10年前のリオ・サミットに比較して、ヨハネスブルグ・サミットは、(1)「政治的な意思」の欠如、(2)貧困と環境を企業/市場に売り渡したことが特徴であった。インドのBandana
Shivaは、9月8日に「重大な裏切り」と糾弾し、多くのNGOとともにサミット会場から脱退した。(Bandana Shivaの声明を入用の方は北沢までご連絡下さい)
WSSDで獲得したもの
1)企業の責任
ヨーロッパのNGOがロビイ活動を集中させたテーマであった。明確な文言が採択されなかったとはいえ、将来、多国籍企業の行動を規制する国際法が作成され、その執行を可能にする国際レジーム(国際機構)が検討される余地を残した。
2)WTO
強制力を持っているWTOの諸協定が、国連の環境関連の国際諸協定をハイジャックすることをともかく防止した。
3)人権
健康の章で、人権を挿入することに成功した。これは、女性の性器切除の禁止、リプロダクティブ・ヘルス/ライツ、などの問題を含んでいる。1995年、北京の国連女性会議では、これに反対したのは、バチカンなどカトリック教国とイランなどイスラム諸国に限られていたが、ヨハネスブルグでは、これにブッシュの米国が加わった。米国が唯一の超大国として、国際政治を仕切るようになったため、グローバルなバックラッシュが起こっている。「人権」については、女性NGOコーカスと政府代表団の女性閣僚との連携プレーが成功の鍵となった。
WSSDの失敗
1) 資金
(1) 債務
持続可能な開発とミレニアム開発ゴールの達成には、重債務貧困国の債務帳消しは前提条件であるにもかかわらず、先進国政府、国際金融機関の公約はなかった。
(2) ODA
ミレニアム開発ゴールの達成には、ODAの倍増が必要であると言われているのもかかわらず、先進国政府は公約しなかった。
(3) 為替取引き税
モンテレイでの遠まわしの表現さえ、ヨハネスブルグではなかった。
2) HIV/AIDS
HIV/AIDSに関する公約は全くなかった。「政治宣言」に一言触れられた。年間70〜100億ドル必要だとされている「HIV/AIDS、マラリア、結核のグローバル基金」への拠出金は20億ドルに留まっている。「基金」についても公約はなかった。
3) 企業のアカウンタビリティ
多国籍企業の行動を法的の強制力のある規制についての明確な表現はないが、将来国際協定が出来る可能性を残した。
4) 農業
これはWSSDの重要な項目であった。途上国にとっては死活問題である食糧の安全保障については、全く触れられていない。
5) 補助金
先進国の農産物補助金については、ドーハからの前進はなかった。米国やEUの補助金漬けの安い農産物が途上国の農業を破壊している。
ヨハネスブルグ・サミットにおけるデモ
8月31日(土)、午後、2万人の反グローバリゼーション派が7マイルのデモをした。
デモ参加者は、「民営化」「土地がないこと」「IMF、世銀の構造調整プログラム」に反対するスローガンを叫んでいた。
一方、ムベキ大統領が列席した官製のデモの参加者は5,000人であった。
|