのうち、治療を受けているものは2万人に過ぎなかった。彼らは、政府、NGO、キリスト教会などによって、輸入されたジェネリック治療薬でもって、治療を受けてきた。今後は現地で製造されるジェリック治療薬がより安く使用できる。
ケニアは、WHOの貿易に関する知的所有権協定(TRIPs協定)に署名している。ケニアは医薬品会社が持っている特許を尊重しなければならない。したがって、今回、英国のGSKがケニアのCosmos社に特許を無料で譲渡したことはまさに歴史的な事件である。

Kituyu貿易産業大臣は、「Cosmos社がいかに安くエイズのジェニリック薬を販売できるか、さらに他の病気についてのジェニリック薬を製造できるか」が今後の課題であると語った。

PaulUdoto www.nationmedia.comより