DebtNet通信 (vol.5 #6)  
「IMFの債務帳消し―ニカラグアのケース」
2006年2月2日

 昨年、クリスマス直前にIMFは、「多国間債務救済イニシアティブ」の一環として、ニカラグアの債務を100%帳消しにするという贈り物をした。帳消し額は2億100万ドルであった。
 多くの人が、この帳消しでもって、ニカラグアはIMFの構造調整プログラムの重圧から解放されると信じた。しかし、そうではなかった。
 IMFは帳消しをした直後に、IMFの1億ドルの借款を含む2億3,000万ドルにのぼる国際援助パケージなるものをニカラグアに供与した。IMFはニカラグア政府に対して、この援助パケージの条件として、財政緊縮政策の実施を押し付けた。
 IMFは、外国からの援助の流入がインフレを起こすと信じており、「公務員の賃上げは、一定のインフレの枠内で許容される」ことをニカラグア政府に申し渡した。

 昨年11月半ばから、ニカラグアでは12,000人の公立病院の医師たちは、70%の賃上げを要求してストに入っている。医師の給料は月に300ドルである。これは賃金が低い中央アメリカの医師の返金賃金の60%でしかない。しかし、政府はIMFとの協定を理由に医師の要求を受け入れなかった。そこで、3,000人の医師が、1月18日以来、ついに非評判の悪い全面ストに入った。その結果、公立病院は完全に機能停止になった。
 患者は、私立のクリニックに頼らねばならないが、1週間に400ドルもかかる。これは普通の人の給料の6カ月分に相当する。
 ニカラグアではIMFの構想調整プログラムの結果、医師の数は1996〜2003年間に人口10,000人当たり、6人がから3.8人に減った。同時に、基本的な医薬品や器具の供給、病院の保全、医療補助金など保健医療予算も激減した。

これまでNGOは債務帳消しに重点を置いてきた。しかし、ニカラグアの例が示すように、IMFを追い出すことに集中しなければならない。IMFは1つの債務を帳消ししても、再び新しい債務をもって途上国に介入し、そのコントロールのもとに置く。